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日本通訳フォーラム2018 8月25日(土)

2017年10月8日

フォーラム2017年のアンケート結果について。

おかげさまで、今年もなんとか日本通訳フォーラム2017を無事に終えることができました。通訳業界を代表する研究者・実務家を集めてこのようなイベントを開催できるのは今でも夢のようです。今や名実と共に業界を代表する一大イベントとして認識されつつあるようで、素直に嬉しいなと思う反面、来年以降も頑張らなくてはなあ、とプレッシャーも感じています。まあ、楽しいからやってるわけですが。

さて、イベントから1か月半経過して、今年の参加者アンケートの回答もぼちぼち集まってきたので、いくつかコメントしたいと思います。これまでは(第1回と第2回の分も含めて)とても忙しくて、コメントしたくてもできなかった!ポジティブな意見も山ほど頂きましたが、今回は主に改善点を指摘する意見だけを抽出して私の個人的な見解を述べたい思います。

1.毎回、講義の初めにPCとスライドの操作で問題が起きていたので、次回は改善を。

すみません(泣)。日本通訳フォーラムは学生も含めて多くの関係者に気軽に参加いただけるように、参加料を損益分岐点にとても近いラインで設定しています。要は、金儲けでやっているわけではありません。スタッフは全員ボランティアですし、事前に機材等のリハーサルを行うには部屋の追加料金がかかるので、これも行っていません。その意味ではすべてぶっつけ本番なわけなのですが、来年以降は休憩時間を少し多めにとって対応したいと思います。対応力を上げるためにチケット代も少し高めに設定するかもしれません。

2.会議の映像を一般参加者にも見られるようにして欲しい。

講演者とは「会員限定アクセス」で合意しているので、動画視聴を希望の方には入会をお願いしています。というか、会費はとてもお手頃ですよ。

3.講師によっては、英語しか想定していないような話し方をされるところがあったりましたが、英語以外の言語通訳者も来ているということを頭の片隅に入れていただけるとありがたいなと思いました。講師は英語がご専門の方々なので内容はもちろんそのままで構わないのですが、「みんなもわかっていて当然」という態度をされてしまうと専門外の身には少々残念に感じます。

英語専門の通訳者は英語しかわかりませんし、データによると参加者の大多数が英語で活動をされている方なので、必然的に英語中心になってしまいます。これはしかたありません。講演者も「みんなもわかっていて当然」ではなく、「会場の大多数が英語通訳者なのだから、その人に向けて話すのが効率的」というスタンスだと思いますし、私もそれで良いと思います。

とはいっても、英語以外の言語も忘れてはいません。来年以降は英語以外のイベントを増やしていこうと理事会で検討していますし、フォーラムでもなにか英語以外のセッションをもてないかなとも相談しています。興行的な要素もあるので(良いイベントをやっても赤字垂れ流しでは意味がない)、今後調整していきます。

4.講師の方に、"通訳を職業としていない一般人"も参加している旨、お伝えいただければと思います。たぶん全講師が、聴衆はすべて通訳者であると勘違いされているようですので。。。

これは3と同じで、来場者の大多数が現役の通訳者か通訳学習者だからですね。講演者にはそれを意識して話してほしいと実行委員会から伝えています。今後も(来場者の傾向が変わらないかぎり)これが変わることはないと思います。

5.基調講演の会場が場所によって空調の差があったと思いました。

これは本当に申し訳ありません。会場の空調が故障していたと実行委員会も直前になって知りました。開催日が土曜日で、故障したのが金曜夜の別のイベントだったので、会場管理側が連絡をとれなかったとのこと。偶然が重なって対応できませんでした。

6.参加人数が多いため、会場のキャパについて見直したほうがいいのではないかと思いました。

これは興行的な問題でもありますね。実行委員会としては可能な限りお手頃な価格で多くの方に参加してもらいたいと思っていますが、大きな会場を借りるとどうしても会場費が高くなります。そして結果的にチケット代も上げなければなりません(チケット代が2万円だったら来場者はグッと減ります……)。現在はこのバランスをどうとっていくかを検討中です。もっとお手頃な会場も探しています。

7.欲を言えば、AとBの部屋がもっと近ければスムーズに移動できたと思います。

これも検討中です。来年のフォーラムはこれを改善したいと思います。保証できないのが難しいところですが(泣)。

しかーし!来年のフォーラムの基調講演者には超ビッグネームが確定しています!色々問題はあるし、改善点も尽きないですが、Content is Kingという真理を忘れずに価値あるプログラムを組んでいきたいと思います。

2017年10月7日

仮想通貨(暗号通貨)を猛スピードで勉強中。


いま仮想通貨を猛烈に勉強中です。英語ではcryptocurrencyと呼ばれるのが一般的なのですが、なぜか日本のニュース等では仮想通貨と呼ばれることが多いので、ここでも仮想通貨と書きます。

仮想通貨の存在はMt.Gox事件の少し前から知っていましたが、テック系ギークが色々やってるね程度の認識でしかなく、特に注意はしていませんた。Mt.Goxの事件が発生してからは、「あんなのにカネを出すのはバカしかおらん」と思っていました。

