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2017年8月26日 日本通訳フォーラム2017

2010年12月20日

Word Lens に翻訳の未来を見る。

Word LensというAR(拡張現実)技術を利用した翻訳アプリがリリースされました。これまでのように辞書で調べたり、調べたい単語を入力しなくても、画面を通して訳が瞬時に表示されるという一見夢のようなアプリです。まずは紹介動画から。



現在は英語←→スペイン語のペアしか対応していないのですが、物は試しとスペイン語→英語の辞書をダウンロードしてみました(有料)。色々試してみた率直な感想ですが、現時点ではまだ実生活で使えるレベルの製品ではないと思います。理由としては1)OCRの精度が低いので読み取り可能なフォントが限られている、2)つまり当然のことながら手書きの文字は全く読み取れない、3)翻訳エンジンも貧弱なので、かなりテキトーな訳が目立ちます。例えばこれ。

下ネタですみません
ただ翻訳エンジンの問題については、クラウド化して高性能なエンジンを利用すれば訳質が大きく改善される事は間違いありません(現時点ではオフライン利用のみ。公式サイトを読むと観光客がターゲットとあるので、おそらくネット回線がない場所等での利用も想定している、つまり普及の段階では訳の質<利用範囲と いう戦略的判断だと推測)。OCRの問題は色々クリアすべき点が山積しているのですが(特に日本語のOCRにはグーグルも苦労している)、今ほど酷くなることはないでしょう。

ネットの反応を見ると「なんだこの使えないアプリは!」とか「動画はやらせだろ」などの批判が目立つのですが、このアプリが公開された事の本質的な重要性はアプリの性能自体にあるわけではありません。本当に重要なのは、拡張現実という技術によって、翻訳業界の在り方そのものが変化を迫られているということです。いくら人間が機械より文脈を読むのが上手いといえども、機械のスピードには到底かなわない。そして各メディアで言われているように、今の社会は一般的に、訳質に多少の影響が出ることを承知でスピードと低コストを優先しています。社会の情報のスピードとコミュニケーションのダイナミズムを考えれば、これは当然の流れとも言えます。業界における機械翻訳が占めるパイは今後、かなりの割合で増加します。機械は進化しかしないという現実と私達は対峙しなければなりません。

ただ私は人間翻訳の未来が暗いとは全く考えていませんし、心配もしていません。今後は限りなく低いレートで働く(実力的にも難がある)翻訳者が進化する機械翻訳に一掃される一方、実力がある翻訳者はこれまで通り適正レートで評価され、専門的な分野で活躍を続けると考えています。構造的にそもそも機械翻訳の利用が難しい分野もある事も忘れてはなりません。安くて速い機械翻訳の出現により、本当に目の肥えた顧客は一層高い正確性と専門性、そして人間にしかできない「芸」を翻訳者に求めることになるでしょう。これはむしろ私が求めることでもあります。

当たり前ですが、人間は「人間らしさ」を武器に頑張っていかなければなりませんね!

2010年12月5日

講演「考古学が明らかとする沖縄のアイデンティティ」

12月10日(金)片桐千亜紀さん講演会(英語同時通訳付)
沖縄県立埋蔵文化財センターの片桐さんをお招きして「考古学が明らかとする沖縄のアイデンティティ」のテーマでお話頂きます。内容は以下です。

考古学とは?/人類の誕生と世界への拡散/沖縄「島」への到達/豊富な旧石器人骨の発見/白保竿根田原洞穴人の発見/骨から知る島の生活/琉球王国と水中文化遺産/大航海時代の中継貿易/海底遺跡あれこれ/沖縄の葬墓制/風葬の世界/岩陰の墓と風葬/考古学が明らかとするアイデンティティ等
パワーポイント使用。入場無料。会場キャパ70名。

日時:2010年12月10日金午後7時10分—9時
場所:沖縄県宜野湾市伊佐4丁目2番16号
(宜野湾市伊佐ユニオン近く)語学センター3Fホール

受付:午後6時から (英語同時通訳を聞く方にレシーバを配布)
通訳:語学センター英語同時通訳講座レベル4クラス(4名)
質疑応答:10分ほど
駐車場:40台まで可能。乗り合せでお越下さい。

お問い合わせ:098-942-9216 
沖縄県国際交流・人材育成財団語学センター

2010年11月26日

広州アジア大会15 静かな最終日。

本日が通訳者にとって事実上の最終日です。明日は最終日、つまり男女マラソンで幕を閉じるわけですが、日本語通訳者は必要ないと実行委員会から事前に通知があったようです(マラソンは日本のお家芸なので、これまた不思議な決断ですが)。通訳者の多くは「早く帰りたい~」と心はすっかり帰国モードです。おそらくホテルのワンパターンな食事に飽きたのでしょう(笑)。もう二週間も同じ物を食べていると、お粥やスイカ、味付けなしの蒸しエビとか、シンプルなものしか美味しく感じられません・・・

さて、前日に「バスケを担当したい!」とお願いしたら、日本とイランの銅メダルマッチに担当することになりました。本当は囲碁も狙っていたのですが(一応、アマ五段です)、知恵の輪ジャパンは予選で韓国と中国に負けて、こちらも既に優勝戦線から脱落。持ち時間45分なんて日本のプロ棋士はほとんど打たないでしょうから、最後まで苦戦したことでしょう。名人戦は持ち時間8時間ですから、アジア大会の対局がどれだけ猛スピードで進むのか分かると思います。

まあそれはさておき、バスケ会場へ。日本のバスケファンなら誰でも知っているであろう田臥勇太を生で観るのは、私は今日が初めてです。NBAのプレシーズンやサマーリーグの試合に出場しているのはテレビで観たことがあったのですが。夜7時に中国―韓国の決勝が予定されていて、三位決定戦は3時半くらいから始まったのですが、試合ごとの入れ替えがないので(つまり一枚のチケットと2試合観戦できる)、早めに会場入りしている中国ファンも結構いました。

日本ーイラン
試合ですが、日本は試合開始からどうも波に乗れず。ここまで男女サッカーのしぶとさとチームワークを目にしてきただけに、どうも選手の動きが鈍いというか、足りないというか(サッカーと比べるのも酷だけど)。田臥はパス第一のPGですから周りの選手が動いてくれないと活きてこないし、昔から弱点と指摘されてきたジャンプシュートは相変わらず不安定。むしろイランのPGの方がねちっこい攻撃で存在感が強かった印象です。「こいつなら何かしてくれそうだ」感があったというか。勝ち続けるチームには必ずそういう選手がいるもので、この試合でもイランのPGは大暴れでした。日本は一度崩されたリズムを元に戻す事ができず、結局最後までリードすることなく完敗。特筆すべき展開が何もなかったのが残念です。

さて、最終日の通訳ですが・・・キャンセルされました(泣)。まあ日本メディアは4位のチームに興味はないでしょうし、中国メディアの関心は夜の決勝に100%注がれているので、考えてみれば当然の結果ということで。

なんとも締まりのない最後ではありましたが、広州アジア大会、色々な意味で楽しい仕事でした。また4年後に韓国に呼ばれたいものです・・・!

■最終日の夜に日本語通訳者が集まって食事したのですが、なんと同じレストランにマラソン解説で広州を訪れていた増田明美さんが。記念に一枚頂きました。

増田明美さんと一緒に
■余談ですが、今後はもっとエンタメやスポーツ関連の通訳を増やしていきたいと思います。政治やビジネスに飽きたわけではないけれど、今はそういうサイクルにあると言うか、純粋に楽しめる仕事をしたいですね。きちんと仕事すれば金メダルも貰えるしね!

