2012年5月22日

タニグチ vs. KPS 最高裁「通訳と翻訳は別物」

このブログで何度か報告しているTaniguchi vs. KPSの事案ですが、ついに判決が出ました。

米最高裁判決文 Taniguchi vs. KPS
The costs that may be awarded to prevailing parties in lawsuits brought in federal court are set forth in 28 U. S. C. §1920. The Court Interpreters Act amendedthat statute to include “compensation of interpreters.”§1920(6); see also §7, 92 Stat. 2044. The question pre- sented in this case is whether “compensation of interpreters” covers the cost of translating documents. Because the ordinary meaning of the word “interpreter” is a person who translates orally from one language to another, we hold that “compensation of interpreters” is limited to the cost of oral translation and does not include the cost of document translation.
実はKPS側もなかなか面白い点を指摘していたのですね。例えば…
Respondent also observes that some translation tasks are not entirely oral or entirely written. Id., at 20–24. One task, called “‘sight translation,’” involves the oral translation of a document.
サイト・トランスレーションは通訳に近い行為なのにtranslation(翻訳)と呼ばれている。だからinterpreter/translatorの厳密な区別は難しいと主張していたのです。確かにこれは一理あって、今となってはなぜsight interpretingと最初から呼ばなかったかが悔やまれるところです。

この判決がどのような影響を与えるのか。NAJITは「通訳と翻訳は別物。きちんと区別しろ」という趣旨の意見書を提出したくらいなので勝利気分なのですが、一部の会員は「いままでtranslationとして貰ってた報酬がなくなっちゃうかもよ・・・」と不安を隠せないようです。どうなるのかはまだ誰にも分かりません。

2012年5月21日

中国系翻訳会社の営業メールが醜い件。

近年は安い労働力(翻訳者)を求めて中国やインドに翻訳をアウトソースする企業が多いのですが、なにせありえない極安レートなので価格だけで勝負すると日本在住の翻訳者には勝ち目がありません。では何で勝負するのなると、やはり訳とカスタマーサービスの質ですよね。私は比較的少数のクライアントと長い付き合いを目指しているのですが、付き合いが長いと私ができること、できないことについて相手に明確な理解があるので話が早いですし、私のクライアントは「翻訳者の顔が見えること」を結構大事にしているようです。

で、中国系翻訳会社の話。毎週のように「うちに外注しませんか」と営業メールがガンガン送られてくるわけですが、検討する以前に営業メールの日本語がひどすぎて笑える。もはやネタとしか思えない。どうせ使うつもりはないけど。いくつか披露しよう。

また、当社ではトライヤルも行っております。 若し宜しければ、何か小さなケースやお手紙でも構いませんので、 トライアルさせて頂きたく存じます。

台湾の会社。 用語統一くらいしとけよ、と。            

弊社は2007年から○×省○×局に登録していた専門の翻訳会社でございます。何年間の経営経験があり、中国国内では沢山の会社と取引があり、翻訳の質を確保しております。中日両国には消費レベルの面で色々な原因による大きな差異を存在しております。つまり比較して言うと、翻訳の値段に於いて中国のほうはより安く決められます。もし御社と言語翻訳について取引の協力関係を結べれば非常に見込のある、また御社にとっても、わが社にとっても大変に有利なものであると存じております。

例えば、御社から中国語に訳す原稿をいただき、当社は翻訳致しておりますが、その値段がとても安いから、御社にとって相変わらず以前からの利益空間をご所有になると同時に中国文翻訳者を常備する費用を無くされることもできると存じております。ご検討いただく価値は十分にあると存じます。経済のグローバル化に伴って双方の協力は更に洋々たる見通しを持つものと確信致しております。

何年間なのかよ(笑) 。それにしても利益空間とは意外に魅力的な言葉だね・・・

弊社としては、お客様の案件により、翻訳はすべて現地のプロフェッショナル翻訳家と提携して行っています、ネイティブならではの自然な文体に仕上げております。 弊社翻訳した事例“中日翻訳の例”を別紙添付にて、ご参考になってください。 お忙しいところお手数をおかけしますが、ご返信のほど宜しくお願いします。

