2010年12月5日

講演「考古学が明らかとする沖縄のアイデンティティ」

12月10日(金)片桐千亜紀さん講演会(英語同時通訳付)
沖縄県立埋蔵文化財センターの片桐さんをお招きして「考古学が明らかとする沖縄のアイデンティティ」のテーマでお話頂きます。内容は以下です。

考古学とは?/人類の誕生と世界への拡散/沖縄「島」への到達/豊富な旧石器人骨の発見/白保竿根田原洞穴人の発見/骨から知る島の生活/琉球王国と水中文化遺産/大航海時代の中継貿易/海底遺跡あれこれ/沖縄の葬墓制/風葬の世界/岩陰の墓と風葬/考古学が明らかとするアイデンティティ等
パワーポイント使用。入場無料。会場キャパ70名。

日時:2010年12月10日金午後7時10分—9時
場所:沖縄県宜野湾市伊佐4丁目2番16号
(宜野湾市伊佐ユニオン近く)語学センター3Fホール

受付:午後6時から (英語同時通訳を聞く方にレシーバを配布)
通訳:語学センター英語同時通訳講座レベル4クラス(4名)
質疑応答:10分ほど
駐車場:40台まで可能。乗り合せでお越下さい。

お問い合わせ:098-942-9216 
沖縄県国際交流・人材育成財団語学センター

2010年11月26日

広州アジア大会15 静かな最終日。

本日が通訳者にとって事実上の最終日です。明日は最終日、つまり男女マラソンで幕を閉じるわけですが、日本語通訳者は必要ないと実行委員会から事前に通知があったようです(マラソンは日本のお家芸なので、これまた不思議な決断ですが)。通訳者の多くは「早く帰りたい~」と心はすっかり帰国モードです。おそらくホテルのワンパターンな食事に飽きたのでしょう(笑)。もう二週間も同じ物を食べていると、お粥やスイカ、味付けなしの蒸しエビとか、シンプルなものしか美味しく感じられません・・・

さて、前日に「バスケを担当したい!」とお願いしたら、日本とイランの銅メダルマッチに担当することになりました。本当は囲碁も狙っていたのですが(一応、アマ五段です)、知恵の輪ジャパンは予選で韓国と中国に負けて、こちらも既に優勝戦線から脱落。持ち時間45分なんて日本のプロ棋士はほとんど打たないでしょうから、最後まで苦戦したことでしょう。名人戦は持ち時間8時間ですから、アジア大会の対局がどれだけ猛スピードで進むのか分かると思います。

まあそれはさておき、バスケ会場へ。日本のバスケファンなら誰でも知っているであろう田臥勇太を生で観るのは、私は今日が初めてです。NBAのプレシーズンやサマーリーグの試合に出場しているのはテレビで観たことがあったのですが。夜7時に中国―韓国の決勝が予定されていて、三位決定戦は3時半くらいから始まったのですが、試合ごとの入れ替えがないので(つまり一枚のチケットと2試合観戦できる)、早めに会場入りしている中国ファンも結構いました。

日本ーイラン
試合ですが、日本は試合開始からどうも波に乗れず。ここまで男女サッカーのしぶとさとチームワークを目にしてきただけに、どうも選手の動きが鈍いというか、足りないというか(サッカーと比べるのも酷だけど)。田臥はパス第一のPGですから周りの選手が動いてくれないと活きてこないし、昔から弱点と指摘されてきたジャンプシュートは相変わらず不安定。むしろイランのPGの方がねちっこい攻撃で存在感が強かった印象です。「こいつなら何かしてくれそうだ」感があったというか。勝ち続けるチームには必ずそういう選手がいるもので、この試合でもイランのPGは大暴れでした。日本は一度崩されたリズムを元に戻す事ができず、結局最後までリードすることなく完敗。特筆すべき展開が何もなかったのが残念です。

さて、最終日の通訳ですが・・・キャンセルされました(泣)。まあ日本メディアは4位のチームに興味はないでしょうし、中国メディアの関心は夜の決勝に100%注がれているので、考えてみれば当然の結果ということで。

なんとも締まりのない最後ではありましたが、広州アジア大会、色々な意味で楽しい仕事でした。また4年後に韓国に呼ばれたいものです・・・!