その認識も、土方奈美さんの『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』を読んで変わりました。とても丁寧に読みやすく訳されていたので訳書嫌いの私も最後まで一気に読めたというのもありましたが、とにかくビットコインの歴史が面白い。そしてビットコイン、いや仮想通貨を支えるブロックチェーンは今や一部で「インターネット以来の革命である」と言われています。

ブロックチェーンは「あらゆる人の未来」を変える、という話(WIRED)

そんな中、私にも仮想通貨やFinTech関係の案件が多数入ってくるようになりました。それまでは「ブロックチェーン」と聞いたら「ん?ジャッキー・チェンの知り合い?」程度の理解だった私ですが、仕事上のニーズも重なって勉強する必要性に迫られたわけです。今年の7月くらいから本格的に基本書を読み始め、ネットでのリサーチも継続し、痛い目にあわないと何も学ばない経験主義者らしく9月からは仮想通貨に投資もしています。

別に投資なんかしなくてもいいわけですが、IR通訳を勉強していたときに実際に投資した方が勉強の効率が上がるとわかっていたので、今回も庶民的には結構な額を突っ込んでいます。落合陽一も言ってましたが、身銭を切ると一所懸命になるってやつですね(笑)。現在はとりあえずの基軸通貨(らしき存在)であるビットコイン、イーサリアム、そしてリップルを保有しています。5年くらいのスパンでどうなるか観察していきたいと思います。この分野は本当に勉強していて面白い。大きな可能性がそこにあります。

ちなみにイーサリアムについては最近でたこの記事がヒントになるかと。スマートコントラクトは大注目です。リップルが提供するサービスは従来の複雑かつ高コストな国際送金に代わる手段を評価されており、グーグルの子会社である投資専門会社「グーグルベンチャーズ」が出資したことでも知られ、日本の三菱UFJ銀行を含む世界各国の主要銀行がその決済能力に魅力を感じてプロジェクトに参加しています。

さて、仮想通貨といえば、ここがチャンスとばかりに詐欺的なICO(initial coin offering)も増えています。タイからなんかエライ人がきて講演するからコイン買えだの、期間限定でコインをセールしてるだの、日本初のICOがうんたらかんたらとバカでも詐欺だとわかるコインが雨後の筍のように出てきています。みなさんも購入する際には色々とちゃんと調べてくださいね。

2017年10月3日

ポッドキャストの更新。

最初は移動時間の有効活用としてポッドキャストを聴きはじめたのですが、気付いたらもう6年近く経過しました。現場に向かう電車の中で聴くと耳と思考とウォームアップにもなります。今回は2016年から自分のリストに追加したチャンネルの中でも特にお気に入りのものを5点紹介します。


アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンから現在のトランプ大統領まで、歴代の大統領について、あまり知られていないエピソードを交えながら紹介します。人間としての大統領にフォーカスを置いています。夏にワシントンDCで2週間近く仕事をしたのですが、毎日の通勤時に聴いていました。TPOってやつ?


米国最高裁判所についてのポッドキャスト。私のような最高裁マニアにはたまりません。ストーリー重視で、最高裁の成り立ちや、意見が真っ二つに割れた重要なケースなどをとりあげます。個人的にはAdoptive Couple vs. Baby Girlのエピソードが印象的。最近、シーズン2がスタートしました。


イタリアンマフィア好きな人にはお薦めです。プロビデンスを揺るがした大事件と賛否両論の市長、Buddy Cianciを中心に展開していくのですが、実際の当事者が語る部分が結構多いのでリアリティがあります。登場人物が多すぎて途中で混乱してしまうかもしれませんが、事件の規模が大きいのしかたないですね。あと、イタリア英語の聞き取り練習にもなります(笑)。


米国企業を中心に、どんな苦労をして起業し、今の成功に至るのかを創業者本人から聞く番組です。個人的にはビールのSamuel AdamsやAmazonの買収でいま話題のWhole Foods、またはVirginグループが羽ばたく前に潰れそうになったとか、知らなかったエピソードが多かったので驚きの連続でした。

Homecoming

日本でいえばラジオ小説(古いか……)のような位置づけかもしれませんが、こちらはいつでも聴けるという利点がありますね。Catherine Keener / Oscar Isaac / David Schwimmerと個性的な俳優(ポッドキャストだから声優か?)を並べている点にも注目。今までポッドキャストといえば無名だけど面白いことをやってる人が多い世界だったけれど、これを機会にハリウッドの有力者が参入してくる……かも?