そして送られてきたサンプル翻訳がこれ。まあ安ければこんな感じだよね、という。

昨年○×大学日本語学部で勉強していた時、貴社にメールを送信したことがあります。そのメールの中でただ起業計画を述べたので、貴社の重視をもらわなかったかもしれないと思っております。今年7月に卒業して、○× 有限公司を創立し、日中間のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業務に力を注いでおります。本日再び貴社に連絡をいたし、貴社との貴重な提携チャンスを実現させるよう努力したいと思っております。

そもそもそんなメール受信してないし、学生の起業計画なんて読んでどうするのという。VCと勘違いしてるのかね。

中国からのお問い合わせですが、弊社「○×有限公司」は日中・中日の翻訳をメイン業務の一つとして行っている会社であり、IT、農工商ビジネス、新聞記事、特許、契約、雑誌、漫画などいろんな分野に対応しております。仕事のチャンス、業務提携などお願い申し上げます。必ず品質価格ともにご満足いただけるものを差し上げます。 ご連絡いつもお待ちしております。

「仕事のチャンス」って、早くも崖っぷち感があっていいね!

弊社は○×管理局に登録していた専門の翻訳会社でございます。成立したばかりですが、お客様にご満足いただけるサービスを提供できるように全力を尽くして行きたいと思っております。品質は翻訳会社の命ということをしみじみと感じています、こちらは10年以上の経験と専門性を持つプロの翻訳者が対応します、高品質な翻訳サービスの提供を実現しています。

しみじみですか。過去に大失敗して色々と学んだのでしょうねぇ・・・

朝のほととぎすの声に夢を破られ、初夏の爽やかな風を楽しんでいる五月がゆったりとしたペースでめいてきました。貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。先日連絡した○×のAと申しますが、また今日突然の送信を失礼と感じております。 詳しい弊社の業務内容を添付にて送りしますので、ご参考になってください。 お忙しいところを恐縮ですが、ご返信を頂ければ幸いです。

じゃあ送るなよ(笑)。それに朝のほととぎすのくだりはビジネスメールとしては斬新だね・・・

2012年5月10日

イチローから学んだこと。

IR通訳の会社を経営している丹埜段(たんの だん)さんのブログを読んでいてふと思い出したことがあります。8年くらい前にIR通訳でシアトルへ行ったときのこと(IR通訳は専門ではありませんが、たまにやります)。クライアントがシアトル・マリナーズの幹部と知り合いで、オフシーズンということもあり、セーフコ・フィールドの裏側、普通であれば一般人向けの球場ツアーでも見ることができない施設なども目にすることができました。あの頃はスマートフォンがまだ無かったので写真は一枚も撮れず、今では本当に残念に思っている。まあ仕事だからどうせ撮れなかっただろうけど。 室内バッティングケージに来たところでガイド役の球団スタッフがイチローの話を始めた。もうかなり昔のことなので正確には覚えていないのだが、だいたい以下のような感じだったと思う(少なくとも要点は伝わると思う)。
球団スタッフ

ここが室内ケージです。通常の練習でも使われますが、試合前や試合中にスイングの調整をするためにも使われています。今日は日本人の方もおられるようですので、イチロー選手について一つのエピソードを話しましょう。

通常、メジャーリーグのチームはワールドシリーズで優勝でもしない限り、シーズンが終わった翌日にロッカーの片付けをしに球場を訪れます。フリーエージェンシーやトレードで球団に戻ってこない可能性があるのはもちろんですが、やはりオフシーズンが始まると早く気持ちを切り替えて家族と過ごしたり、本国に戻りたいという選手が多いのが理由のようですね。でもね、私はもう20年以上も球団職員をやっているのですが、イチロー選手には本当に驚かされました。

彼は1年目のシーズンでアメリカンリーグMVPという輝かしい成績を残したのにもかかわらず、翌日にはこのケージでじっくり汗を流していたのです。右手だけでバットを持って右へ引っ張るスイング、次は左へ流すスイング。一通り終わったら次は左手で同じことを繰り返す。打撃練習も念入りでしたが、その後にはジムで筋トレもしていました。数時間はいたでしょうか。シーズン終了後、それも終わった翌日に球場を訪れて本格的なトレーニングをする選手は今も昔もイチロー選手しか私は知りません。彼は努力の人なのですね。

