2010年11月13日

広州アジア大会2 初日からメダルラッシュ、そして初仕事はサッカー

経済誌『フォーブス』が11月12日に発表した今年の中国商業都市ランキングで、広州は上海を抜いてトップに立ちました。広州の昨年の経済成長率は脅威の11.5%。世界各地で経済不況が続く中、本当に驚くべき数字です。今朝はアジア大会会場の一つである天河体育中心(Tianhe Sports Centre)の近くにあるショッピングモールを覗いてきたのですが、やはり経済成長は本物だな、という実感が得られました。

ホテルに戻ると、市来崎大祐が武術太極拳の男子長拳で銀メダルを獲得したとのニュースが。このイベントにはオーストラリアから来た通訳者さんが朝早くから派遣されていて(5時半起床だったとか)、競技後の市来崎の記者会見を通訳した。いよいよ始まったのだな、と実感がこみ上げてくる。通訳者の中には「この競技を担当したい」とか「この競技はあまり知らないので避けたい」などと好き勝手を言う人もいるのですが、個人的には日本がメダルを狙えそうな競技なら何でもOKというスタンスです(笑)。アジア大会の競技については一通り調べてあるのでどこに派遣されてもさほど心配はありませんが、やはりどうせ通訳するなら、どんよりムードな敗戦の弁よりニコニコモードで勝利を語る方が楽しいものですよね。気持ち的に。

その私はと言えば、ランチ前に今日の担当競技が決定しました。サッカー日本代表(U21)対キルギスの一戦です。日本はすでに予選リーグの一位通過を決めているため、実質的には消化試合なのですが、個人的に好きな競技なので、一発目としては当たりかなという感じです。

スタジアムに到着すると通訳者の詰め所に案内され、7時から日本戦キックオフ。メインスタンドのメディア席に移動して観戦しました。日本はスタメンを8人入れ替え・・・なのですが3-0で完勝。本日が20歳の誕生日の登里が2ゴールを決めました。試合内容でさほど記憶に残るシーンは無かったのですが、観客(ほぼ全員中国人)が日本の国歌斉唱の時に凄まじいブーイングを浴びせていたのは何かと新鮮でした。そうか、これが例の有名なやつか・・・
ゲートでID確認&金属探知機

韓国人通訳者が選手リストを確認
試合後はすぐに記者会見場へ。キルギス代表監督の会見の後、関塚監督と登里選手が登壇。基本的に全ての発言は中国語に通訳される必要があるため(メディア的な理由からだろう)、リレー通訳の方式が採用されていて、例えば関塚監督が日本語で喋るとまず私が英語に訳し、その英語訳から中国語に訳されるという感じです。当然かなりの時間がかかってしまうわけですが、仕方がありません。関塚監督は「決勝トーナメントは予選とは全く別。気持ちを引き締めてチーム一丸となって戦う」と述べられていました。冷静沈着、知将のイメージです。発言も筋が通っていて分かりやすく、通訳がしやすい。助かりました。

日本vsキルギス
記者会見場で打ち合わせ
ただ、消化試合だというのに日本のメディアの数には驚きました。時事通信、日刊スポーツ、集英社など計10社。一番盛り上がった記者会見でしたし、会見後もスタジアムの外で選手のぶら下がりをしていました。これで決勝が日本対中国になったら祭りな展開になるのだろうなあ、色々な意味で。

選手は公式記者会見後、裏でぶら下がり取材。
 ■一部の韓国人通訳者が北朝鮮関係者の通訳を拒否するという事件がありました。「私達は韓国人の通訳をする契約であって、北朝鮮人の通訳はしない」と主張したらしいです。ただ契約にそんなことは書いてあるはずもなく、予期せぬ問題にコーディネーターも頭を抱えていました。個人的に言わせてもらえば、仕事に政治を持ち込む通訳者はプロ失格です。それをしてしまったら、特にアジア大会やオリンピックのようなスポーツの祭典の精神に反することになりますし、なにより本大会に北朝鮮代表が参加することは周知の事実でしたから、強い政治的感情を持っているのであれば最初から断れば良いだけの話です。

北朝鮮監督が韓国人通訳者を受け入れた貴重な一枚
 ■ちなみに今日はトライアスロン女子で足立真梨子が金メダル、土橋茜子が銀メダルを獲得したのですが、なぜか通訳者の手配はされなかった模様。メダルを獲得しても、必ずしも通訳者が派遣されるわけではない事が判明しました(記者会見は選手が英語で応じたのだろうか)。逆にサッカーやバスケットボール、武術太極拳などの注目競技は予選の試合から通訳付きの記者会見がいくつも開かれるらしいです。

通訳担当表