■最終日の夜に日本語通訳者が集まって食事したのですが、なんと同じレストランにマラソン解説で広州を訪れていた増田明美さんが。記念に一枚頂きました。

増田明美さんと一緒に
■余談ですが、今後はもっとエンタメやスポーツ関連の通訳を増やしていきたいと思います。政治やビジネスに飽きたわけではないけれど、今はそういうサイクルにあると言うか、純粋に楽しめる仕事をしたいですね。きちんと仕事すれば金メダルも貰えるしね!

どさくさに紛れて金メダルGET

2010年11月25日

広州アジア大会14 これが日本のサッカー!

やっぱりサッカー決勝の担当になりました。会場のスタジアムも今日に限ってはセキュリティが一段と厳しくなっており、当日用の特別なパスが必要とのことなので、3時過ぎに会場入りして三位決定戦(韓国―イラン)から観戦しました。で、これが最高の試合でした!

会場の一角に熱心な韓国サポーターが陣取り、例の「テーハンミング(大韓民国)」を大声でチャントするのですが、すぐに中国ファンのチャントにかき消され(泣)、肝心の試合もイランが先制し、後半30分過ぎまで3-1とリード。ただ奇跡はここからです。会場全体に終了ムードが漂う中、韓国は辛抱強くボールをつないで、まずはミドルシュートで1点。これでイランが目を覚まして全員で守りに入り、タックルを受けるたびに足をおさえて時間稼ぎに走るわけですが、韓国は丁寧に前線に運び、試合残り2分でゴール前に飛び出したジ・ドンウォンがヘディングで同点ゴール。そして韓国人通訳者とメディア席で「きたーーー!」と大はしゃぎしている私の興奮が冷めやまぬ間に、再度ジ・ドンウォンがDFの頭を越えてヘディングで決勝点。会場は大いに盛り上がり、韓国選手はベンチ前で抱き合い、イラン選手はピッチ上でがっくり。サッカーでこんな大逆転劇を目にすることはあまりありません。

大逆転の後、久々に饒舌なホン・ミョンボ監督
決勝は7時にキックオフ。予選からずっと観てきた私にとっても、「21歳以下代表の二軍」と呼ばれてさほど期待もされていなかったこのチームには思い入れがあります。試合後の記者会見で監督が「すべては守りから始まる。まずは守備から」と語っていたように、我慢強く、泥臭い守備でボールを奪い、前線の水沼や永井につなぐ。「目標に向かって一丸となるところ」が日本のサッカーだとも述べていましたが、ボランチの山村をはじめ、今大会は守備陣がとても印象に残っています。DF実藤の決勝点も今まで我慢していた鬱憤を一気に晴らすような感じで、個人的にスカッとしました(おおむねUAEの応援に回っていた中国人を黙らせたというのもある)。フィジカルで勝る相手でも、組織力で互角以上に戦えることを証明した大会でもありました。



負け戦の記者会見ほど重くて面白くないものはないですから、勝利で終わって本当に良かったです。予選からずっと固かった印象の関塚監督も、最後の記者会見はリラックスしていて、肩の荷が下りたのだなあと感じました。前も書きましたが、関塚監督は寄り道をしないで、筋が通った話をするので非常に通訳がしやすい。川崎フロンターレ時代、国際舞台の大きな試合では涙をのむ事が多かったですが、ついに念願のビッグタイトルです。日本サッカー史上初のアジア大会優勝、おめでとうございます!

■グリーンズ関係の仕事でお世話になった兵庫県議会議員の稲村和美さんが尼崎市長に当選したとのニュースが飛び込んできました。歴代最年少(38歳)の女性市長です。おめでとうございます!サンパウロの夜のように、またワインをしこたま飲みましょう!

