2012年5月21日

中国系翻訳会社の営業メールが醜い件。

近年は安い労働力(翻訳者)を求めて中国やインドに翻訳をアウトソースする企業が多いのですが、なにせありえない極安レートなので価格だけで勝負すると日本在住の翻訳者には勝ち目がありません。では何で勝負するのなると、やはり訳とカスタマーサービスの質ですよね。私は比較的少数のクライアントと長い付き合いを目指しているのですが、付き合いが長いと私ができること、できないことについて相手に明確な理解があるので話が早いですし、私のクライアントは「翻訳者の顔が見えること」を結構大事にしているようです。

で、中国系翻訳会社の話。毎週のように「うちに外注しませんか」と営業メールがガンガン送られてくるわけですが、検討する以前に営業メールの日本語がひどすぎて笑える。もはやネタとしか思えない。どうせ使うつもりはないけど。いくつか披露しよう。

また、当社ではトライヤルも行っております。 若し宜しければ、何か小さなケースやお手紙でも構いませんので、 トライアルさせて頂きたく存じます。

台湾の会社。 用語統一くらいしとけよ、と。            

弊社は2007年から○×省○×局に登録していた専門の翻訳会社でございます。何年間の経営経験があり、中国国内では沢山の会社と取引があり、翻訳の質を確保しております。中日両国には消費レベルの面で色々な原因による大きな差異を存在しております。つまり比較して言うと、翻訳の値段に於いて中国のほうはより安く決められます。もし御社と言語翻訳について取引の協力関係を結べれば非常に見込のある、また御社にとっても、わが社にとっても大変に有利なものであると存じております。

例えば、御社から中国語に訳す原稿をいただき、当社は翻訳致しておりますが、その値段がとても安いから、御社にとって相変わらず以前からの利益空間をご所有になると同時に中国文翻訳者を常備する費用を無くされることもできると存じております。ご検討いただく価値は十分にあると存じます。経済のグローバル化に伴って双方の協力は更に洋々たる見通しを持つものと確信致しております。

何年間なのかよ(笑) 。それにしても利益空間とは意外に魅力的な言葉だね・・・

弊社としては、お客様の案件により、翻訳はすべて現地のプロフェッショナル翻訳家と提携して行っています、ネイティブならではの自然な文体に仕上げております。 弊社翻訳した事例“中日翻訳の例”を別紙添付にて、ご参考になってください。 お忙しいところお手数をおかけしますが、ご返信のほど宜しくお願いします。

そして送られてきたサンプル翻訳がこれ。まあ安ければこんな感じだよね、という。

昨年○×大学日本語学部で勉強していた時、貴社にメールを送信したことがあります。そのメールの中でただ起業計画を述べたので、貴社の重視をもらわなかったかもしれないと思っております。今年7月に卒業して、○× 有限公司を創立し、日中間のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)業務に力を注いでおります。本日再び貴社に連絡をいたし、貴社との貴重な提携チャンスを実現させるよう努力したいと思っております。

そもそもそんなメール受信してないし、学生の起業計画なんて読んでどうするのという。VCと勘違いしてるのかね。

中国からのお問い合わせですが、弊社「○×有限公司」は日中・中日の翻訳をメイン業務の一つとして行っている会社であり、IT、農工商ビジネス、新聞記事、特許、契約、雑誌、漫画などいろんな分野に対応しております。仕事のチャンス、業務提携などお願い申し上げます。必ず品質価格ともにご満足いただけるものを差し上げます。 ご連絡いつもお待ちしております。

「仕事のチャンス」って、早くも崖っぷち感があっていいね!

弊社は○×管理局に登録していた専門の翻訳会社でございます。成立したばかりですが、お客様にご満足いただけるサービスを提供できるように全力を尽くして行きたいと思っております。品質は翻訳会社の命ということをしみじみと感じています、こちらは10年以上の経験と専門性を持つプロの翻訳者が対応します、高品質な翻訳サービスの提供を実現しています。

しみじみですか。過去に大失敗して色々と学んだのでしょうねぇ・・・

朝のほととぎすの声に夢を破られ、初夏の爽やかな風を楽しんでいる五月がゆったりとしたペースでめいてきました。貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。先日連絡した○×のAと申しますが、また今日突然の送信を失礼と感じております。 詳しい弊社の業務内容を添付にて送りしますので、ご参考になってください。 お忙しいところを恐縮ですが、ご返信を頂ければ幸いです。

じゃあ送るなよ(笑)。それに朝のほととぎすのくだりはビジネスメールとしては斬新だね・・・

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