どさくさに紛れて金メダルGET

2010年11月25日

広州アジア大会14 これが日本のサッカー!

やっぱりサッカー決勝の担当になりました。会場のスタジアムも今日に限ってはセキュリティが一段と厳しくなっており、当日用の特別なパスが必要とのことなので、3時過ぎに会場入りして三位決定戦(韓国―イラン)から観戦しました。で、これが最高の試合でした!

会場の一角に熱心な韓国サポーターが陣取り、例の「テーハンミング(大韓民国)」を大声でチャントするのですが、すぐに中国ファンのチャントにかき消され(泣)、肝心の試合もイランが先制し、後半30分過ぎまで3-1とリード。ただ奇跡はここからです。会場全体に終了ムードが漂う中、韓国は辛抱強くボールをつないで、まずはミドルシュートで1点。これでイランが目を覚まして全員で守りに入り、タックルを受けるたびに足をおさえて時間稼ぎに走るわけですが、韓国は丁寧に前線に運び、試合残り2分でゴール前に飛び出したジ・ドンウォンがヘディングで同点ゴール。そして韓国人通訳者とメディア席で「きたーーー!」と大はしゃぎしている私の興奮が冷めやまぬ間に、再度ジ・ドンウォンがDFの頭を越えてヘディングで決勝点。会場は大いに盛り上がり、韓国選手はベンチ前で抱き合い、イラン選手はピッチ上でがっくり。サッカーでこんな大逆転劇を目にすることはあまりありません。

大逆転の後、久々に饒舌なホン・ミョンボ監督
決勝は7時にキックオフ。予選からずっと観てきた私にとっても、「21歳以下代表の二軍」と呼ばれてさほど期待もされていなかったこのチームには思い入れがあります。試合後の記者会見で監督が「すべては守りから始まる。まずは守備から」と語っていたように、我慢強く、泥臭い守備でボールを奪い、前線の水沼や永井につなぐ。「目標に向かって一丸となるところ」が日本のサッカーだとも述べていましたが、ボランチの山村をはじめ、今大会は守備陣がとても印象に残っています。DF実藤の決勝点も今まで我慢していた鬱憤を一気に晴らすような感じで、個人的にスカッとしました(おおむねUAEの応援に回っていた中国人を黙らせたというのもある)。フィジカルで勝る相手でも、組織力で互角以上に戦えることを証明した大会でもありました。



負け戦の記者会見ほど重くて面白くないものはないですから、勝利で終わって本当に良かったです。予選からずっと固かった印象の関塚監督も、最後の記者会見はリラックスしていて、肩の荷が下りたのだなあと感じました。前も書きましたが、関塚監督は寄り道をしないで、筋が通った話をするので非常に通訳がしやすい。川崎フロンターレ時代、国際舞台の大きな試合では涙をのむ事が多かったですが、ついに念願のビッグタイトルです。日本サッカー史上初のアジア大会優勝、おめでとうございます!

■グリーンズ関係の仕事でお世話になった兵庫県議会議員の稲村和美さんが尼崎市長に当選したとのニュースが飛び込んできました。歴代最年少(38歳)の女性市長です。おめでとうございます!サンパウロの夜のように、またワインをしこたま飲みましょう!

■125年の歴史を誇る広東料理の老舗・陶陶居酒家でランチしてきました。飲茶は久しぶり。香港に住んでいた頃は毎週のように食べていた記憶があるのですが。

がっつり食べました

2010年11月24日

広州アジア大会13 念願のビーチバレーだったけど。

先週からスケジュール担当者に「私は女子ビーチバレーのスペシャリストだから、日本語通訳はまかせてね!絶対だよ!」と明らかに下心丸出しのアピールを続けていたら、なんと要望を聞き入れてくれてビーチバレーを担当させてくれた・・・って男子かよ。一杯食わされた。

日本は朝日・白鳥ペアが銅メダルを決める三位決定戦に出場。ただ対戦相手との実力差がかなりあったのか、34分であっけなく勝利。そして銅メダルだからなのかは分かりませんが、記者会見を求めるメディアがおらず、せっかく1時間もかけて会場に来たのに仕事はなし。でもまあここまで来たのだからと、中国ペアが激突した決勝を観戦してきました。

その試合ですが、まず驚いたのが進行と演出。というか、Xゲーム並みの派手な演出です。タイムアウト中はもちろん、ポイントの間の8~10秒にも音量MAXの音楽が流れて、タイムアウト中とセットの合間にはセクシーダンサーも登場して踊りまくるので、観客は目と頭を休める暇がありません。ただその辺はきちんと計算されていて、決して疲れることはありません。むしろ一つのエンタメ・パッケージとして完成しているというか。

ダンサーの皆さん、美しい!
 ビーチバレーを生で観るのは初めてだったのですが、意外に選手の動きが速い。砂に足をとられてかなりスピードと俊敏性が落ちるのではないかと勝手に予想していたのですが、やはり鍛錬を積んだプロというか、スピードもポジショニングも素晴らしい(当たり前か)。そしてパワーよりも頭脳プレーの要素が圧倒的に多い大きい印象です。決勝を戦った中国ペア2組は国内でも頻繁に対決するらしく、今年は互角の勝負が続いていたとか。それだけに1セットが重いです。動画は第一セット最後のポイント。



そういえばビーチバレーなんてもう10年以上やってないな・・・

2010年11月23日

広州アジア大会12 成長する若きサムライたち

男子サッカー準決勝、イラン戦です。日本同様、イランも23歳以下の選手を中心にチーム編成をしていたのですが(試合後の記者会見でイラン監督が「クラブチームが選手を出してくれなかったのでベストメンバーを揃えられなかった」と述べていたので、意図的ではないかもしれませんが)、フィジカルでは全体的にイランが日本を圧倒。個々の創造性、ダイナミズムで勝るイランは観客を大いに沸かせてくれました。縦パス一本でするっと抜けて先制点を取った時は日本選手が浮き足立っているのが手に取るように分かりましたし、イランはその後も前線から激しいプレッシャーで日本の肉体的・精神的タフネスを試しているようでした。

しかし日本は立ち直ります。少しずつリズムを作り、パスをつなぎ始め、イランのようにロングボールにこだわらずに、細かくつなぐ組織的サッカー、関塚監督の掲げた日本のサッカーを貫きます。すると選手が徐々に落ち着きを取り戻し、水沼が抜け出して同点ゴール。後半はイランが背の高いFWを投入してクロスからの攻撃を試みますが、日本も當間を投入してディフェンスラインを固め、イランの猛攻に我慢の時間。そして居合いのように一瞬のスキを突いて、永井のドリブル3人抜きの逆転ゴールが生まれました。イランの監督が「イランは6度の決定機があり1ゴール、日本は3度の決定機があり2ゴール。決定力が勝負を決めた」と話していましたが、その通りだと思います。

先制されるも集中を切らさず逆転!
いつもはあまり話さない関塚監督もこの日は記者の質問に長く丁寧に話していました。選手一人ひとりの成長、そして一つのチームとしての成長を実感し、とても喜んでいるようでした。逆転ゴールを決めた後に選手全員がベンチ前に集まって抱擁していた姿が目に焼きついて離れません。二日後の決勝もぜひ担当したいものです(単に試合を観戦したいというのもあるけど)。

■イランの監督は発言する時に必ず「In the name of Allah...」と言っていたので、私もしかたなく「アラーの名において・・・」と訳しました。そういうものなのですかね。

■この日の午後2時半頃、韓国が海の軍事境界線と定める北方限界線(NLL)に近い韓国西方沖の延坪(ヨンピョン)島と周辺の黄海水域に、北朝鮮側から砲撃があり、50発以上が着弾、多数の民家が炎上したとの一報。韓国軍が応戦し、少なくとも韓国軍兵士2人が死亡、兵士や住民20人が重軽傷を負ったとのこと。北朝鮮人の通訳をしなければならない韓国語通訳者にとって、かなり複雑な状況になりつつあります。もともと複雑なのに、もう勘弁して!