■125年の歴史を誇る広東料理の老舗・陶陶居酒家でランチしてきました。飲茶は久しぶり。香港に住んでいた頃は毎週のように食べていた記憶があるのですが。

がっつり食べました

2010年11月24日

広州アジア大会13 念願のビーチバレーだったけど。

先週からスケジュール担当者に「私は女子ビーチバレーのスペシャリストだから、日本語通訳はまかせてね!絶対だよ!」と明らかに下心丸出しのアピールを続けていたら、なんと要望を聞き入れてくれてビーチバレーを担当させてくれた・・・って男子かよ。一杯食わされた。

日本は朝日・白鳥ペアが銅メダルを決める三位決定戦に出場。ただ対戦相手との実力差がかなりあったのか、34分であっけなく勝利。そして銅メダルだからなのかは分かりませんが、記者会見を求めるメディアがおらず、せっかく1時間もかけて会場に来たのに仕事はなし。でもまあここまで来たのだからと、中国ペアが激突した決勝を観戦してきました。

その試合ですが、まず驚いたのが進行と演出。というか、Xゲーム並みの派手な演出です。タイムアウト中はもちろん、ポイントの間の8~10秒にも音量MAXの音楽が流れて、タイムアウト中とセットの合間にはセクシーダンサーも登場して踊りまくるので、観客は目と頭を休める暇がありません。ただその辺はきちんと計算されていて、決して疲れることはありません。むしろ一つのエンタメ・パッケージとして完成しているというか。

ダンサーの皆さん、美しい!
 ビーチバレーを生で観るのは初めてだったのですが、意外に選手の動きが速い。砂に足をとられてかなりスピードと俊敏性が落ちるのではないかと勝手に予想していたのですが、やはり鍛錬を積んだプロというか、スピードもポジショニングも素晴らしい(当たり前か)。そしてパワーよりも頭脳プレーの要素が圧倒的に多い大きい印象です。決勝を戦った中国ペア2組は国内でも頻繁に対決するらしく、今年は互角の勝負が続いていたとか。それだけに1セットが重いです。動画は第一セット最後のポイント。



そういえばビーチバレーなんてもう10年以上やってないな・・・

2010年11月23日

広州アジア大会12 成長する若きサムライたち

男子サッカー準決勝、イラン戦です。日本同様、イランも23歳以下の選手を中心にチーム編成をしていたのですが(試合後の記者会見でイラン監督が「クラブチームが選手を出してくれなかったのでベストメンバーを揃えられなかった」と述べていたので、意図的ではないかもしれませんが)、フィジカルでは全体的にイランが日本を圧倒。個々の創造性、ダイナミズムで勝るイランは観客を大いに沸かせてくれました。縦パス一本でするっと抜けて先制点を取った時は日本選手が浮き足立っているのが手に取るように分かりましたし、イランはその後も前線から激しいプレッシャーで日本の肉体的・精神的タフネスを試しているようでした。

しかし日本は立ち直ります。少しずつリズムを作り、パスをつなぎ始め、イランのようにロングボールにこだわらずに、細かくつなぐ組織的サッカー、関塚監督の掲げた日本のサッカーを貫きます。すると選手が徐々に落ち着きを取り戻し、水沼が抜け出して同点ゴール。後半はイランが背の高いFWを投入してクロスからの攻撃を試みますが、日本も當間を投入してディフェンスラインを固め、イランの猛攻に我慢の時間。そして居合いのように一瞬のスキを突いて、永井のドリブル3人抜きの逆転ゴールが生まれました。イランの監督が「イランは6度の決定機があり1ゴール、日本は3度の決定機があり2ゴール。決定力が勝負を決めた」と話していましたが、その通りだと思います。

先制されるも集中を切らさず逆転!
いつもはあまり話さない関塚監督もこの日は記者の質問に長く丁寧に話していました。選手一人ひとりの成長、そして一つのチームとしての成長を実感し、とても喜んでいるようでした。逆転ゴールを決めた後に選手全員がベンチ前に集まって抱擁していた姿が目に焼きついて離れません。二日後の決勝もぜひ担当したいものです(単に試合を観戦したいというのもあるけど)。

■イランの監督は発言する時に必ず「In the name of Allah...」と言っていたので、私もしかたなく「アラーの名において・・・」と訳しました。そういうものなのですかね。

■この日の午後2時半頃、韓国が海の軍事境界線と定める北方限界線(NLL)に近い韓国西方沖の延坪(ヨンピョン)島と周辺の黄海水域に、北朝鮮側から砲撃があり、50発以上が着弾、多数の民家が炎上したとの一報。韓国軍が応戦し、少なくとも韓国軍兵士2人が死亡、兵士や住民20人が重軽傷を負ったとのこと。北朝鮮人の通訳をしなければならない韓国語通訳者にとって、かなり複雑な状況になりつつあります。もともと複雑なのに、もう勘弁して!