2017年5月31日

スパルタンレースで心が折れそうになる。

27日(土)に日本初上陸したスパルタンレースに参加してきました。こちらの記事のように体験談もアップされています。

「いくら障害物があるっていっても、7kmなんて余裕でしょ」と完全に舐めてかかってましたが、心も身体も砕けそうになりました(笑)。特に40キロのサンドバッグや鉄球、砂利一杯のバケツなど重いものを持って走る(私の場合は歩く)系は腰にきますね。4日後の今も腰が痛いです・・・

運動不足なのになぜこんな無謀なことをしたかというと、クライアントが実行委員だからです。お世話になっているので最初は接待みたいな感じでエントリーしたわけですが、実際にやってみると、楽しい。これはハマる。大人になると泥だらけになる経験なんてまずないし、苦しんでいるのは自分だけではないので、なんとか一緒に頑張ろうという気持ちになるわけです。

次のレースは10月です。通訳者仲間を数名集めて、「チーム仮予約」で出場したいと思います!

2017年2月7日

メインメッセージに基づいた訳の具体例。

一昨年、昨年と名古屋外国語大学大学院で通訳を教えてきました。といっても私は学者ではないので、100%実践的な内容です。ときおり翻訳も交えながら、通訳的な思考の方法とか、詰まったときにどう逃げるとか、現場で役立つ内容ですね。一部同じような内容をつい数日前、日本会議通訳者協会の札幌ワークショップでも話しました。特にメインメッセージにフォーカスをすれば、枝葉が落ちていてもコミュニケーションは破綻しない、という話をしたのですが、この部分はもう少し具体的な説明が必要かもしれません。

人間の知識と記憶には限界があります。どんなに上手い人でも必ずど忘れをする日は来ます。重要なのは、たとえど忘れしても、きちんと対応できるメカニズムがあるかどうか。つまり、プランBやプランCが思考回路にあるかどうかです。具体例を挙げましょう。

ある時、某省で逐次通訳する機会がありました。そこで、A国の行為について、日本の外務大臣がA国の大使に抗議した、という発言があったのですが、私はこの「抗議」という言葉の英訳をど忘れしてしまいました。本来であればこのようになるでしょう。

原文: 本件について外務大臣はA国大使に抗議した。

訳文A: The Foreign Minister protested to the Ambassador...

Protestは小学校低学年でもわかるような基礎的な単語です。でも思い出せないので、訳の導入を少し工夫して、「抗議」の表現が後の方にくるようにして時間を稼ぎ、訳出しながら思い出そうとしたのですが、どうしても出てきません。しかたないので最寄りの訳(本来であればもっと意味が近い訳があるはずだが、思い出せないのでそれに最も近い訳を出す)でこのようにまとめました。

訳文B: The Foreign Minister expressed his displeasure to the Ambassador...

厳密には訳文Aの方が当然良いのですが、Bでも外務大臣が快く思っていないことは十分に伝わっています。通訳を学び始めたばかりの人はこのような訳をすぐに思い出せないかもしれませんが、通訳では話者が使った単語を必ずしも使う必要はありません。大事なのは、話者が話した内容を頭の中で絵として描けているかどうかです。抗議するということは当然良く思っているはずがない。訳文Bはそれを表現しています。

この現場では、私が辞書で「抗議」の訳を辞書で引く前に、話者がもう一度「抗議」という言葉を使いました。休憩があったら調べていたのに……(泣)

まだ思い出せない私は、前回とはまた違った表現で訳出しました。

訳文C: The Government of Japan was not pleased with the incident at all, and the Foreign Minister communicated this to the Ambassador...

日本政府は本件について快く思っていない、と前置きした上で、外務大臣はそれを大使に伝えた、と表現しています。まあ、普通に考えれば抗議と解釈されるでしょう。訳文Bと同じように訳さなかったのは、この時の話者の文章構築が前と異なっていたのが大きいと思います。それに、これは意訳なので、前と少し異なる訳にした方がリスクヘッジできるという考えが無意識に働いたのかもしれません。

特に焦るわけでもなく自然に訳したので(脳内ではかなり焦っていたけど)、通訳を聞きなれていない人には私が「抗議」をど忘れしたことはバレていなかったと思います。メインメッセージをがっちり掴んでいるとこういう訳ができるという例です。

2017年2月2日

通訳者のメンタルトレーニング、完結。

東京に引っ越してきてから新規開拓やら、通訳団体立ち上げやら、ポーカー大会やらで忙しくしている中、完全に放置プレイとなっているこのブログですが、ぼちぼち更新していこうかなと。

通訳翻訳ウェブで連載していた『通訳者のメンタルトレーニング』ですが、年末に予定通り完結しました。個々の原稿は遅れ気味だったので編集担当もかなりメンタルが削られたことでしょう。今後は色々と執筆活動を増やしていくつもりなので、専用タブもちゃっかり用意しました。
 
執筆コンテンツ

とりあえず次は、旧通訳翻訳ウェブで発表したノートテイキングに関するコンテンツを復活させようかなと。もう消えてからずいぶん経つのですが、今でもメールでリクエストが来たりするので。まあウェブ上にノートテイキングに関する情報はほぼゼロなので、需要はあるのでしょうね。

日本会議通訳者協会の公式サイトでは会員限定でデポジション通訳に関する連載を始めました。今後は技術的なことや、法廷速記者、ビデオグラファー、弁護士などのインタビューも掲載する予定です。