2010年11月22日

広州アジア大会11 なでしこ、悲願の金メダル

アジア大会で女子サッカーが採用されたのは1990年大会が初めてで、今回が6大会目。これまで女子サッカー日本代表はアジア杯を含め、過去のアジア覇者を争う大会では、準優勝が7度と、最後の最後で苦杯をなめてきました。あともう一歩。何かが足りなかった。宮間主将は、試合前に「今まで、金メダルを取れなかった先輩たちのために戦おう」とチームを発奮させていたと記者会見で語っていました。

ホテルで待機しているのも退屈なので三位決定戦(中国―韓国)のキックオフから会場入りしていたのですが、中国には準決勝の日本戦で見せた覇気が無く、気の緩みと一瞬のスキから開始2分でゴールを許し、その後も韓国にがっちりボールを支配されて完敗しました。6~7割入っていたスタジアムも決勝戦直前には5割程度に減っていて、私が座るメディア席のすぐ隣には北朝鮮の応援団、そのすぐ隣には数では劣るものの、日本の応援団が陣取っていました。試合内容によっては乱闘とかあるのかな、と考えてみたり。

その試合ですが、予選とほぼ同じで、北朝鮮の激しいプレスとスピーディーな展開に日本は防戦一方。日本は攻撃のリズムをなかなか作れず、ボランチの澤や坂口がボールを奪っても前線に展開しきれない。北朝鮮SBのセンタリングがそのままゴールになりそうだったり、MFのミドルシュートがクロスバーを叩いたり、日本を応援する側としてはあまり心臓に良くない流れが続きました。ただシュートを打たれても、サイド突破を許しても、全員守備で最後の最後は泥臭く跳ね返す、そんな日本代表がとても印象的でした。

我慢の時間が続いた日本
後半28分、コーナーキックにDF岩清水がヘッドで合わせて待望の先制ゴール。北朝鮮を応援していた中国人ファンのチャントが一瞬でため息に変わりました。北朝鮮は3人の交替枠を使い切って最後の猛攻撃を仕掛けてきましたが、日本はしっかり連携してチャンスの芽を摘み取り、逆に北朝鮮DFラインに生まれた穴を突く場面も。そして試合終了のホイッスル。予選からずっとなでしこ担当通訳者(?)だった私としては、個人的にも特別な日になりました。



試合後の記者会見は、おそらく今大会でもっとも安定している中国語通訳者であるJiang Qianさんとペアを組む。男の子を育てながら仕事をしているママさん通訳者です。会見前に北朝鮮と韓国の正しい呼称を確認する。これを間違えると実行委員会が結構うるさいのです。


北朝鮮
×North Korea
○DPRK (DPRK athletes)

韓国
×South Korea
○Korea (Koreans)

北朝鮮の監督は専属の通訳者を伴って姿を現したのですが、正直、プロとは呼べないレベルでした。おそらく韓国人に通訳してもらう屈辱を味わうくらいなら自国の通訳者を使いたい、ということなのでしょうが、なにしろ英語が英語になっていないし、外国人記者の “Does dear leader Kim Jong-il love women’s football? If so, did he watch this final on TV?” という通訳的には初歩の初歩の質問にも「もう一度質問をゆっくり繰り返してもらえますか?」とお願いしていたくらいですから。記者は空気を読んで誰もツッコミを入れませんが、みんなそう思っていたはずです。

北朝鮮応援団は警備付きで会場外へ

最後に佐々木監督。これまで多くの監督・選手の通訳をしてきましたが、通訳者全員の片付けが終わるのをわざわざ待って握手を求め、お礼をして帰るなんて、佐々木監督くらいです。ロンドン五輪に呼ばれたらまた通訳したいです!

何はともあれ、なぜしこジャパン、金メダルおめでとうございます。感動しました!

表彰式でメダル待ち!

2010年11月21日

広州アジア大会10 体調管理が難しい

前々からスケジュール担当者に「ホテルに一日中待機だと本当に退屈だから毎日仕事お願いね!」ときつく言ってあったのですが(笑)、他の通訳者との兼ね合いと、ファイナルが少ないということもあって、今日は久々のオフ。そんなわけで、帰国後に始まる裁判員裁判の資料読み込み・翻訳と、某誌の編集者にお願いされた原稿を書く。今日は私の他に5人の日本語通訳者がオフなのですが、みんな同じような感じだと聞きました。オフと言っても、やはりみんな忙しいですね。

ただ私も含めて、どうも喉の痛みや鼻の違和感を訴える通訳者が続出しています。やはり広州の空気のせいでしょうか。夜もよく眠れません。目もチクチクした痛みが時折あります。アラビア語の通訳者の中には広州に到着してすぐ体調不良を訴えて3日で帰国した人もいます。中国語通訳者はただでさえ不足気味なのに、体調不良で北京に戻ってしまった人も。実行委員会は当初の計画を変更して、中国語通訳者の追加要請をしているようですが、いまさら言われても手配は難しいのではと思います。できる通訳者はすぐにスケジュールが埋まってしまいますから。

でもベトナム料理を食べる元気はある
 ■一部競技で台湾人監督が中国語通訳にクレームをつけたとの噂が広まっていましたが、どうやらガセだった模様。通訳者のレベルにはもちろん差がありますが、ここまで特に大きな問題はないようです。

■韓国語通訳者のヘレンが、韓国メディアで「美人過ぎる通訳者」として特集されたとか。羨ましいなあ。誰か私も特集してくれないかしら。「焼肉を愛し過ぎる通訳者」とかで。

左が噂の「美人すぎる通訳者」

2010年11月20日

広州アジア大会9 日本vs中国キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

もうすっかりサッカー担当になってしまった感がありますが、好きなので特に文句はありません(笑)。今日は中国でも注目されている準決勝。女子サッカーは中国でも注目を集めていて、入場ゲートはどこもカオス状態(中国人は列に並ばないというのも理由の一つですが)。会場内のセキュリティも通常より厳しく、スタジアム内も熱気がムンムン。一般に混じって観客席で日本を応援したら危ないのかなあと考えていたら、なんとエグゼキュティブ・ルーム(!)に案内された。11月中旬になっても昼間は暑いので、空調がある部屋での観戦は助かります。それにエグゼキュティブ・ルームからはフィールドが全て見渡せる。日本で普通に借りたら30万円くらいはするのでしょうか。

VIP待遇っぽい
暑い暑いと文句ばかりの私ですが、ピッチ上の選手はもっと暑いはずで、中国の猛攻を90分間しのぎ続け、0-0で延長に入る頃には日も暮れ始めていました。0-0でも通訳者は残り時間15分くらいの時点で記者会見場に移動して準備を始めます。マイクのチェック、通訳の順序の確認、メディアリストの確認等(会見に参加するメディアのリストが配布される)、色々あります。ただ準備が終わっても、試合はまだ終わる気配がありません。延長に入っても一進一退、いやむしろ中国がやや優勢のムードで、周囲の中国人記者たちの「いけるぞ!」的な雰囲気の中、私だけがハラハラして肩身が狭い感が。