2010年11月22日

広州アジア大会11 なでしこ、悲願の金メダル

アジア大会で女子サッカーが採用されたのは1990年大会が初めてで、今回が6大会目。これまで女子サッカー日本代表はアジア杯を含め、過去のアジア覇者を争う大会では、準優勝が7度と、最後の最後で苦杯をなめてきました。あともう一歩。何かが足りなかった。宮間主将は、試合前に「今まで、金メダルを取れなかった先輩たちのために戦おう」とチームを発奮させていたと記者会見で語っていました。

ホテルで待機しているのも退屈なので三位決定戦(中国―韓国)のキックオフから会場入りしていたのですが、中国には準決勝の日本戦で見せた覇気が無く、気の緩みと一瞬のスキから開始2分でゴールを許し、その後も韓国にがっちりボールを支配されて完敗しました。6~7割入っていたスタジアムも決勝戦直前には5割程度に減っていて、私が座るメディア席のすぐ隣には北朝鮮の応援団、そのすぐ隣には数では劣るものの、日本の応援団が陣取っていました。試合内容によっては乱闘とかあるのかな、と考えてみたり。

その試合ですが、予選とほぼ同じで、北朝鮮の激しいプレスとスピーディーな展開に日本は防戦一方。日本は攻撃のリズムをなかなか作れず、ボランチの澤や坂口がボールを奪っても前線に展開しきれない。北朝鮮SBのセンタリングがそのままゴールになりそうだったり、MFのミドルシュートがクロスバーを叩いたり、日本を応援する側としてはあまり心臓に良くない流れが続きました。ただシュートを打たれても、サイド突破を許しても、全員守備で最後の最後は泥臭く跳ね返す、そんな日本代表がとても印象的でした。

我慢の時間が続いた日本
後半28分、コーナーキックにDF岩清水がヘッドで合わせて待望の先制ゴール。北朝鮮を応援していた中国人ファンのチャントが一瞬でため息に変わりました。北朝鮮は3人の交替枠を使い切って最後の猛攻撃を仕掛けてきましたが、日本はしっかり連携してチャンスの芽を摘み取り、逆に北朝鮮DFラインに生まれた穴を突く場面も。そして試合終了のホイッスル。予選からずっとなでしこ担当通訳者(?)だった私としては、個人的にも特別な日になりました。



試合後の記者会見は、おそらく今大会でもっとも安定している中国語通訳者であるJiang Qianさんとペアを組む。男の子を育てながら仕事をしているママさん通訳者です。会見前に北朝鮮と韓国の正しい呼称を確認する。これを間違えると実行委員会が結構うるさいのです。


北朝鮮
×North Korea
○DPRK (DPRK athletes)

韓国
×South Korea
○Korea (Koreans)

北朝鮮の監督は専属の通訳者を伴って姿を現したのですが、正直、プロとは呼べないレベルでした。おそらく韓国人に通訳してもらう屈辱を味わうくらいなら自国の通訳者を使いたい、ということなのでしょうが、なにしろ英語が英語になっていないし、外国人記者の “Does dear leader Kim Jong-il love women’s football? If so, did he watch this final on TV?” という通訳的には初歩の初歩の質問にも「もう一度質問をゆっくり繰り返してもらえますか?」とお願いしていたくらいですから。記者は空気を読んで誰もツッコミを入れませんが、みんなそう思っていたはずです。

北朝鮮応援団は警備付きで会場外へ

最後に佐々木監督。これまで多くの監督・選手の通訳をしてきましたが、通訳者全員の片付けが終わるのをわざわざ待って握手を求め、お礼をして帰るなんて、佐々木監督くらいです。ロンドン五輪に呼ばれたらまた通訳したいです!