通訳者が何を努力するべきかといえば、 実技を磨くための勉強会などもありますが、基本的にはやはり読書でしょう。一人で地道にコツコツと。翻訳・通訳の仕事は知識があってナンボの世界なので、読めば読むほど実力がつく。逆に読んでない人はすぐに分かります。知識は言葉に表れるし、どうやっても隠しようがない。こんなこと書くともう外で人に会えないけど(笑)。でもまあ、翻訳者・通訳者としてもっと上手くなりたければ、とにかく読んで、読んで、読み続けることが一番だと思うのは本当です。イチロー選手でさえオフシーズンの初日からしっかり練習しているのに、読書しない翻訳者・通訳者が上手くなるはずがないですよね。

誰も見ていないところで毎日努力する人が夢を実現する、これはどの世界にも通じることだと思います。というかそうであってほしい!

※ちなみに丹埜さんのブログでSuicaを4枚持つという裏技が紹介されていて、「なるほど!」と思いました。この発想はなかった。

2012年5月2日

TEDお薦め、アート系。

NHKが『スーパープレゼンテーション』という番組を開始しました。厳選したTED動画を紹介する番組です。TEDxOsakaでイケメン歯科医の@sei_nさんと話してたとき、しきりに「TEDが盛り上がり始めている」と言ってたので、数年前からTEDを観ている私は「ずっと前から盛り上がってるけど、どういうことかな。当然、@sei_nさんも昔から観ているはずなのに・・・」と思っていたら、はっと気付いた。日本ではまだこれからなんだと。翻訳の問題もあり、これまではあまり普及してこなかった事実を。

といっても『スーパープレゼンテーション』は週一の番組なので、紹介できる動画も限られてくると思う。そこでプチTEDマニアな私も微力ながらキュレーションしてみようじゃないか。マイペース更新だけど(笑)。おまけに英語コンテンツを翻訳する暇もないけど(TEDが翻訳プラットフォームを改善してくれたらビシバシ翻訳する用意はありますがね・・・)。

とりあえず今回はアート系で!



退屈なパワーポイントより、ダンサーを使った方がメッセージが伝わるんじゃない?という単純明快なプレゼン。地味にマクロ経済の視点もあったりして笑える。



ニコ動的に表現すれば「昔の詩に音楽をつけてみた」でしょうか。私は10000 Maniacs時代からのファンなので紹介しないわけにはいきません。今年6月のサンフランシスコ公演に行きます!



詩の朗読というと中年以上のおじさん&おばさんが薄暗いバーに集まって行う自己満足イベント的な印象を持つ人もいるようですが、実はそうではありません。結構クールです。実は私も中学の頃にPoetry Clubに入って厨二病的な詩を大量生産してました。すみません・・・



紙切り芸もここまで来るともう言葉がでない。いわゆるネ申というやつですね。



iPhone、マウスピース、両手のコントローラーだけで新しい音楽を切り拓く。ビートジャズ誕生の瞬間です!

2012年5月1日

つーほんニュース 5/1

意外と知らない英辞郎で必要な英文/和訳を素早く探す4つの基本技

フレーズ検索は知ってたけど、語数指定は知らなかった。10年前は荒が目立った英辞郎も着実に進化してますね。当事は「英辞郎使ってます」と言えない空気があったけど。文脈が限定されている用例をユーザーがしっかりと見極められるかが、これが肝心。2chでも同じようなことが言われてましたよね。

ブリックス、中部国際空港セントレアでiPadを利用したTV通訳サービス試験運用を受託

国内初の空港における外部コールセンターを利用した5ヶ国語TV通訳サービスらしいです。いずれ詳しく書きたいと思いますが、10~20年後の通訳業界は移動が劇的に減っていると思うのですよね。TV通訳の普及により通訳者の寿命も延びることが見込まれます(移動が楽しいのは20代だけですよ・・・)。

