昨年のJTF翻訳祭で西野竜太郎さんが「翻訳者だからできる!世界に向けたアプリの開発と販売」と題した発表をされたのですが、そこで翻訳の新しいビジネスモデルとして「フリーミアムを絡める」こと、つまり極端な話、翻訳をタダにしてはどうか?という提案がありました。ただ、あまりにも斬新すぎる主張ゆえに聴衆はポカーン状態で、西野さん自身もその場で分かりやすい具体例を提示しなかったので(そもそも発表の主旨ではなかった)、特に深い議論には発展しませんでした。
実はこの発表の数ヶ月前にクリス・アンダーソンの『フリー』を読んでいた私も、「翻訳をフリーにできないのかな」とぼんやり考えていました。西野さんに話したところ、この不完全燃焼感を払拭すべく、翻訳・通訳とフリーを絡めた具体的なビジネスモデルを考えてみようということになりました。それもコンペ形式で(笑)。ツイッターの翻訳クラスタから平井和也さん、宮原美佳子さん、清水憲二さんも参戦します。
投票は月末からスタートしますが、私はアイデアを複数用意しているので、明日から一つずつ発表していきます。ご意見などありましたら、ツイッターかコメント欄(オープンにしました)にどうぞ。
フリーの各モデルについてはクリス・アンダーソンの本を読むのが一番なのですが、とりあえず以下に簡単にまとめます。
1.直接的内部相互補助
無料なもの: 消費者の気を引いて、他のものも買ってみようと思わせる商品ならなんでも
無料対象者: 結局はみんなが、なんらかの方法で喜んで金を払う
具体例: 「DVDを一枚買えば、二枚目はタダ」、「1,500円以上の注文で送料無料」
2.三者間市場
無料なもの: コンテンツ、サービス、ソフトウェアなど
無料対象者: 誰でも
具体例: 「PDF文書の閲覧は無料、作成ソフトは有料」(Adobe)、「女性は入場無料、男性は有料」(バーなど)
3.フリーミアム
無料なもの: 有料のプレミアム版に対する基本版
無料対象者: 基本版のユーザー
具体例: 「画像共有サービスは無料、追加の保存容量は無料」(Flickr)、「PC同士の通話は無料、PCと電話の通話は無料」(Skype)
4.非貨幣市場
無料なもの: 対価を期待せずに、人々があげるものすべて
無料対象者: 誰でも
具体例: ウィキペディア、ヤフー知恵袋
さすがに4)非貨幣市場はお金の移動がないので、私の想像力では有効なモデルを考えることはできませんでしたが(対価を期待しなかったら、どうやって食べていくの?という話ですし)、1~3については色々考えてみました。個人的にはすぐにも実現可能なアイデアばかりだと思うのですが…
2 件のコメント:
実は翻訳祭のときにフリーの案は出したんですよ。
翻訳は無料、マーケティングとサポートは有料、という形で。今回のコンペの僕の第3案とほぼ同じです。
あれ、具体案を出してましたか?コンセプトレベルで終わったと思っていましたが。おそらく私が聞き逃したのですね。失礼しました!
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