2011年7月7日

小児科での通訳(特に糖尿病)

先日、糖尿病の子供を持つ外国人クライアントに付き添って通訳してきました。なぜ民間(つまり基地の外)の病院に来るかというと、沖縄の基地の病院には内分泌科の専門医がいないので、インスリンの投与量調整等ができないのです。この状況が改善されない限り、今後も同じような通訳をお願いされる人が出ると思うので、とりあえず最低限知っておくべき知識をまとめておきます。

まずは受付でチェックインした後に、問診表の記入があります。

小児科外来問診表 琉球大学付属病院

百日咳、はしか、おたふくカゼ、喘息など、小児科であればどこでも必ず使われる用語です。Wikipediaの糖尿病ページと併せてきちんと予習しておきましょう。ちなみに沖縄に限って言えば、通訳の依頼は1型糖尿病の子供を持つ親からが大半です。なぜなら、米軍は2型糖尿病を持つ軍人の沖縄配属を認めていないので、これだけで2型糖尿病の外国人の数が激減するからです。

もう一つ重要なのが、養子の問題です。医師は必ずと言っていいほど「父親・母親の家系で糖尿病だった人はいましたか?」と質問しますが(そしてこれは非常に重要な質問)、患者である子供が養子の場合があるのです。子供の年齢によっては言葉の意味が分かる場合があるので、子供の前では話しにくい親もいます。その気配を感じたら、親だけをちょっとだけ外に連れ出して聞き出しても良いと思います。

日本の糖尿病治療は、技術的にはアメリカに10年ほど遅れをとっているそうです。例えばアメリカでは一般にも広く普及しているAccu-Checkのような技術も日本ではまだ市民権を得ておらず、日々の血糖値等を手帳にかかさず記入しなくてはなりません。この違いにかなり違和感を持つ親もいるので(日本の手法は技術的にはかなりアナログな感が否めない)、医師の説明を丁寧に通訳して安心させてあげましょう。

加えて、沖縄県では小児1型糖尿病患者を対象に補助金プログラムもあるので、日本の保険がない外国人でも100%カバーされる可能性があります。治療が長引くと医療費がありえない額になる可能性もあるので、この辺も医師と協力して説明してあげましょう。

通訳とは直接関係ありませんが、小児科での仕事で便利なのがキャラクターもののシールと食玩です。採血では泣き出したり悲鳴をあげたりする子供が少なくないので、ニンジン作戦で黙らせるのです(笑)。男の子だったらドラゴンボール、女の子だったらプリキュアあたりが無難でしょうか。

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