なでしこジャパン、なんと優勝してしまいました!
ネットでは『風の谷のナウシカ』での予言、つまり「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」が実はなでしこジャパンの優勝を意味していたのではないかと盛り上がっていますが、なんにしても快挙です。私も早朝から頑張って起きて観戦したかいがありました。
ただ私が今回注目したいのは、以下のワシントン・ポスト紙の記事です。
Women’s soccer team embodies Japan’s post-disaster resilience
TOKYO — Like flags in a soccer stadium, the banners are everywhere across Japan’s tsunami disaster zone.
They often bear a single Japanese word — “ganbare,” which Japanese have been murmuring like a mantra ever since the March 11 disasters.
Interpreters and bilingual Japanese say that “ganbare” is one of the hardest words to translate: “Persevere,” “fight on” and “hang in there” don’t quite capture its deep significance.
But Japan’s women’s soccer team does.
一般人は翻訳・通訳という営みを数学のように正解は一つしかないと考える傾向があると私は思うのですが、「頑張る(頑張れ)」という表現一つをとっても、与えられた状況・文脈にピッタリ合う訳を探すのは実は結構難しいのです。少なくとも英語には「頑張る」のニュアンスを正しく全体的に含意した万能な単語は存在しません。ですから、その時々で「耐える」や「辛抱する」などと状況をみながら表現しますが、これだと我慢のニュアンスばかりが目立ってしまい、「頑張る」が表現する「前を向かって進む」または「強い決意をもって戦う」というニュアンスがかき消されてしまいます。
簡単に説明すると、「頑張る」という表現は意味の(解釈の)幅が広いので、情報の送り手と受け手の空気を読む力に強く影響されるのです。残業を命じられた会社員がボソッと「頑張るよ」とつぶやいたら、それは「やる気はないけど上司の命令だから我慢してやる」のか、「死ぬほど疲れてるけど、まあ大事な仕事だからベストを尽くさなきゃねー」なのか、判断が難しいところです。通訳者はその状況、話者の態度や表情、喋り方などを参考して訳を考えます。翻訳者は与えられた文字だけで空気(文脈)を読まなければならないので、解釈が難しいケースが発生するのも容易に想像できると思います。
そういう意味では、翻訳者・通訳者は当事者と同等またはそれ以上に空気を読めていなければならないと言えるでしょう(いつも頭をかかえていますが)。
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