これを読んで東北観光博HPの誤訳問題を思い出した。株式会社クロスランゲージが訳を提供した案件。もっと早く記事にすべきだったな。
誤訳多発で東北博HP閉鎖 秋田が「飽きた」に
観光庁は13日、東北6県で3月に始まった「東北観光博」のホームページ(HP)で紹介している
観光名所などの英語、韓国語、中国語訳に誤りが多数見つかったため日本語以外のHPを閉鎖した。
自動翻訳機を使い、その後のチェックをしなかったのが原因。
同庁は「関係者にご迷惑を掛けた」としており、修正して4月下旬に再開する。
観光庁や各県によると、秋田市の「あきた千秋公園桜まつり」では「あきた」を英語で「飽きた」の意味の「tired」に誤訳。
仙台市指定有形文化財「旧伊達邸」はローマ字表記で「きゅういたつてい」に。
秋田県男鹿市の伝統行事「ナマハゲ」に至っては中国語で「はげ頭病」の意味になっていた。
それはさておき、私が興味深く思ったのは2つの事件の共通点。
①関係者が問題(またはその予兆)に気付いていても改善しない
機械翻訳を使う人間は機械翻訳の欠点をよく理解しています。決して万能だとは思っていません。それがなぜここまで酷い翻訳になったのか。「固有名詞等のデータを提供してもらえなかった」と言い訳しているようですが、それでも秋田→飽きたは言い訳にならない。
②発覚して問題にならなければ万事OK…だと?
高速バス運転手で居眠りを経験、または眠気を感じたまま運転をした経験がある人は90%近くに上ると報道がありました。つまり居眠り運転的現象はほぼ毎日のように発生しているわけで、単に事故になっていないので問題視されていないだけなのだ。これは翻訳でも同じことで、誤訳もバレなければ問題にはならない。私も文書や書籍を読んでかなり酷い誤訳を見かけるときがあるが、一つひとつを指摘していけばきりがない。要は潜在的な大誤訳問題はそこらに山ほど落ちているのである。機械翻訳を利用する側はこのリスクを正しく評価できているのだろうか。
③結局、消費者行動は変わらない
このバス事故の翌日、高速バスの乗車率にはまったく影響がなかったようでした。不安だが安さが魅力、と。これは翻訳でも同じで、東北観光博の一件が機械翻訳の利用に歯止めをかけることはないだろう。結局のところ、消費者は何も学ばない。「リスクはあるだろうけど、自分に限っては…」のメンタリティーなのだ。問題が発生してからでは取り返しがつかないというのに。
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