しかし日本代表はやってくれました。ずっと我慢のサッカーを続けてきたFW大野が延長後半、こぼれ球に反応してがら空きのゴールにシュートを叩き込む。「あぁー」のため息が会場を包み、メディアラウンジにも悲鳴が。そして日本は残りの8分をがっちり守って逃げ切り、試合終了。ホイッスルが鳴り響いた瞬間、中国の選手はフィールドに倒れこみ、日本も手を挙げて喜ぶ選手は少なく、その場に座り込んだりして、本当に限界まで疲労していたことが伺えました。

完全アウェーの中、よく頑張った!
 3ヶ月前に新しい監督が就任してから、中国はとても素晴らしいサッカーをしていただけに、ファンにとっては痛い敗戦だったことでしょう。会見でも質問は中国代表の監督に集中し、3ヶ月でここまでのサプライズを演出できたのであれば、次のアジアカップやW杯はもっと期待できるのではないかと、もう将来を見据えている質問が多かったように思います。男子代表が予選で敗退した時はかなり叩かれて酷評されただけに(現地の新聞では「全員クビにしろ!」とか「恥をさらすくらいならサッカーなんてやめてしまえ!」などの見出しが並んだ)、反応が極端だなあと思いました。

日本側からは佐々木監督とMF澤選手が登壇。佐々木監督は非常に礼儀正しく、通訳者にも色々配慮してくださる方です。監督や選手の中には、勝ったにしても負けたにしても、なぜか機嫌が悪くて質問にまともに答えなかったり、わざと挑発的な答え方をしたりする方もいる中、本当に紳士的でした。

会見後に澤選手が「三ヶ国語喋れるんですか?」と訊いてきたので、私は中国人通訳者の英語を待ってリレーしているのですと説明したら「すごくスムーズなので中国語も分かるのかと思っていました」とありがたい一言を頂きました。いやいや、15歳から日本代表のあなたの方が百倍凄いですって。今までもファンでしたし、これからもずっとファンですよ!

2010年11月19日

広州アジア大会8 野球はガラガラ、バスケは超満員。

この日は野球の三位決定戦を担当。準決勝で台湾に惜敗した日本代表は中国と対戦。この日もタクシーで早めに到着して最初から観戦しました。中国代表が弱いというのもあると思いますが、中国で野球はまだマイナースポーツ。担当の中国語通訳者も「野球は全く知らなかったらルールを一から勉強したの」と言っていました。そういえば日本人通訳者の中にもチェンジアップを知らない人がいたな・・・(遠い目)

試合は一回裏に日本が5点を先制。中国の先発ピッチャーが大乱調で自爆したというのもありますが、日本も要所でヒットを重ねて序盤で試合を決めました。先発した横浜ドラフト1位の須田と、中継ぎした阪神ドラフト1位の榎田は共に球のキレと伸びが良く、プロになってからも活躍が期待されます。ちなみに試合後の記者会見はドタキャンでまたも出番無し。中国との3位決定戦など消化試合に等しいと思ったのかは分かりませんが、日本メディアの気配は全く無く、それなら会見しても意味ないよね、ということでした。

そんなわけで予定より早くホテルに戻り、小さな翻訳案件を2件さばいた後、男子バスケットボール(中国vsウズベキスタン)の試合を観戦。会場はアジア大会のためだけに建設されたようで、NBA級のデザインと収容数を誇るアリーナ。試合中の演出もレイカー・ガールズもどき(笑)あり、アクロバティックダンスありと、エンターテイメント性にも力を入れている印象がありました。試合は元NBA選手の王治郅がサイズと老獪なテクニックでインサイドを圧倒し、中国のガードもノーマークの3点シュートを連発して、技術・経験不足のウズベキスタン代表を一蹴しました。ウズベキスタン代表監督が試合後の記者会見で明らかにしていましたが、資金難でフルチームを連れて来れなかったという事情もあったと。同じアジアといえど、やはり富の差はあるのだなと当たり前の事実を改めて実感させられる一幕でした。



日本のPG田臥勇太は中国でも名が知られているらしく、アリーナ内のポスター等にもフィーチャーされていました。ぜひ決勝に進出して中国と対戦してほしいものです。そうなったらぜひ私が通訳を担当したいですね!

■ちなみに台湾は英語ではTaiwanではなく、Chinese Taipeiと言わなければならないと指導されています。クエート人もKuwaitiはダメで、people of Kuwaitと言うようにと。政治的に色々あるのでしょうね。

中国のスーパーはこんな感じ

2010年11月18日

広州アジア大会7 女子サッカー、予選から頂上決戦!

今日は注目の一戦を担当することになりました。女子サッカー予選、日本vs北朝鮮。2010年8月13日付のFIFAランクは日本が5位、北朝鮮が6位で、アジアでは文句なしの二強です。もちろん中国(14位)と韓国(21位)も優勝争いに絡んでくるわけですが、連携と安定感では日本と北朝鮮が上という感があります。

いつもはホテルから他の通訳者と一緒にシャトルバスに乗って会場へ向かうのですが、これだと試合開始に間に合わず前半を見逃してしまうので、この日から注目の試合については自腹を切ってタクシーで早めに向かうことにしました(といってもタクシー料金は激安なので痛くも痒くもない)。ホテルで待機している時間がもったいないですし、やはり観客の反応を生で感じながらのスポーツ観戦は楽しいものです。ALL ACCESSのカードを頂いているので、使わない手もない(笑)。

ぞくぞく集まる中国ファン
 試合は両チームにいくつかの決定機があったものの、印象としては北朝鮮ペースで進み(正確なデータは分かりませんが、支配率は北朝鮮が上だったと思います)、日本は北朝鮮の厳しいプレスに対して上手くボールを前に進めることができなかった様子でした。ただやはりベテランの澤と宮間の安定感には安心しますし、ブーイングを続けていた中国人ファンもGK山郷のスーパーセーブ連発には「おおっー!」と驚いていました。普通に2-0で負けてもおかしくなかった試合ですが、山郷の活躍もあり、引き分け(0-0)で予選一位通過を決めました。

さて試合後の記者会見ですが、本大会での記者会見は中国が関係する試合を除き全てメディアの要望により開催されるらしく(この点も情報が錯綜していたのですが)、この試合については決められた時間までに日本メディアから開催要請がなかったので開催は見送られることになりました。ただこの決定についての公式発表が遅れ、そしてそもそも要請が必要なことすら日本メディアは伝えられていなかったらしく、記者会見場の外では「ここまで注目されている試合なのに公式記者会見が無いのはどう考えてもおかしいだろ!」と怒号が飛ぶシーンも。最終的にミックスゾーンでのぶら下がりのみになりました。

選手リストや結果など、プレス用の情報
 シャトルバスのスケジュールの関係でスタジアムに残ることになり、中国と韓国の試合もフル観戦しました。スピーディーな攻撃をする中国に対して鉄壁の守りでゴールを死守する韓国、といった印象。特に見せ場もなく0-0の引き分けに終わったのですが、予選通過順位を決めるためにPK戦が行わたのは予想外の展開で、中国ファンも大いに盛り上がりました(韓国が勝利したのですが)。

ちなみに今大会では中国語通訳者が非常に重要な役割を担っています。基本的には全ての発言は中国語に通訳され、中国語の発言は通訳者を介して私のような他言語にリレーされるわけですが、中国語通訳者の英訳クオリティ(発音、構文、表現など)が良くないと他言語の訳出にも大きな影響が出るわけです。通訳者の中には早くも「あの中国語通訳者とはちょっと組みたくない」と漏らしている人もいます。私はどう評価されているのでしょう・・・

2010年11月17日

広州アジア大会6 見世物パンダになった件。

今日は昼過ぎから射撃場へ。ホテルを出発した時にはメダリストが確定していなかったので私も呼ばれて行ったのですが(メダルが有力視されていた日本選手がいた)、結局は中国が金・銅、イランが銀を獲得。出番が無くなったので表彰式の様子を覗いてきました。



表彰式や関係者誘導に登場する女性アシスタントが、「セクシーすぎる」として各国メディアで話題になっていますが、確かに露出度は高いです、というか妄想を刺激する程度に高い(笑)。体のラインがはっきりと分かる中国の伝統衣装「旗袍」(チーパオ=チャイナドレス)を身につけており、水色を基調にしているため、下がある程度透けて見えるのです。5メートルくらいの距離に近づくと目のやり場に困ります。いや、本当に!

