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日本通訳フォーラム2018 8月25日(土)

2010年7月25日

顧客と共に歩む

多くの翻訳者同様、私も駆け出しの頃はエージェントに登録して仕事を頂いていました。ただあるポイントを境に大半のエージェントとは手を切り、今は基本的にエンドユーザとの直接取引しかしていません。自分のレートとスケジュールを思うように管理できるようにするというのが一つの理由ですが、それ以上に大きな理由は「顧客との距離を縮める」ということでした。端的な話、エージェントを介して仕事をしていた頃は、翻訳について質問するにも時間と手間がかかってイライラする事が少なくありませんでしたし、そもそも顧客の「顔」や「背景」が見えないので表現に自信が持ちきれない部分もありました。表面的なデータ(原文)を文句一つ言わずに訳すロボットと化しているような気がしたのです。

顧客と直接やりとりするようになってからはこれが劇的に変わりました。例えば写真のカップル。2008年11月に初めて依頼を頂いてからもう1年半のお付き合いになります。依頼者は女性の方なのですが、 国際結婚をされて海外へ移住されました。移住の際に必要になった行政文書等一式の翻訳をして、その後も色々と依頼を頂いているのですが、翻訳についての質問に迅速かつ丁寧に答えていただくだけではなく、移住後の近況などもメールで伝えて頂いたりして、個人的には本当に楽しくお仕事をさせてもらっています(今回も写真の利用を快諾して頂きました)。一人の翻訳者として、社会と繋がっている、誰かの人生において重要な役割を果たすことができたと実感できるのは本当に嬉しいことです。

最近観たアップルのスティーブ・ジョブスのインタビュー動画で、彼は "We try to make the best product" というフレーズを頻繁に口にしていました。顧客の求める物を妥協せずに追及する姿勢は私も見習わなければと思います。

そして私も自分なりのやり方で顧客の事を知り、距離を縮め、顧客にとってベストの翻訳を提供し続けたいと思うのです。

それにしても綺麗ですよね・・・幸せそうですし(笑)。

2010年7月24日

翻訳者的『もしドラ』2 エリカは顧客を定義した

結局、エリカは自分の事業を定義する事ができなかった。そこでエリカは、もう一度『マネジメント』を初めからじっくりと読み返してみた。すると、そこにはこうあった。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業とは何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の視点から見て、初めて答えることができる。(二三頁)

エリカはいつもここでつまずいてしまった。「顧客」とは何を指すのか、よく分からなかったのだ。エリカはエージェントから仕事を請けていたが、会社を訪問したこともないし、担当者の顔を見たことすらない。いまいちイメージが湧いてこなかった。エージェントが顧客なのだろうか?

2010年7月15日

The Power of Time Off - 「休む」重要性

翻訳者も人間ですから、仕事ばかりしていると訳がマンネリ化したり、厳しい納期の連続にモチベーションが落ちたりする事があります。私も例外ではありません。一定のキャリアを築いた今、幸いな事にもう仕事に困ることはありませんが、時折、「自分は成長しているのだろうか」と考えることがあります。腕が落ちているとは感じませんが、日常生活に知的刺激が不足していると自身の成長を実感できないのです。読書は毎日しているのですが、何か大きなプロジェクトに取り組むことはもうあまりありません。日常の雑務に追われてまとまった時間が確保できないのです。昨年の秋もこのモヤモヤ感を抱えていたのですが、その時に観た動画がこれです。



動画を一言でまとめれば、「仕事ばかりだと創造力・想像力が枯渇するから、何年かに一度は仕事をせずに完全に休もうよ」だと思います。さすがにステファンのように一年間の休みをとることは私にはできませんが(そこまでビッグな存在ではないし! 笑)、毎年一ヶ月くらいからならスタートできるかなと思い、今年から実践することにしました。実は2008年からなんとなく実践してはいたのですが、休暇中でも大きな翻訳を受けたりして、とても完全休暇とは呼べないものでした。だから結局、休んだ気がしない。でも今年はしっかり休んでさらなるレベルアップを自分に期待したいと思います。

そんなわけで、本日から来月15日あたりまで沖縄を出て、ずっと構想を練っていた研究プロジェクトに取り組みたいと思います。その成果は本ブログで発表していきたいと思います。

なお、ツイッターやメールで連絡はとれるので、音信不通になるわけではありません。宜しくお願いいたします!

