2010年11月15日

広州アジア大会4 負けても北島康介は偉大だった、の巻

今日はホテルを午後5時に出発して奥体遊泳館(Aoti Aquatics Centre)で競泳の通訳でした。よほどの注目競技(または選手)でない限り、通訳はファイナルの後の記者会見のみと説明を受けています。ただ記者会見はメダリストしか参加できないので、日本選手がメダルを取らないと私が輝くチャンスも失われるというわけです。そういう意味でも頑張れ、ニッポン!

競泳の記者会見は次から次へとスピーディに進んでいきます。この日は7つの決勝レースが予定されていたのですが、メダリストは表彰式の後すぐに会見場に案内されるので、一つの会見が終わる頃には次の選手が入ってくるという感じです。レース前に参加選手の名前と予選タイムなどが記載された資料(スタートリスト)が配付され、記者会見直前には試合結果のシートも配られます。きちんとライバル選手の名前などに目を通しておかないと、選手の名前を言い間違えるかもしれないからです。というか、名前や数字をしっかり訳出するのはプロの通訳者なら当然のことなのですが。

本日の競泳スタートリストなど
ちなみに会見場はプールのすぐ横にあるのですが、スケジュールの関係上、通訳者は観客席でレースを観ることができません。記者会見場のモニター(消音!)で静かに観戦です。

プレスの作業ルーム
さて、私が今夜担当したのは以下の通り。

  • 女子50メートル背泳ぎ 寺川綾(銀)
  • 男子50メートル自由形 岸田真幸(銀)、原田蘭丸(銅)
  • 女子400メートル自由形 藤野舞子(4位につき通訳の出番なし)
  • 男子100メートル平泳ぎ 立石諒(金)、北島康介(銀)
  • 女子200メートルバタフライ 星奈津美(銀)
  • 男子200メートル背泳ぎ 入江陵介(金)
  • 男子800メートルリレー 小堀勇気、内田翔、葛原俊輔、松田丈志(銀)

中でも印象に残っているのは・・・

■ 入江陵介の堂々とした発言。今年は度重なるケガや、コンディションをなかなか上げることができない日々が続いていたが、アジア大会連覇を目標にしてきたと。私よりもずっと年下なのに、落ち着きといい、立ち振る舞いといい、私より明らかに大人です。言葉の端々に王者の風格を感じました。ちなみに至近距離で見たら、今なにかと話題のあひる口がキュートでした!

入江ファンの通訳仲間が撮ってました
 ■星奈津美のネイル(笑)。爪に綺麗な金の星屑ラメが施してあり、ああ、やっぱりまだ若者なんだよなあ、と勝手に納得してしまいました。泳ぎは堂々としていましたが。国際大会で初のメダル、おめでとうございます。

■立石諒と内田翔の北島に関する発言。北島の残念な結果をどう思うかと問われて、立石は「北島選手はアメリカでひとりハードなトレーニングを積んできて、個人的に見ても良いコンディションではありませんでした。でもそのコンディションでもあのタイムを出すのは凄いと思いますし、彼のプロとしての底力を感じます」と発言。内田は日本がリレー二位に終わったことについて「現実を受け止めなければならない。選手村に戻って北島さんとミーティングをします。大会はまだ終わっていないので、これまでの事を反省しつつ、今後チームとして何ができるかを考えたい」と。たとえ負けても北島康介は日本競泳チームの精神的支柱なのだなと強く感じさせる一幕でした。

ちなみに競泳のレースを game と訳す通訳者には、ちょっとイライラします…!

記者会見場の後ろから一枚