2024年5月28日

EASL: 東アジアスーパーリーグ

East Asia Super Leagueとの関係は2022年の冬が始まりでした。日本のBリーグについては競技そのものよりリーグのビジネスモデルの方に興味があった私は、本件の打診があったとき、「アジアのバスケ・チャンピオンズリーグか。面白そう」と二つ返事で受けた記憶があります。付き合いのあるクライアントがリーグに出資していて、その紹介というのもありました。

私が担当したのは主にEASL幹部とBリーグとのあいだの交渉です。Bリーグの次のシーズンのスケジュールは決定済みでしたので、EASLとの交渉は難しい部分がありましたが、アジアにおけるバスケの未来のために、両当事者は粘り強く交渉し、かなり頑張ったと思います。学生の頃からバスケファンの私にとってもやりがいのある仕事でした。

2023年~24年の王者は千葉ジェッツ。おめでとうございます。今後もアジアのバスケレベルの底上げ、さらなる普及、そしてビジネスとしてのバスケの発展を期待しています。NBAの仕事も増やしたいのですが、NBA Japan Games 2022以来、声がかからないというか、NBA絡みの案件があまりない気が。

2024年5月20日

エルデンリングDLC:SHADOW OF THE ERDTREE

ファンを待たせて待たせて、待たせすぎたエルデンリング:SHADOW OF THE ERDTREEがついにリリースされました。本編のDLCです。フロム信者の私も当然購入しました。

バンダイナムコさんには昔から仕事でお世話になっていて、本編の開発中から会議で耳にするたびに心が躍ったものです。ただ開発中は当然、非公開の情報ばかりですので、最初に「Erdtree」を耳にしたときは「黄金樹」とは知らないので訳すことはできず、役員に対する重要なデモなのに適切な用語が出てこない、という残念な経験をしたものです。状況的にしかたないのですが。

以前にゲーム翻訳者の武藤陽生さんと「ゲームって楽しみながら用語とか表現を学べる素晴らしいツールだよね」という話したことがあります。私の場合はCoDで軍事用語を学び、魔法や呪術関係はエルデンリング(とダークソウルのシリーズ)から学んだ部分が大きいです。あと、エルデンリングの英語表現は、フレイバーテキストなども本当に勉強になります。というか、翻訳者のインタビューがありましたね。

2024年5月15日

Biomass Innovations Asia Conference

 
今年もBiomass Innovations Asia 2024を担当しました。内容も嫌いではないですが、この案件は通訳とは別の楽しみというか、私好みのホテルランチが美味しいから受けている部分も大きいです(笑)。稼いだおカネで食べればいい話ではあるのですが、どうせならちゃんと仕事をして、収入も得て、それで食事もできれば最高というか。それに近年、エネルギーは分野として存在感がかなり増しているので、そこで結果を残しておきたいという気持ちもあります。

ちなみにSAF(サフ)については何年も前にこの会議を通して初めて学びました。SAFはSustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略で、化石燃料以外の原料から作られる航空燃料です。廃食油や微細藻類、木くず、サトウキビ、古紙などが主な原料として使用されます。昔だったら廃棄するにもおカネがかかって苦労した廃食油も今は価値がある時代になっています。個人的にはSAFに大きな期待をしているので、最新の状況を知るためにもこのような仕事を担当するのには意味があります。

2024年4月30日

ブレイキン世界大会「FUJIFILM INSTAX Undisputed Masters」東京大会

 

ブレイキン世界大会「FUJIFILM INSTAX Undisputed Masters」東京大会に通訳としてお邪魔してきました。面白い案件でない限り週末はあまり動かない私ですが、世界のフィル・ウィザードが来日するということであれば行かない理由はないでしょう。行きます!行きました!

スポーツであれば守備範囲が広い方の私ですが、ブレイキンは強いわけではありません。準備としては、まず①出場選手、②各選手の得意技、③有力選手(特にパリ五輪が確定している、または有力視されている選手)の過去1年の大会実績を基本として調べます。それに加えて目を慣らすためにYouTube動画をかなり視聴しました。Red Bull BC Oneは擦り切れるほど(昭和の表現)観たはず。加えて優勝候補の過去の対談動画やインタビュー動画は必ず確認するようにしています。たとえば以下はフィル・ウィザード。動画を確認することで初めて知る情報がありますし、ネットには「〇×〇×」と書いてあるけど、選手のあいだでは「〇〇×」と呼ばれているなど、業界人の言葉を使い方を学べます。話し方のクセにも慣れることができますしね。


ちなみに私の今後の注目選手はB-Girl Nicka (Dominika Banevič)です。派手なパフォーマンスではないものの、技術的にしっかりしていて、一つの作品としての完成度がとても高い。まだ16歳なのに!というか、彼女の試合後のインタビューを2本担当したのですが、16歳とは思えない大人らしい受け答えでした。

2024年4月23日

直前依頼でシンガポール:Entrepreneurs' Organization

 