近くで見るとヤバいです

記者会見場のモニター
夜の部はまた競泳の記者会見。この日はオフだった日本人通訳者4名がなぜか私の通訳を見に来た。というか本当の目当ては入江陵介だったらしいけど。仕事が始まれば集中してゾーンに入るので、誰が見ていようと緊張はしないのですが、途中から空調が抑えられたようで、暑がりの私は汗をぽたぽたこぼしていました。もしかしたら緊張しているように見えたかもしれません。実は初日も同じように汗がこぼれていたので、「緊張しているのかな、珍しいな」と思っていたのですが、指先をじっと見つめても震えていないし、足も大丈夫。思考も明瞭。単に暑いだけでした(笑)。最近は緊張感が無さ過ぎて困っているくらいなので、もう少し緊張感が欲しいのが本音です。適度な緊張感は集中力を維持するためにも重要ですので。

実は貴重なネクタイ姿
 私自身も会見が始まる前にミックスゾーンで朴泰桓(韓国)のパワフルな泳ぎを覗いてきました。スタートに遅れて、折り返し地点で体半分遅れていたにもかかわらず、最後の30メートルでググっと追い上げる底力は正直「凄い」の一言です。たまに中国人記者がいやらしい質問を投げかけるのですが、それにもきちっと大人の対応をしていました。

競泳ミックスゾーンから一枚
私はといえば、一本目に上田春佳選手の通訳をしたのですが、中国人記者の「北島選手が明日の200メートル平泳ぎを棄権したそうですが、理由を教えていただけますか?」との質問にJOC(日本オリンピック委員会)の藤原理事が「後で説明します」と間に入って答えたのが唯一の印象的なシーンで、それ以外は普通の記者会見でした。まあ公式記者会見に大きなドラマはあまり望めないのですが。会見後に藤原理事に「通訳者の方々が良い仕事をしてくださって、選手も本当に助かっています」とお礼の言葉を頂いたのが心に残っています。まだ大会は半分も終わっていませんが、今後も頑張らなくては。

2010年11月16日

広州アジア大会5 男子サッカー、決勝トーナメント!

実は前日夜に男子サッカーを担当することが決定していたので、なんとなく夜遅くまでテレビで韓国と中国の一戦を観てしまいました。仕事でサッカー(というかスポーツなら何でも)が観られるとは、本当に幸せですね。日本の決勝トーナメント一回戦の相手はインドです。格下といえども油断はできません・・・と言うべきなのですが、私が試合会場に到着した時点ですでに日本が4点リードしていて、最終的に5-0で完勝しました。エース永井が2得点。関塚監督は「個人としても、チームとしても、一試合ごとに成長が感じられる」と述べ、試合内容にも納得している様子でした。インド代表の監督は、選手の経験不足と、A代表に中心選手を取られているためにベストメンバーを組めなかったことを敗因に挙げていました。それでも素直に「日本のスピーディーな試合展開についていけなかった」と認めるところは大人です。

前回と同様、記者会見場は日本のメディアで超満員。今後の日本の試合は毎回こうなることが予想されます。「サイドの揺さぶり」や「引き気味のラインからカウンター狙い」など、うっかりしていると足をすくわれる表現などもポンポンと出てくるので、サッカーを比較的知っているといえども油断はできません。日本語の通訳が付かない記者会見ではあまり質問をしない記者たちも、通訳者が付くと待ってましたとばかりに鋭いツッコミ的な質問をビシバシ投げかけてきます。というか、私より中国人通訳者の方がタジタジだったかもしれません。

ところで今夜は早く仕事が終わったので、通訳仲間とホテル近くのマーケットに繰り出しました。1)スケジュール確認→2)リサーチ→3)現場→4)寝る→1)に戻るという毎日が続いているので、遠出はおろか近場でも探検する時間があまりありません。けれどやはり少しは観光らしきものもしたいのが人間の性というもの。ただ尖閣諸島で日中関係が揺らいでいるので、ここで食事をした際には韓国人のふりをしました(笑)。意外とバレなかったかも・・・いや、普通にバレてたか。

あやしい韓国人たち
これまた怪しい韓国人2名
さらに怪しい韓国人たち
ちなみにコーディネーターの方々は毎日朝の3時~4時頃まで調整業務を行っています。私達通訳者は表面的な部分しか見えていませんが、裏では様々なロジ調整が行われているわけで、本当に感謝、感謝です。

午前1時ですが、まだ調整中です。

2010年11月15日

広州アジア大会4 負けても北島康介は偉大だった、の巻

今日はホテルを午後5時に出発して奥体遊泳館(Aoti Aquatics Centre)で競泳の通訳でした。よほどの注目競技(または選手)でない限り、通訳はファイナルの後の記者会見のみと説明を受けています。ただ記者会見はメダリストしか参加できないので、日本選手がメダルを取らないと私が輝くチャンスも失われるというわけです。そういう意味でも頑張れ、ニッポン!

競泳の記者会見は次から次へとスピーディに進んでいきます。この日は7つの決勝レースが予定されていたのですが、メダリストは表彰式の後すぐに会見場に案内されるので、一つの会見が終わる頃には次の選手が入ってくるという感じです。レース前に参加選手の名前と予選タイムなどが記載された資料(スタートリスト)が配付され、記者会見直前には試合結果のシートも配られます。きちんとライバル選手の名前などに目を通しておかないと、選手の名前を言い間違えるかもしれないからです。というか、名前や数字をしっかり訳出するのはプロの通訳者なら当然のことなのですが。

本日の競泳スタートリストなど
ちなみに会見場はプールのすぐ横にあるのですが、スケジュールの関係上、通訳者は観客席でレースを観ることができません。記者会見場のモニター(消音!)で静かに観戦です。

プレスの作業ルーム
さて、私が今夜担当したのは以下の通り。

  • 女子50メートル背泳ぎ 寺川綾(銀)
  • 男子50メートル自由形 岸田真幸(銀)、原田蘭丸(銅)
  • 女子400メートル自由形 藤野舞子(4位につき通訳の出番なし)
  • 男子100メートル平泳ぎ 立石諒(金)、北島康介(銀)
  • 女子200メートルバタフライ 星奈津美(銀)
  • 男子200メートル背泳ぎ 入江陵介(金)
  • 男子800メートルリレー 小堀勇気、内田翔、葛原俊輔、松田丈志(銀)

中でも印象に残っているのは・・・

■ 入江陵介の堂々とした発言。今年は度重なるケガや、コンディションをなかなか上げることができない日々が続いていたが、アジア大会連覇を目標にしてきたと。私よりもずっと年下なのに、落ち着きといい、立ち振る舞いといい、私より明らかに大人です。言葉の端々に王者の風格を感じました。ちなみに至近距離で見たら、今なにかと話題のあひる口がキュートでした!