2010年7月14日

ソーシャル翻訳サービスを試してみた。

翻訳業界におけるここ数年の一番のトレンドといえば、いわゆるクラウドソーシング(crowdsourcing)による翻訳作業の1)スピード大幅アップと2)コスト大幅ダウンだろう。特にFacebookやTwitterがサイトをユーザ自身に翻訳してもらうという試みを発表し、それなりの成功を収めているので(少なくともサービスに大きな支障がでるような誤訳はまだない)、このトレンドは今後も加速化していくかもしれません。

ただ、スピードアップ+コストダウンを実現しても、肝心の翻訳クオリティはどうなのか?これを実際に調べるために(一つのサンプルを得るために)、某ソーシャル翻訳サービスに登録して、5ドル分の翻訳を依頼しました。短い和訳・英訳を各2本です。すると驚くことに、原文をアップして30分以内にドドッと訳文が押し寄せてきました。どうやらスピードは本物ですね。以下がその原文と訳文です。原文は太字、訳文はその下に表示しています。複数の訳文候補がある場合は読みやすさのために番号をふってあります。

2010年7月11日

沖縄で医療通訳者の養成が始まるとか。

やっと沖縄にも来たか!という感じです。

医療手続き 通訳が手助け 支援者養成へ (琉球新報)

医療通訳ボランティアの業務は健康診断や医療機関窓口での手続き、役所の保険業務など。患者に対する重大な病名の告知など大きな責任が生じるものや感染症に関する事案は対象としない。

通訳を養成する言語は英語、中国語、スペイン語。9月以降、医療通訳ボランティアの実践に向けて講習を重ねる計画だ。

でもやはり医療通訳の「プロフェショナル」を育成するのではなく、「ボランティア」という位置づけなので、あまり踏み込んだ業務範囲にはならない模様です。もちろん健康診断や窓口業務だけでも通訳サービスが受けられるのは外国人にとって非常に嬉しいことなのですが。

実は私も沖縄市の依頼を受けて(この事業と関連しているかは知りませんが)、 今年の冬に医療通訳の基礎講座で講師を務める予定です。まだ先のことですが・・・

興味がある方は沖縄県国際交流・人材育成財団にお問い合わせを。

2010年7月10日

プロジェクト東京2010 (PROJECT Tokyo 2010)

日本翻訳者協会(Japan Association of Translators)が主催する翻訳・通訳会議、PROJECT Tokyoが今年も開催されます。2008年に産声をあげた時は新人向けのセッションが多かったのですが、3回目(去年は大阪で開催)となる今年は中堅も視野に入れているテーマになっています。CATツールはある程度の経験がないと使いこなす以前に導入のハードルがありますからね。

翻訳者・通訳者としてのキャリアを考えている方、またはフリーランスに転向したけどなかなか上手くいかない・・・そんな方々にピッタリのイベントです。セッションの貴重な内容はもちろん、イベント後のネットワーキングイベントで多くの業界人と知り合いになれば大きな一歩を踏み出せることは間違いありません。

PROJECT Tokyo 2010

■テーマ 「ツールとワークショップ:Better - Faster - Richer」

■日時 2010年9月11日(土) 9:30‐17:00(受付開始:9:00)

■会場 TKP品川カンファレンスセンター
東京都港区高輪3-13-1 TAKANAWA COURT 3階
JR「品川駅」高輪口徒歩で5分

■参加費 学生: 4,000円 JAT会員: 5,000円 非会員: 6,000円

■交流会 一律: 5,000円 (2時間のバイキング&飲み放題)

参加申し込みはこちらから (申し込み締切 2010年9月4日正午)

私はというと、同じ週末に日本通訳翻訳学会の年次大会があるので、まだ参加するか分かりません。まあ交流会だけ参加する手もありますが(笑)。

2010年7月2日

翻訳者的『もしドラ』1 エリカは『マネジメント』と出会った

四月末に翻訳者版の『もし高校野球の女子マネジャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を書くと @ericoba さんに約束したのですが、気付いたらいつのまにか7月になっていました。さすがにこれ以上放置すると完全に忘れてしまう可能性が高いので、今日から少しずつ書くことにします。『マネジメント』は組織についての本だからフリーランスは関係ないでしょ、と思う人もいるかもしれませんが、実は個人でも活かせるヒントが満載です。

ちなみに登場人物・設定は全てフィクションです。

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エリカは東京の片隅に住むフリーランス翻訳者。三度のメシよりツイッターとシルヴィ・ギエムが好きという自称20代前半の女子である。思い切って会社を辞めてフリーランスになってからもう3年になるが、なかなか仕事にありつけず、悩める毎日を送っていた。「何かを変えなければ!」と思い、ヒントを求めて近所の書店に駆け込むと、店頭にはピーター・F・ドラッカーの『マネジメント エッセンシャル版』が平積みにされていた。流行に弱いエリカは早速購入して、「自分自身をマネジメントするぞ!」と心に誓った。