「通訳料」踏み倒そうと男性恐喝未遂 会社経営の男ら3人逮捕

暴力団も通訳者を雇って海外戦略を図る時代なのかな、と冷静に考えてみたり。

77歳の通訳案内士誕生

めでたいのだろうけど、通訳案内士の現実は厳しいですよ。本当に。年齢で差別をするわけではないけど、実務に耐える体力があるのが心配ですね。通訳案内士は会議通訳と異なり、足腰も丈夫でスタミナも豊富じゃないとダメなので。

曖昧な表現、二重否定は避ける TCA駐日代表・吉村章

確かに多重否定の表現はメッセージの質感を維持した訳が難しいけど、曖昧な表現で「逃げる」ことも交渉の場においては大事です。通訳者の存在が話者のコミュニケーション方法を変えてしまうのは少しおかしな感じもします。

オンライン翻訳の精度、4割が満足、3割が不満

こういう調査が実施されるのは結構なことだが、どの層がどのような文章を訳しているのかが見えてこないとこの調査結果にはあまり意味がないのではと思う。例えば単語や短文だったら機械翻訳で十分だろうし(若者に多いだろう)、50代~60代だったら難しめの契約書などを試して満足する結果が得られず「不満足」としているかもしれない。

YouTubeの自動翻訳字幕機能、知ってた?の巻

このブログ(前のブログだったかな?)でも紹介したけどもう一度。少しずつ精度が上がっている感じがするけど、気のせいでしょうか?

でたらめ通訳による性的暴行事件の「和解書」、裁判官が被害者の意見確認し実刑判決 

2人体制は日本でも今後スタンダードになっていくと思うけど、クロスチェックは難しい部分があることがまだ広く知られていない気がする。一歩間違えると通訳者同士のチームワークが乱れる、というか壊れてしまうのだから。

In global economy, ‘lost in translation’ not an option

ビジネスシーンにおいて「翻訳自体は作業の60%~70%でしかない」というコメントに同意。効果的な海外展開にはローカリゼーションは非常に重要。

'The Voice': New Bible translation focuses on dialogue

イエス・キリストの名前も、 天使も使徒も出てこない(厳密には「メッセンジャー」「使者」と呼ばれている)聖書が発表されました。対話重視の構成らしいです。ただ、やはりというか、これを問題視する人も少なからずいるわけで。詳しくはこちらをどうぞ。

誤訳の「東北観光博」外国版HP 修正長引き再開延期

大問題になった東北観光博ウェブサイトですが、修正がGWに間に合わないため再開延期だそうです。賢明ですね。醜い訳を出すくらいならこの方が潔いです。

Google Translate now serving over 200 million people per month

毎月200万ユーザー!個人的にはグーグル翻訳はもっともマネタイズのポテンシャルがあるサービスだと考えているのですので、今後の展開に注目です。

Government budget shortfalls lead to risky cuts in certified court interpreter budgets

ネバダ州でも予算削減により法廷通訳者の報酬が減額。その結果、法廷通訳をやめる人も。

Criminals, interpreters join hands

通訳者が犯罪組織にコネを作ってダークサイドへ。日本でもしっかり倫理教育をしないと何か起きてもおかしくないなあ、と。(通訳者の)数が増えればおかしな人も出てくるわけで。お前が言うな、と。

Interpreters in ER may limit medical errors: study

そりゃあプロの通訳者が正確に通訳すれば、医師も的確な診断ができるよね。

翻訳ビジネス 最前線

タブレット端末を使った通訳サービスは今後かなり伸びてくる分野だと思います。

富士通が文章校正の新技術 実例学んで自動修正
「従来の校正支援システムは、不適切な表現や置き換えるべき表現を事前に逐一、辞書登録する必要があった。しかし新技術を使えば、「人力」による校正事例を利用することで、幅広い表現ミスに対応可能となる」とあるが、CATツールと同じで、校正事例をデータベース化するためだけに一年かかる気が・・・