入江ファンの通訳仲間が撮ってました
 ■星奈津美のネイル(笑)。爪に綺麗な金の星屑ラメが施してあり、ああ、やっぱりまだ若者なんだよなあ、と勝手に納得してしまいました。泳ぎは堂々としていましたが。国際大会で初のメダル、おめでとうございます。

■立石諒と内田翔の北島に関する発言。北島の残念な結果をどう思うかと問われて、立石は「北島選手はアメリカでひとりハードなトレーニングを積んできて、個人的に見ても良いコンディションではありませんでした。でもそのコンディションでもあのタイムを出すのは凄いと思いますし、彼のプロとしての底力を感じます」と発言。内田は日本がリレー二位に終わったことについて「現実を受け止めなければならない。選手村に戻って北島さんとミーティングをします。大会はまだ終わっていないので、これまでの事を反省しつつ、今後チームとして何ができるかを考えたい」と。たとえ負けても北島康介は日本競泳チームの精神的支柱なのだなと強く感じさせる一幕でした。

ちなみに競泳のレースを game と訳す通訳者には、ちょっとイライラします…!

記者会見場の後ろから一枚

2010年11月14日

広州アジア大会3 いきなりオフ!

前日深夜に14日のスケジュールが発表され、まだ大会は始まったばかりだというのに私は早速オフが決定しました。前日の仕事が遅くまでかかったのを配慮してくれたのでしょうか(スタジアムがホテルからかなり離れていたので、戻ったのは夜11時頃)。まあでも他の通訳者もいるので休める所は素直に休んでおきます。

日本語通訳者は10名いるのですが、2名は「バックアップ」として呼ばれています。基本的に出番は少ないのですが、正通訳者の体力的負担を軽減するために所々サポートに入っています。この日も一人、馬術とカヌーのファイナルに呼ばれて、早朝から車で数時間かけて山奥の会場に向かったのですが、会見がなぜかキャンセルになったとのこと。これは他の競技でもそうですが、メダルが想定されて通訳者が派遣されても、4位に終わったりすると会見がキャンセルになることもあるそうです。その他にも運営上の理由があるらしいですが。

大会期間中、通訳者はホテルから移動時間10分の範囲に拘束されます。突然の通訳者派遣要請にも迅速に対応するためです。すると買い物はもっぱら隣の売店に限定されるわけですが、これがまたシュールな売店で、もちろん普通に軽食や飲み物が売られているわけですが、レジ横のショーケースには大人のおもちゃや怪しい錠剤が並べられています。これはどう考えても外国人の宿泊客が乱痴気騒ぎしているな、と推測してしまいます。夜になるとホテル各階のエレベーター前にホテルスタッフが立っているのですが、おそらく売春婦を水際でストップするためでしょう。大会期間中はセキュリティも厳しくなっていて、売店でジュースを買って2分で戻ってきても持ち物を検査され、金属探知機で全身をなめ回されるという徹底ぶりです。

会場アクセス&地下鉄も無料になるIDパス
ネット検閲も予想はしていましたが、やはりGoogle.comはアクセス不可(香港のGoogle.com.hkは大丈夫でした)。でも日本のGoogle.co.jpはアクセスできるし、ウィキペディアで「天安門事件」も検索できる。 Facebook / Twitter / Tumblr などのSNSも規制対象になっており閲覧不可。これらは大きな問題ではないのですが、YouTubeにアクセスできないのは通訳の準備に多少影響があります。事前に各競技のルール等は調べてきているものの、やはり実際に通訳する前に可能な限り競技が行われている様子を目にしておきたい。例えばアジア大会ではセパタクローという競技があるのですが、今回はニコニコ動画の映像が役立ちました。ちなみに部屋で待機中に事業仕分け第3弾を観たりして、ニコニコ生放送にも大変お世話になっています(笑)。

2010年11月13日

広州アジア大会2 初日からメダルラッシュ、そして初仕事はサッカー

経済誌『フォーブス』が11月12日に発表した今年の中国商業都市ランキングで、広州は上海を抜いてトップに立ちました。広州の昨年の経済成長率は脅威の11.5%。世界各地で経済不況が続く中、本当に驚くべき数字です。今朝はアジア大会会場の一つである天河体育中心(Tianhe Sports Centre)の近くにあるショッピングモールを覗いてきたのですが、やはり経済成長は本物だな、という実感が得られました。

ホテルに戻ると、市来崎大祐が武術太極拳の男子長拳で銀メダルを獲得したとのニュースが。このイベントにはオーストラリアから来た通訳者さんが朝早くから派遣されていて(5時半起床だったとか)、競技後の市来崎の記者会見を通訳した。いよいよ始まったのだな、と実感がこみ上げてくる。通訳者の中には「この競技を担当したい」とか「この競技はあまり知らないので避けたい」などと好き勝手を言う人もいるのですが、個人的には日本がメダルを狙えそうな競技なら何でもOKというスタンスです(笑)。アジア大会の競技については一通り調べてあるのでどこに派遣されてもさほど心配はありませんが、やはりどうせ通訳するなら、どんよりムードな敗戦の弁よりニコニコモードで勝利を語る方が楽しいものですよね。気持ち的に。

その私はと言えば、ランチ前に今日の担当競技が決定しました。サッカー日本代表(U21)対キルギスの一戦です。日本はすでに予選リーグの一位通過を決めているため、実質的には消化試合なのですが、個人的に好きな競技なので、一発目としては当たりかなという感じです。

スタジアムに到着すると通訳者の詰め所に案内され、7時から日本戦キックオフ。メインスタンドのメディア席に移動して観戦しました。日本はスタメンを8人入れ替え・・・なのですが3-0で完勝。本日が20歳の誕生日の登里が2ゴールを決めました。試合内容でさほど記憶に残るシーンは無かったのですが、観客(ほぼ全員中国人)が日本の国歌斉唱の時に凄まじいブーイングを浴びせていたのは何かと新鮮でした。そうか、これが例の有名なやつか・・・
ゲートでID確認&金属探知機

韓国人通訳者が選手リストを確認
試合後はすぐに記者会見場へ。キルギス代表監督の会見の後、関塚監督と登里選手が登壇。基本的に全ての発言は中国語に通訳される必要があるため(メディア的な理由からだろう)、リレー通訳の方式が採用されていて、例えば関塚監督が日本語で喋るとまず私が英語に訳し、その英語訳から中国語に訳されるという感じです。当然かなりの時間がかかってしまうわけですが、仕方がありません。関塚監督は「決勝トーナメントは予選とは全く別。気持ちを引き締めてチーム一丸となって戦う」と述べられていました。冷静沈着、知将のイメージです。発言も筋が通っていて分かりやすく、通訳がしやすい。助かりました。

日本vsキルギス
記者会見場で打ち合わせ
ただ、消化試合だというのに日本のメディアの数には驚きました。時事通信、日刊スポーツ、集英社など計10社。一番盛り上がった記者会見でしたし、会見後もスタジアムの外で選手のぶら下がりをしていました。これで決勝が日本対中国になったら祭りな展開になるのだろうなあ、色々な意味で。

選手は公式記者会見後、裏でぶら下がり取材。
 ■一部の韓国人通訳者が北朝鮮関係者の通訳を拒否するという事件がありました。「私達は韓国人の通訳をする契約であって、北朝鮮人の通訳はしない」と主張したらしいです。ただ契約にそんなことは書いてあるはずもなく、予期せぬ問題にコーディネーターも頭を抱えていました。個人的に言わせてもらえば、仕事に政治を持ち込む通訳者はプロ失格です。それをしてしまったら、特にアジア大会やオリンピックのようなスポーツの祭典の精神に反することになりますし、なにより本大会に北朝鮮代表が参加することは周知の事実でしたから、強い政治的感情を持っているのであれば最初から断れば良いだけの話です。

