2015年2月28日

戸田奈津子さんの通訳について

戸田奈津子氏がNHK「あさイチ」に出演 料理通訳に疑問の声相次ぐ

あの戸田奈津子が迷訳 英語の玄米を「茶色い米」

まあ一言でいえば大失敗してネットでプチ炎上、ということです。そもそも通訳技術がかなり怪しい戸田さんになぜ依頼したのか、その理由がネームバリュー以外よくわかりません(テレビで彼女の通訳を見たことがある業界関係者で、彼女がうまいという人はまずいないでしょう)。別に戸田さんが通訳しているからといって視聴率が跳ね上がるわけではないでしょうに。

ただまあ、冷静に考えてみましょう。

…「brown rice(玄米)」を「茶色いお米」、「pine nuts(松の実)」をそのまま「パインナッツ」、「powdered sugar(粉砂糖)」を「こなパウダーシュガー」と訳した

このあたりはまだ私も理解できますし、我慢もできます。人間ですから「玄米」を忘れることもありますし、今では「粉砂糖」ではなく「パウダーシュガー」の方を頻繁に使う人もいますから。クックパッドにもパウダーシュガーのレシピが2万件ありますしね。

しかし、やはり問題はこちらです。

また、視聴者から「パンケーキの生地を冷蔵庫で保存すること」について質問が寄せられると、戸田さんは勘違いしたのか、「なぜバターを冷蔵庫に保存するのか」と誤って伝えた。そのためグレンジャーさんは「溶けないように、保存するならば冷蔵庫に入れて下さい。2週間もちます」と答え、一時、やりとりが噛み 合わなくなってしまった。

テレビ番組はしっかり台本を作成しますから、ゲストの料理人がスタジオで何をつくるのか、どういう手順でつくるのかは事前に明らかになっています。その情報は通訳者である戸田さんに提供されているはずですし、仮に局から提供されなければ通訳者が催促をするべきです。ですから手順関係で「知らない」は理由にならないですし、プロとして失格です。

加えて、プロは常に文脈を考えた上でメッセージを理解・解釈し、訳を出しています。日本では他の地域と異なり、バターを常温保存する家庭はまずありません。ですから、「なぜバターを冷蔵庫に保存するのか」という訳を出すこと自体、文化文脈的にありえないのです。これは通訳学校一年目レベルのミスなのですね。

戸田さんの字幕にはずいぶんとお世話になってきたので、彼女のその分野での功績を批判するつもりはありませんが、やはりプロとして通訳もするのであれば、もう少し勉強してほしいですね。あれがプロのパフォーマンスと解釈されたら迷惑ですので……

ちなみにこういう記事もありました。

料理通訳ができなかった戸田奈津子氏