何はともあれ、なぜしこジャパン、金メダルおめでとうございます。感動しました!

表彰式でメダル待ち!

2010年11月21日

広州アジア大会10 体調管理が難しい

前々からスケジュール担当者に「ホテルに一日中待機だと本当に退屈だから毎日仕事お願いね!」ときつく言ってあったのですが(笑)、他の通訳者との兼ね合いと、ファイナルが少ないということもあって、今日は久々のオフ。そんなわけで、帰国後に始まる裁判員裁判の資料読み込み・翻訳と、某誌の編集者にお願いされた原稿を書く。今日は私の他に5人の日本語通訳者がオフなのですが、みんな同じような感じだと聞きました。オフと言っても、やはりみんな忙しいですね。

ただ私も含めて、どうも喉の痛みや鼻の違和感を訴える通訳者が続出しています。やはり広州の空気のせいでしょうか。夜もよく眠れません。目もチクチクした痛みが時折あります。アラビア語の通訳者の中には広州に到着してすぐ体調不良を訴えて3日で帰国した人もいます。中国語通訳者はただでさえ不足気味なのに、体調不良で北京に戻ってしまった人も。実行委員会は当初の計画を変更して、中国語通訳者の追加要請をしているようですが、いまさら言われても手配は難しいのではと思います。できる通訳者はすぐにスケジュールが埋まってしまいますから。

でもベトナム料理を食べる元気はある
 ■一部競技で台湾人監督が中国語通訳にクレームをつけたとの噂が広まっていましたが、どうやらガセだった模様。通訳者のレベルにはもちろん差がありますが、ここまで特に大きな問題はないようです。

■韓国語通訳者のヘレンが、韓国メディアで「美人過ぎる通訳者」として特集されたとか。羨ましいなあ。誰か私も特集してくれないかしら。「焼肉を愛し過ぎる通訳者」とかで。

左が噂の「美人すぎる通訳者」

2010年11月20日

広州アジア大会9 日本vs中国キタ━━━━(゜∀゜)━━━━ッ!!

もうすっかりサッカー担当になってしまった感がありますが、好きなので特に文句はありません(笑)。今日は中国でも注目されている準決勝。女子サッカーは中国でも注目を集めていて、入場ゲートはどこもカオス状態(中国人は列に並ばないというのも理由の一つですが)。会場内のセキュリティも通常より厳しく、スタジアム内も熱気がムンムン。一般に混じって観客席で日本を応援したら危ないのかなあと考えていたら、なんとエグゼキュティブ・ルーム(!)に案内された。11月中旬になっても昼間は暑いので、空調がある部屋での観戦は助かります。それにエグゼキュティブ・ルームからはフィールドが全て見渡せる。日本で普通に借りたら30万円くらいはするのでしょうか。

VIP待遇っぽい
暑い暑いと文句ばかりの私ですが、ピッチ上の選手はもっと暑いはずで、中国の猛攻を90分間しのぎ続け、0-0で延長に入る頃には日も暮れ始めていました。0-0でも通訳者は残り時間15分くらいの時点で記者会見場に移動して準備を始めます。マイクのチェック、通訳の順序の確認、メディアリストの確認等(会見に参加するメディアのリストが配布される)、色々あります。ただ準備が終わっても、試合はまだ終わる気配がありません。延長に入っても一進一退、いやむしろ中国がやや優勢のムードで、周囲の中国人記者たちの「いけるぞ!」的な雰囲気の中、私だけがハラハラして肩身が狭い感が。

しかし日本代表はやってくれました。ずっと我慢のサッカーを続けてきたFW大野が延長後半、こぼれ球に反応してがら空きのゴールにシュートを叩き込む。「あぁー」のため息が会場を包み、メディアラウンジにも悲鳴が。そして日本は残りの8分をがっちり守って逃げ切り、試合終了。ホイッスルが鳴り響いた瞬間、中国の選手はフィールドに倒れこみ、日本も手を挙げて喜ぶ選手は少なく、その場に座り込んだりして、本当に限界まで疲労していたことが伺えました。