北朝鮮監督が韓国人通訳者を受け入れた貴重な一枚
 ■ちなみに今日はトライアスロン女子で足立真梨子が金メダル、土橋茜子が銀メダルを獲得したのですが、なぜか通訳者の手配はされなかった模様。メダルを獲得しても、必ずしも通訳者が派遣されるわけではない事が判明しました(記者会見は選手が英語で応じたのだろうか)。逆にサッカーやバスケットボール、武術太極拳などの注目競技は予選の試合から通訳付きの記者会見がいくつも開かれるらしいです。

通訳担当表

2010年11月12日

広州アジア大会1 日本代表通訳者として。


明日から4年に一度開催されるアジアのスポーツの祭典、第16回アジア競技大会が始まります。アジア大会規模のイベントで通訳者が具体的にどのような仕事をするのか、伝えられる範囲内で詳細に伝えていきたいと思います。

さて、今夜が開会式なのですが、通訳者は必要ないとのことなので、全員ホテルで待機です。本大会の通訳者は合計55名、日本語の通訳者は10名(日本語通訳者といっても全員日本から来たわけではなく、イギリスやアメリカから来た方もいます)。私以外はアジア大会規模の国際イベントを経験するのが初めてという方ばかりで、表情にやや緊張が見て取れます。後で聞いた話なのですが、緊迫する日中関係を考慮して、一度来ると約束した後に辞退した日本語通訳者が何名かいたそうです。僕もアホなことで逮捕されないようにしなければ(「尖閣領有権を主張する日本人、中国で逮捕」なんてヘッドラインになるのだろうか)。

ホテル2階の一室に通訳者のための情報センターがあるのですが、競技が翌日から始まるというのに、夜の9時半になってもまだ通訳者のスケジュールが発表されていません。どの競技に通訳者が派遣されるか最後の最後まで主催者側と調整が続いていたようで(競技の数に対して通訳者の人数が不足している)、しばらくはこの状態が続きそうな気配です。

無駄に大きいけどダイヤ級に硬いベッド
作業デスクとしてはイマイチ(泣)
これまた無駄に豪華なレストラン

これから2週間ほど滞在するホテルですが、なんとベルサイユ宮殿をモチーフにした(外見は)豪華な造りで、「無駄に広い」「内装にセンスがない」と概ね不評なのですが、私は「たまにはセレブチックな気分を味わえて面白いでしょ…」と思っています。部屋に予備のトイレットペーパーが置いてなかったり、冷蔵庫に鍵がかかっていたりと不思議な点もありますが。

ちなみに大半の通訳者は一つのフロアに集められている中、私の部屋だけはスタッフが集まる階で、四方をコーディネーターに囲まれています。どう考えてパーティー防止策というか、目をつけられているとしか思えない(笑)。私の悪評もついにキャズムを越えたのでしょうか……!

ヨルダン選手団と一緒に便でした

2010年11月11日

2010年 翻訳・通訳忘年会

早いもので2010年も残すところあとわずか。普段は横のつながりが何かと希薄な翻訳者・通訳者ですが、年に一度くらいは同業者と集まってワイワイしても良いと思いませんか?

沖縄で翻訳・通訳業務に従事する方はもちろん、翻訳や通訳に興味がある学生や社会人の方々もぜひ御参加ください。基本的には食べて、祈って、恋をして・・・ではなく、食べて、飲んで、ゆんたくをする会です。初参加も大歓迎です!

■日時
2010年12月4日(土) 19:00~

■場所
カフェ・トラットリア Pino Vino
那覇市高良 3-3-17 コーポナガミネ1F TEL: 098-859-0415

■会費
3,500円。定員は35名ですので、申し込みはお早めに!

2010年 翻訳・通訳忘年会

2010年10月23日

エバーノート創業者、フィル・リービンさんの通訳とか。

大阪・心斎橋でエバーノートの創業者であるフィル・リービンさんの通訳をしてきました。エバーノートといえばiPhoneアプリの中でも定番中の定番、ここ数年勢いを増しているフリーミアムモデルの代表格ともいえるウェブサービスです。当初予定していた通訳者が都合で来れなくなり、イベント企画者からツイッターで当日(というかイベント数時間前に)打診を受けて急遽神戸から駆けつけました(日本翻訳者協会のイベントに参加していた)。ツイッターでは何でも流れが速いですね。

エバーノートは私も利用していますが、主にテキスト中心のライトユーザです(出張する時、現地のホテルや訪問先のデータ等をまとめて保存してある)。イマイチ上手い使い方が分からないというのもあるかもしれません。そもそも手帳も持っていないし、基本的に情報はストックしないでフローとして流していく人間なので…。そんな私が通訳しているとバレたらリービンさんに怒られるかもしれませんが(笑)、まあ仕事は真面目にやりますので。IT系は好きですし。

リービンさんのプレゼンは20分くらいと聞いていたのでエンジン全開で飛ばしていたら、なんと45分くらいあって、最後の方はバテ気味になってしまい、Ustで見苦しい姿をさらしてしまったのですが、たまたま一緒に参加していた広島の宮原美佳子さんにサポートしてもらって何とか乗り切りました。準備無しのぶっつけ本番通訳って、心臓に悪いのであまりやらない方が良いですね。まあ与えられた環境でベストの仕事をするのがプロだと考えているので、その意味では良い仕事をしたかなとも思っています。

リービンさんは、これからは「希少性」が市場を動かすのではなく、「(製品に対する)愛や情熱」が市場における価値判断の核となっていくのだと力説していました。確かにIT分野においては、製品はいくらでも複製できるので、希少性はもはや意味を成しません。そのような市場でどのように製品の価値が決まっていくかというと、消費者の製品に対する愛と情熱の度合い、というわけです。つまりただ作るのではなくて、ユーザに深く愛されるようなモノを作らなければならないということです。ユーザにとって便利であれば、支持は自然と得られる。グーグルがそうであったように。

リービンさんは本当に気さくな方で、日本にも頻繁に訪れているようです。それもそのはず、日本にはかなりの数のエバーノートユーザがいるのです。また通訳する機会があるかもしれないので、その時までにもう少し使い方を勉強しておきます!

2010年10月19日

基礎通訳講座 2011年1月期 申し込み開始!

2011年度の基礎通訳講座の詳細が決定しましたのお知らせいたします。

「現場で使える通訳技術を実践的に学ぶ」をモットーに、少人数制で密度が高い授業を提供し続けて早や5期目になります。嬉しいことに、講座をきっかけに通訳としてのキャリアを本格的にスタートした方々もおり、私も教える側として今後もしっかり頑張らなくてはな、と身の引き締まる思いです。

毎回新しい試みを心がけている本講座ですが、今期はソーシャルメディアを効果的に絡めた授業を考えています。今やソーシャルメディアは一つの時代を象徴する大きな流れになり、「知らない」ではすみません。むしろ情報を扱う事が仕事である通訳者にとって、ソーシャルメディアは有効活用すれば大きな大きな武器となることでしょう。

1月9日には無料で公開講座(体験授業)も予定しております。これについてはまた後日。講座について質問などありましたらいつでも御連絡ください。

基礎通訳講座 2011年1月期

2010年9月14日

映像翻訳の夜

こちらも2010年9月10日に放送した番組です。映像翻訳を勉強している学生や潜在的な志望者に向けて、「これからプロの映像翻訳者になるには何をすればよいのか」をテーマとしてトークしました。当然のことながら1時間でカバーできる内容はそう多くはありませんし、ディープな議論はできなかったのですが、それでも初心者にはそれなりに深い内容だったと思います。将来的には第2弾もあるらしい(?)ので、今後に期待してください。