2012年4月30日

高速バス事故と東北観光博HP誤訳問題の共通点

関越道で高速バス事故 7人死亡 39人けが

これを読んで東北観光博HPの誤訳問題を思い出した。株式会社クロスランゲージが訳を提供した案件。もっと早く記事にすべきだったな。

誤訳多発で東北博HP閉鎖 秋田が「飽きた」に

 観光庁は13日、東北6県で3月に始まった「東北観光博」のホームページ(HP)で紹介している
観光名所などの英語、韓国語、中国語訳に誤りが多数見つかったため日本語以外のHPを閉鎖した。
自動翻訳機を使い、その後のチェックをしなかったのが原因。
同庁は「関係者にご迷惑を掛けた」としており、修正して4月下旬に再開する。

観光庁や各県によると、秋田市の「あきた千秋公園桜まつり」では「あきた」を英語で「飽きた」の意味の「tired」に誤訳。
仙台市指定有形文化財「旧伊達邸」はローマ字表記で「きゅういたつてい」に。
秋田県男鹿市の伝統行事「ナマハゲ」に至っては中国語で「はげ頭病」の意味になっていた。

これを見た私の第一印象はというと・・・


それはさておき、私が興味深く思ったのは2つの事件の共通点。

①関係者が問題(またはその予兆)に気付いていても改善しない

機械翻訳を使う人間は機械翻訳の欠点をよく理解しています。決して万能だとは思っていません。それがなぜここまで酷い翻訳になったのか。「固有名詞等のデータを提供してもらえなかった」と言い訳しているようですが、それでも秋田→飽きたは言い訳にならない。

②発覚して問題にならなければ万事OK…だと?

高速バス運転手で居眠りを経験、または眠気を感じたまま運転をした経験がある人は90%近くに上ると報道がありました。つまり居眠り運転的現象はほぼ毎日のように発生しているわけで、単に事故になっていないので問題視されていないだけなのだ。これは翻訳でも同じことで、誤訳もバレなければ問題にはならない。私も文書や書籍を読んでかなり酷い誤訳を見かけるときがあるが、一つひとつを指摘していけばきりがない。要は潜在的な大誤訳問題はそこらに山ほど落ちているのである。機械翻訳を利用する側はこのリスクを正しく評価できているのだろうか。

③結局、消費者行動は変わらない

このバス事故の翌日、高速バスの乗車率にはまったく影響がなかったようでした。不安だが安さが魅力、と。これは翻訳でも同じで、東北観光博の一件が機械翻訳の利用に歯止めをかけることはないだろう。結局のところ、消費者は何も学ばない。「リスクはあるだろうけど、自分に限っては…」のメンタリティーなのだ。問題が発生してからでは取り返しがつかないというのに。

2012年4月29日

TEDxOsakaとニコニコ超会議!

IJETでも講演する@sei_nさんに誘われてTEDxOsakaに潜入してきました。とりあえず当日の放送はこちらからどうぞ。

TEDxOsaka 2012/04/28 Ustream Archive

動画で流れたプレゼンはこちら。





個人的にはガー・レイノルズと杉本先生のプレゼンが面白かった。来年はネタを練ってオーディション受けてみようかな。実は翻訳2.0的なアイデア(妄想?)はあるのだけど。

翌日は幕張メッセでニコニコ超会議2日目に参戦。ドワンゴの本気を見せてもらおうじゃないの、大赤字覚悟の一大イベントだっていうしさ。感想は書くのが面倒なので写真をいくつかだけ。というかニコ動でタイムシフト視聴しようよ、525円で全部観られるんだから。あと、まとめ記事もあるし。

駅からこの列。入場まで一時間強。初日よりは改善されたらしい。

GEISAIで私のイチオシだった小野眞智子さんも!

黒字化のネ申こと夏野剛

空いてるように見えるこど、死ぬほど混んでました

私は主にニコニコ学会と言論コロシアムに参加。
特にニコニコ学会βはいま日本で一番アツい学会だと思います。まさにマッドネス。なんでもあり、知と技術の総合格闘技。超注目です。

2012年4月28日

2012/05/19 岩瀬大輔講演会 in 沖縄




【講演概要】

「ネットで保険は売れない」というそれまでの常識を根底から覆したライフネット生命保険。その副社長である岩瀬大輔氏が自身の経験を振り返りながら、これからの社会を担う若者に必要なスキルや能力はなにか、イノベーションを起こすための思考法や戦略の立て方について講義します。大学生と新社会人はもちろん、これからの社会で若者に何ができるか、何をすべきなのかを考えるヒントを提供します。