完全アウェーの中、よく頑張った!
 3ヶ月前に新しい監督が就任してから、中国はとても素晴らしいサッカーをしていただけに、ファンにとっては痛い敗戦だったことでしょう。会見でも質問は中国代表の監督に集中し、3ヶ月でここまでのサプライズを演出できたのであれば、次のアジアカップやW杯はもっと期待できるのではないかと、もう将来を見据えている質問が多かったように思います。男子代表が予選で敗退した時はかなり叩かれて酷評されただけに(現地の新聞では「全員クビにしろ!」とか「恥をさらすくらいならサッカーなんてやめてしまえ!」などの見出しが並んだ)、反応が極端だなあと思いました。

日本側からは佐々木監督とMF澤選手が登壇。佐々木監督は非常に礼儀正しく、通訳者にも色々配慮してくださる方です。監督や選手の中には、勝ったにしても負けたにしても、なぜか機嫌が悪くて質問にまともに答えなかったり、わざと挑発的な答え方をしたりする方もいる中、本当に紳士的でした。

会見後に澤選手が「三ヶ国語喋れるんですか?」と訊いてきたので、私は中国人通訳者の英語を待ってリレーしているのですと説明したら「すごくスムーズなので中国語も分かるのかと思っていました」とありがたい一言を頂きました。いやいや、15歳から日本代表のあなたの方が百倍凄いですって。今までもファンでしたし、これからもずっとファンですよ!

2010年11月19日

広州アジア大会8 野球はガラガラ、バスケは超満員。

この日は野球の三位決定戦を担当。準決勝で台湾に惜敗した日本代表は中国と対戦。この日もタクシーで早めに到着して最初から観戦しました。中国代表が弱いというのもあると思いますが、中国で野球はまだマイナースポーツ。担当の中国語通訳者も「野球は全く知らなかったらルールを一から勉強したの」と言っていました。そういえば日本人通訳者の中にもチェンジアップを知らない人がいたな・・・(遠い目)

試合は一回裏に日本が5点を先制。中国の先発ピッチャーが大乱調で自爆したというのもありますが、日本も要所でヒットを重ねて序盤で試合を決めました。先発した横浜ドラフト1位の須田と、中継ぎした阪神ドラフト1位の榎田は共に球のキレと伸びが良く、プロになってからも活躍が期待されます。ちなみに試合後の記者会見はドタキャンでまたも出番無し。中国との3位決定戦など消化試合に等しいと思ったのかは分かりませんが、日本メディアの気配は全く無く、それなら会見しても意味ないよね、ということでした。

そんなわけで予定より早くホテルに戻り、小さな翻訳案件を2件さばいた後、男子バスケットボール(中国vsウズベキスタン)の試合を観戦。会場はアジア大会のためだけに建設されたようで、NBA級のデザインと収容数を誇るアリーナ。試合中の演出もレイカー・ガールズもどき(笑)あり、アクロバティックダンスありと、エンターテイメント性にも力を入れている印象がありました。試合は元NBA選手の王治郅がサイズと老獪なテクニックでインサイドを圧倒し、中国のガードもノーマークの3点シュートを連発して、技術・経験不足のウズベキスタン代表を一蹴しました。ウズベキスタン代表監督が試合後の記者会見で明らかにしていましたが、資金難でフルチームを連れて来れなかったという事情もあったと。同じアジアといえど、やはり富の差はあるのだなと当たり前の事実を改めて実感させられる一幕でした。



日本のPG田臥勇太は中国でも名が知られているらしく、アリーナ内のポスター等にもフィーチャーされていました。ぜひ決勝に進出して中国と対戦してほしいものです。そうなったらぜひ私が通訳を担当したいですね!

■ちなみに台湾は英語ではTaiwanではなく、Chinese Taipeiと言わなければならないと指導されています。クエート人もKuwaitiはダメで、people of Kuwaitと言うようにと。政治的に色々あるのでしょうね。

中国のスーパーはこんな感じ