■概要
三者間市場モデル。医療通訳者をリアル広告塔、または事実上の広告塔にすることで、患者に医療通訳サービスを無料で提供する。
■無料なもの
医療通訳サービス全般
■有料なもの
患者は一切お金を払わない。通訳料を負担するのは製薬会社・医療機器メーカーや病院。
■説明
日本では医療通訳者が不足していますが、その理由の一つに通訳者の報酬の問題があります。多くの患者はプロの通訳者を雇う金銭的な余裕がなく、病院も費用を負担するのに積極的ではありません。つまり現在、現場で活動している医療通訳者は、高度な技術を提供しているにもかかわらず、「プロらしい」報酬を得ていないのです。
基本的な考えとして、病気で困っている患者に対して、貧しいからサービス提供を拒否することは倫理的問題がありますので、ここはフリーにするのが重要です。では誰が通訳者の報酬を払うのか。
一つのアイデアとしては、通訳者が着るシャツやズボンに企業の広告を入れ、これを制服にすることです。製薬会社や医療機器メーカー、地域の有力企業の広告を掲載するわけです。リアル広告塔ですね。この広告料が通訳報酬に充てられます。
全身広告の例(アイスホッケー) |
さすがにここまで広告だらけにすると通訳者にとっては恥辱プレイかもしれないので(笑)、実際にはシャツの前面に小さなロゴ、後方に少し大きめの広告などはどうでしょうか。「広告なんてけしからん!通訳者の品位を損なう」という意見もあるかもしれません。実は私も同意見ですし、プロとしての品位と沽券は大事だと思いますが、この案では患者の利益を優先して考えています。プライドのために救われるべき人が救われないのは馬鹿らしいので。
さて、それでもやはり品位は大事だと考える人のために、通訳者が広告を纏わない選択肢も考えてみたいと思います。私が提案するのは、通訳者の報酬を複数の製薬会社・医療機器メーカーが協力して設立するNPO法人が支払うモデルです(批判を避けるためと、円滑な運用のために病院もスキームに組み込めたら理想的です)。
まあ簡単に説明すると、医療通訳を企業のフィランソロピー(社会的貢献活動)として位置付けるということです。The Chronicle of Philanthropyの2002年の調査によると、米企業がフィランソロピーに投じる総額の約34%は医薬品開発会社によるものであり、慈善事業寄付額のトップ4社は医薬品開発会社でした。これは米国に限る話ではなく、日本のメーカーもお金はあるのです。地域に根ざした医療通訳サービスを複数の医療関係企業が協力して提供することを提案することで、患者は無料で通訳サービスを受け、通訳者は適正な報酬が保証され、企業はこの活動をアピールすることでイメージが向上します。加えて言えば、薬品の開発費と比較すれば、この種の通訳サービスに必要なコストは微々たるものです。費用対効果は大きいのではないでしょうか。
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