【講演者プロフィール】

1976年埼玉県生まれ。1998年に東京大学法学部を卒業後、ボストン・コンサルティング・グループ、リップルウッド・ジャパン(現RHJイン ターナ ショナル)を経て、ハーバード経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で卒業(ベイカー・スカラー)。
2006年にライフネット生命保険の設立に参画。2009年2月より現職。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。日経ビジネス「チェンジメーカー・オブザイヤー 2010」受賞。

■ 主な著書
「金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記」(文春文庫、2009年)
「生命保険のカラクリ」 (文藝春秋、2009年)
「132億円集めたビジネスプラン」 (PHP研究所、2010年)
「ネットで生保を売ろう!」 (文藝春秋、2011年)

■日時

2012年5月19日(土) 午後4時~6時半

■場所

琉球新報本社 2階多目的ホール
沖縄県那覇市天久905


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※駐車場はないので、公共交通機関をご利用ください。

■入場料

1,000円

お申し込みはこちらから。

Fill out my online form.


講演会の後には参加者限定の懇親会があります(先着順で30名程度、別料金)。

■主催・お問い合わせ

主催:沖縄アイデアラボ
お問い合わせは @okinawalab またはこちらのお問い合わせフォームから宜しくお願いします。

※ハッシュタグ #iwase0519 で岩瀬さんへの質問を募集中です。

2012年4月3日

お薦めポッドキャストを選んでみた。



ある程度のレベルに達した翻訳者・通訳者は必ず壁(というかプラトー?)にぶち当たり、それを乗り越えてさらなる成長を実現するためには、翻訳・通訳の技術論ばかり勉強していては意味がないと私は思います。この職業は言葉や表現の引き出しが命なのであって、「引き出し力」を鍛えるには多種多様な情報に常日頃から接していなければならないと思うのです。何もしないで自然に言葉が生まれるなんてありえないですから。「そもそも言葉にオリジナリティーなどあるのだろうか」とはフッサールの言葉です。

以前は読書が中心だった私の情報収集活動も、ケータイをiPhoneに替えてからポッドキャストがかなり大きなパイを占めるようになりました。特に移動中の隙間時間を有効に使えるようになったことは大きいです。それに文庫本を読みながら歩いてるとたまに喫茶店のメニューボードとかを勢いよく倒してしまいますからね。はは。

さて、そんなわけで私が聴いているポッドキャストの中からいくつかお薦めします(日本語か英語です)。


Freakonomics Radio

『ヤバい経済学』の著者であるスティーヴン・ダブナーとスティーブン・レヴィットが目から鱗のウラ(ミクロ)経済学トークを繰り広げます。特に印象に残っているのは「飲酒運転するより飲酒歩行(飲んで歩いて帰宅する)の方が危険」とか、中国某所の子供たちの学力が低いのは教育システムに問題があるからだと思ってたら実は単に視力が悪くて黒板を見えなかっただけだったとか(安いメガネを買ったら成績がドーンと上がった)、サッカーのPKの戦略としては、統計的にみるとGKの真正面に蹴るのが一番成功率が高いのになぜみんな蹴らないのか、などなど。あと、高級娼婦と元国家元首が競演するのはこの番組くらい。ホント面白いです。


60 Minutes - Full Audio

言わずと知れたCBSの長寿番組。医療から音楽、フェミニズムから政治犯罪まで幅広い分野で切れ味鋭い調査報道を展開します。私のクライアントはアメリカ人が多いので、アメリカの時事問題を知っておくことはかなり重要です。昨年あるビジネス通訳現場でスタックスネットが話題になったことがあったのですが(現場自体はセキュリティ問題とは関係ない)、幸運にもそれについてのエピソードを直前に聴いていたのでなんとかしのぐことができました。それはさておき、これは本当に完成度が高い番組なんです。まずはお試しあれ。


TED Talks (audio)