■出演者
清水憲二(Kenji Shimizu)@transcreative
江下道子(Michiko Eshita)@nanacoro
うっちー(声のみ)@ucchysnow
関根マイク(Mike Sekine, MC)@mikesekine

■制作スタッフ
カメラ・照明 @ericoba

2010年9月13日

プロ通訳者への道~未来の通訳者へのメッセージ

先週末は日本翻訳者協会主催のPROJECT Tokyo 2010に行ったり、JAITSの年次大会に行ったり(徹夜明けで寝オチしてたとか、お約束の展開でしたが…)と忙しくしていたわけですが、実は今回の東京出張は9月10日(金)のUstream放送が個人的に一番大事なイベントだったかもしれません。私のブログを読んでいる方ならご存知だと思いますが、今年の私の研究テーマは「新時代のメディアとコミュニケーション」です。その中でUstreamをはじめとするストリーミングサービスは避けて通れないものであり、「まあゴチャゴチャ考えても始まらないからとりあえず色々試してみるか」をモットーにしている私は、例の如く失敗を積み重ねつつ多くの事を学ばせて頂いているという感じです。

さて、今回は美人通訳者4名を招いて、現在通訳を勉強している学生および潜在的な志望者に向けて、「これからプロの通訳者になるには何をすればよいのか」を中心テーマとしたトークを企画しました。業界の現状とは?今後はどのように変化していくのか?その中で通訳者としてどう在るべきなのか?実際に動画を観ると分かると思いますが、神が降臨したような爆笑モーメントや昭和のプロレス的乱入騒ぎを含みつつも、おおむねシリアスでディープな内容になっていると思います。

2010年8月27日

翻訳者・通訳者のライブラリーをダダ漏れしました。

一週間前の8月20日、甲子園球場で沖縄代表の興南高校が報徳学園を相手に奇跡的な大逆転劇を繰り広げて決勝への切符を手にしたその日、私は大阪・北浜のUstreamスタジオから翻訳者・通訳者向けの番組を生放送していました。Ustream専用のスタジオを利用するのは初めてでしたが、プロ仕様の機材を実際に触っていじってみたりして、素人なりに色々学びました。まあでも、Ustreamは面白ければ何でもあり的な部分があるのも事実なので、粗いカメラワークも愛嬌で許して欲しいですね(笑)。

今回は事前に参加者にお願いして、ブックリストを作成して頂きました。放送後のツイッターユーザの方々のインプットも掲載しています。

ブックリストはこちらから

Ustreamは無編集の完全ダダ漏れが醍醐味なので、無駄な説明はしません。どうぞ放送をお楽しみください!

2010年8月19日

第11回日本通訳翻訳学会年次大会

11回目を迎える日本通訳翻訳学会の大会ですが、今年は9月11日~12日と大東文化大学で開催されます。プログラムの発表はまだかなと思っていたら、静かに(笑)発表されていました。ステルスモードでしょうか。

第11回日本通訳翻訳学会年次大会 プログラム

11日はPROJECT Tokyo 2010に参加するのでJean-Pierre Allainの基調講演は聴けそうにないのだが、2日目に興味があるプレゼンがいくつかあるのでそれでよしとする。MIISの武田さんなんてこの大会のためだけに来日するというから、凄いスタミナだなあと思う。私はもう飛行機が嫌いになり始めているというのに(エコノミー症候群になりやすい体質っぽい)。

2010年8月17日

8/20に大阪・北浜から生放送します。

前回の大阪Ustreamからまだ一ヶ月も経過していないのですが、8月20日に次の放送が決定しました(笑)。今回は三部構成で、第一部と二部を北浜のUstream Studio Kitahamaから、第三部をMK特許翻訳事務所からお届けする予定です。特にスタジオは初めて利用するのですが、最新の機材が揃っているらしいので、画質・音質ともにかなりのクオリティーになるのではと期待しています。

2010年8月12日

iPhoneアプリ(下)

iPhone(スマートフォン)の良さをドコモやauケータイの友人に語ると、きまって「iPhoneで何ができるの?」と質問されます。これに答えるのは難しい。なぜなら、少なくとも私が携帯端末に求める事をiPhoneは全て提供してくれているし、期待を超えてくれる事もしばしば。つまり私としては、「何ができないの?」と逆に質問したくなるのだ。現時点で10万程度あるアプリを全部把握はしていなし、しようとも思わないが、これから増え続け、進化し続けるアプリ群にもはや不可能はないのでは、と思ってしまう。

日本でも昨年末から続々と新作スマートフォンが発表され始めている。私は全ての人にスマートフォンが必要だとは思わないが、少なくとも翻訳・通訳を生業にする人には必須のツールとして位置付けられていくのではないか。来年の今頃は、スマートフォンを使いこなせないフリーランスは生産性の点でかなり不利になっていると思うのだ。

2010年8月11日

iPhoneアプリ(上)

いまさらですが、昨年7月からiPhone 3GSを持っています。それ以前はドコモを5年、auを4年使っていたのですが、友人に「iPhone最高だよ!」と薦められて移籍して以来、もう手放せなくなっています。といっても本質的にはiPhoneが手放せないというより、スマートフォンが便利すぎて手放せないという方が正しいかもしれません(数年後はAndroidケータイを使っているかもしれませんし)。出張が多い私にとって、これまではノートPCを持っていかなければ出来なかった作業も iPhone一台で出来てしまう。ソフトバンクの孫正義社長はiPhoneが「ライフスタイルに革命を起こす」と断言していましたが、これは少なくとも私のケースでは誇大広告ではありませんでした。仕事の生産性も劇的にアップしました。

当然のことながら、自分が良いと思う物は周りの人に薦めたくなります。私も最近はiPhoneの宣伝マンみたいなことをしている訳ですが、その成果あって友人たちのiPhone率が徐々に上がってきました(笑)。そこで必ず聞かれる質問が「アプリってどれが良いの?」です。私も購入直後は有料/無料を問わず様々なアプリを試しましたが、正直な話、当たりよりハズレが多かったような気がします。よく使うアプリは最初の二ページに表示しているのですが、やはり最終的にはシンプルで使い勝手が良いアプリが残っている感じがします。そんなわけで、2010年8月10日時点の私のアプリは以下の通り(これでもう同じ質問に答えなくてもよくなるかな・・・)。

2010年8月9日

翻訳者的『もしドラ』3 エリカはマーケティングに取り組んだ

こうして、エリカの定義は「顧客に安心を与える翻訳者」に定まった。次いで、目標もすぐに定まった。それは「エンドユーザから指名でリピート発注を得る」ということだった。翻訳会社は通常、エンドユーザ(依頼者である企業や個人)に翻訳者についての個人情報を開示することはない。それはエリカも十分承知していた。しかし素晴らしい訳をする人には「今回も同じ人にお願いしたい」と指名がある。エリカが真の意味で顧客に安心を与えるのであれば、指名を得る事は当然の第一歩なのであった。

2010年8月8日

「物」ではなく、「物語」を売る

シャトー・ラフルールというワインがあります。ヴィンテージは94年。生産量が少ないために高価であり、カジュアルなワインファンには長く手が届きにくい存在でした。私は昔、友人が主催したパーティーで飲んだ事がありますが、「まあ美味しいのかなあ」程度に思っただけで、あまり深い記憶や思い入れはありませんでした(私があまりワインを知らないというのも当然あるでしょう)。

しかし私は約1年前、その「特に思い入れがないワイン」を購入しました。なぜか。私の中で、シャトー・ラフルールの価値が劇的に上がったからです。それはワイン漫画『神の雫』で以下のように表現されたからでした。