TEDは映像がないと意味ないだろ!と容赦ない野次が飛んできそうですが、私はiPhoneで動画を観ることはほとんどないので(そもそもポッドキャストは移動中に聴くのがメインだし)、音声だけでいいのです。でも聴いてビジュアルが気になったプレゼンは後でネットで確認しますよ。知を刺激するプレゼンを15分程度の一口サイズで。召し上がれ。


TBS RADIO 954 kHz │ 柳瀬博一・Terminal

残念ながら3月23日の回で終了してしまったのですが(また戻ってくるのかな?)、アーカイブは今でも宝の山です。各業界で活躍する経営者や文化人、知識人などを招いて、フォーカスされたテーマについて深く議論・説明します。文化系トークラジオライフでは博識ぶりを披露している柳瀬さんですが、この番組では聞き役に徹しています。幅広いリスナーを想定しているらしく、意識して素人っぽく振舞って詳しい解説を聞き出したりするところはさすが。


ラジオ版 学問ノススメ Special Edition

@yukicoy さんに薦められて聴いてみたらホントに面白くてハマってます。各回は60分程度と長いのですが、各業界の本音や裏話がビシバシ飛び交います。個人的に笑えたのは芥川賞作家の西村賢太、ジーンときたのは詩人の和合亮一、意外性を感じたのは内田樹。内田さんは本しか読んだことがなかったので私の中で一定のイメージができあがっていたのだが、実際の声とか話し方とかがイメージと全然かけ離れていてアレ?という感じでした(笑)。もちろん話は興味深いのだけど。


FORA.tv - Audio Program of the Week

一言で表現すれば、TEDは世界中の知を15分という限られた時間制限の中で伝えているのに対して、Fora.tvは時間をガンガン使って深く掘り下げようよ、という感じ。世界中で開催されているイベントやコンフェレンスの動画が無料で視聴できます。ポッドキャストもエピソード一本が1時間半を超えるのが普通なので隙間時間の活用というわけにはいかないのですが、東京から大阪への新幹線とかでどうぞ(私の定番パターン)。「もう宗教なんていらないんじゃない?」をテーマにしたディベートとか肝細胞のトークは個人的にお薦め。ちなみにScienceEconomicsUS Politicsに特化したポッドキャストもあります。


This American Life

@Fucchi_Yにイチオシされたので先週から聴き始めているのだが、初めて聴いたエピソードで泣けた。たまたま悲劇モノだったのかもしれないけど(出生時にナースが赤ちゃんを取り違えて、40年後に本当の親に会ったという話)。ノンフィクションだけかと思ったら、たまにフィクションのエピソードもあるらしい。1時間番組なので決して短くはないのだが、ストーリーの語り方が秀逸なのであっという間に時間が過ぎてしまう。毎週配信。バックナンバーは公式サイトで購入可能。99セントは安い。


NBC Meet the Press (audio)

@yanonanoneのお薦め。というかよく見たら私のポッドキャストにも登録されてたけど、なぜか「更新しない」設定になっていたので1年くらい放置プレイだったという。毎回、政治家を招いてアメリカの政治問題について話すというのが定番コース。似たような番組にWashington Week PodcastABC News This Weekがあります。この辺は番組ホストの好みで選んだらよいのでは。共和党支持者なら黙ってFOX Newsなのでしょうが。


週間日経トレンディ

いまの流行ネタとかガジェット系ニュースはこちらで仕入れてます。女性に話題の商品とかをここで知って、それを実際に女性に話してみると驚かれたりする。なぜだろう?


NPR: NPR: Live Concerts from All Songs Considered Podcast

数日おきに更新されるライブ音楽ポッドキャスト。私の隠れナンバーワンです。メジャーなアーティストはあまり出てこないけど、そもそもライブはパワーがあるのであまり気にならない。たまに作業音楽にもしてます。ワールドミュージックからR&B、モダンロックからアコギソロまで何でもあり。


Entrepreneurial Thought Leaders 

アメリカの財界、特にIT業界のビッグネームのスタンフォード大学講演録。個人的に面白いと思ったのがNVidia社長のトーク。製品が時代を先取りしすぎていてまったく理解されず、母親にも「早く就職しろ」と怒られた過去。超ビッグになった今も母親はよくわかってないらしい。エバーノートのリービン社長も日本では温厚な人として知られているが、ここでのトークは不敬な言葉も連発したり(笑)。アツくてスマートな学生たちを前にすると、講演者も気合いが入るのでしょうね。


挙げていくときりがないので今回はここまで。次回はiTunes Uや有料メルマガのお薦めもまとめようかね。


【おまけ】 歴史好き&通勤時間が長い人にはDan Carlin's Hardcore Historyがいいかも。短いエピソードでも80分程度、長いのは5時間を超えるこの空気が読めないポッドキャストをお楽しみください。

2012年3月31日

【英国発】法廷通訳人のボイコットで開廷できませんの巻

先日の大阪シンポでもチラっと話したのですが、とりあえずはこちらの記事を。

Court chaos follows interpreter change

そろそろ歯医者の時間だから読んでる暇はありません、という方に向けて経過をまとめると・・・

従来、イギリスとウェールズではNational Register(全国登録制度)に登録していた法廷通訳人を採用していた。

政府は法廷通訳業務をApplied Language Solutions (ALS)に外注。
ALS「年間6000万ポンドかかっていた通訳費を3分の一カットできます。してみせます!」

登録者2300人の6割がボイコット
「ふざけんじゃねーよ、そんな理不尽な報酬カットのめるはずねーだろ」

2月にALSのサービスが開始してから各地の裁判所で以下のようなことが。
①開廷しても通訳人がいないので何もできずに閉廷(公判延期)
②なぜか指定言語とは違う言語を喋る通訳人が来たものの何もできずに閉廷
③通訳人は来たものの、技能的に難があるため誤訳連発

政府「こりゃダメだ。とりあえず各裁判所は独自の裁量で通訳人を手配してください」
ALS「新サービスへの移行期にトラブルは付き物です。大丈夫だからもう少しご辛抱を!」
通訳人「ALSざまあwww」←イマココ

どれくらいの報酬カットかというと、従来はまず85ポンドの保証があり、3時間を超えた分は15分ごとに一定レートで追加報酬が支払われていました。これに交通費と諸経費分も支払われていました。ALSの新基準では交通費・諸経費無し、85ポンドの保証金も廃止、完全時給制にして通訳人の技能や資格に応じて一定レートを支払うとしています(16、20、22ポンドの3段階)。

最高額の22ポンドでも時給2800円程度。従来のレートも比較的低いのに、この新レートはどう考えてもプロレベルの通訳者が受け入れられるようなものではありません。集団ボイコットは当然の流れでしょう。

で、裁判所はどれくらいひどいことになってるの?

Manchester Crown Court Judge Martin Steiger QC slammed ALS as ‘very unsatisfying’ – hitting out after the sentencing of a sex offender from India was postponed twice when interpreters for the agency failed to turn up. He was so outraged he said he had considered putting the firm in the dock for contempt.

Judge Steiger said there had been no way to contact the interpreters who failed to attend the two previous hearings and ALS had not been able to explain their absence. The sentencing went ahead on the third attempt, when an interpreter attended.

A trial at Leeds Crown Court had to be called off and rescheduled because no one was available to translate for the Czech defendant, with the judge slamming the cost of rescheduling the case.

Solicitor Robert Moussalli, a lawyer with 20 years' experience from Manchester firm Burton Copeland, said he was ‘unimpressed’ by some of the replacement interpreters sent by the agency. ALS denies sending untrained agents to court – and says all its translators undergo rigorous tests.

Justice minister Crispin Blunt told MPs last week there were ‘unacceptable delays’ with the contract.

裁判官にもストレートに批判されたALSですが、社長は楽観的です。

Boss of court translation firm Applied Language Solutions hits back after judges blast service

弁護士のJohn Storerはこんな批判記事も書いてます。

Language Problem: The controversy over the court interpreters contract

ここぞとばかりに法廷通訳人の仕事ぶりなどがメディアでも取り上げられています。

Violent clients, traumatised victims, late payment - the life of a court interpreter

そしてこのALSですが、実はロンドン五輪の翻訳・通訳業務について独占契約を獲得しているのです。国の威信をかけてオリンピックにこんな会社を使っていいのかね・・・