もともと遠隔で対応するはずだった案件が諸事情で現地対応に変更され、週末にシンガポール入り。会場がMBS(マリーナベイサンズ)の会議棟だったので、「久々にMBSに泊まれる!」と思っていたら、写真のようにかなり離れたホテルでした(笑)。それでもグレードは良いので不満はまったくありませんが。案件はEntrepreneurs' Organization(起業家機構)の国際会議です。

会議ではGreen Terpプラットフォームを使用したので、日本からノートPCを含む遠隔通訳キットを持参。コロナ渦において多数の遠隔通訳プラットフォーム(というか、遠隔会議プラットフォーム)が誕生したが、その多くが23年から24年にかけて姿を消した印象です。その中で、シンガポール発のGreen Terpはまだ奮闘していますが、おおむね大勢が決したいま、メジャー以外のプラットフォームは今後どうなるのか注目です。

本件にはJACI認定会員のフリィ・マクウィリアムスさん、エバレット千尋さん、賀来華子さんも参加しました。賀来さんに至っては、JACIの広島ワークショップを教えたあとに深夜便でシンガポール入りというハードスケジュール。頭が上がりません。

それにしても現場案件はやっぱりいいですね。通訳仲間との食事が楽しい!

2024年4月17日

香港での商事仲裁

実は香港生まれの私ですが、大人になってからは仕事以外で香港を訪れることはなくなり、今では年に1回~2回ほど。今年も商事仲裁案件で3日ほど訪れました。昼はしっかり仕事、夜は父親&姉の家族と夕食を共にする、または付き合いのある現地通訳者と食事するのがいつものパターンです。

仲裁案件ではどんな準備をしたらよいのか、と聞かれることがありますが、知っておくべき事実や用語は準備書面にすべてあるので、それを読み込めば大事故にはなりません。シンプルすぎる答えかもしれませんが、これが正解です。ときには書面が山のように届けられて頭が痛くなりますが……

わからないときは「わからない」と正直に言って、わかる努力をしないさい、わからないまま訳出しても誰も得しません、と通訳学校で教わる人もいますが、少なくとも何百億がかかっているhigh stakesの法務案件ではこれは当てはまりません。通訳者はわかっていることを前提として雇われているので、わかっていなければならないのです。通訳者の知識や能力が不足している場合、そこを相手側の弁護士に厳しく追及されることもあります。実際、通訳者の能力を理由に相当な証拠の価値が毀損されたような事件もあります。

法務を専門とする通訳者の数は、仕事柄かなり高度な通訳技術とメンタルタフネスが必要とされるため、なかなか増えませんが、私個人としてもその部分をどうにかしたいと考えています。

2024年3月31日

ダニエル・ジル教授の来日イベント

 

JACIが2018年に創設した特別功労賞の第1回受賞者であるダニエル・ジル教授が仕事と私用を兼ねて日本に長期滞在する、と耳にしたのが23年秋頃。すぐに連絡して調整を重ね、滞在中の一週末を頂いて直接講義をしていただきました。ジル教授とえば通訳の努力モデルですが、講義は最新の通訳理論も含んでおり、実に濃密な週末になりました。懇親会には鶴田知佳子先生やジル教授の旧友も飛び入りし、こちらもとても有意義だったと思います。

JACIにとってこのような試みは初めてだったので、自由な議論ができるようにと録画はしなかったのですが、内容が盛りだくさんで消化しきれない部分もあったかもしれない、という反省から、この講義の内容を動画化できないかといまジル教授と協議中です。実現すれば、おそらく1モデュール10分~15分というようなサクッと学べる形になるはずです。期待せずにお楽しみに!笑

2024年3月26日

ID@Xbox

 

ID@Xbox(Independent Developers @ Xbox)は、マイクロソフトが提供するインディーゲーム配信プログラムです。マイクロソフトは認定ゲーム開発者が、Xbox 本体やWindows、クラウドでゲームを自己公開できるよう、ツールやサポートを提供しています。インディーゲーム開発者が対象なので大きなPR予算がついているわけではないかもしれませんが、それでもイベントなどを通して盛り上げていこうという意気込みは伝わります。実はID@Xboxイベントの同通は今年が初めてです。担当ゲームは以下の通り。

Fallen Tear: The Ascension

InKonbini: One Store, Many Stories

Brocula

一緒に組んだ同通パートナーはブロキュラ推しなのですが、私はインコンビニですかねえ。

通常この種のイベントは読み原稿が準備されているのがほとんどですので大きな心配はないのですが、万が一それが用意されていなかった場合どうするか。YouTube動画やネット上のコンテンツを調べればゲームの特徴がある程度わかると思うので、そこの絞って通訳するのが無難かと思います。それ以外は訳さない、という意味ではなく、欲張ってすべてをぶっつけで訳そうとすると、だいたい焦点がブレブレの訳になることが多いのと、聞き手もそんなに覚えられないので、しっかり特徴(ゲームの「売り」)を記憶してもらった方が良い、という意味です。

2024年3月4日

【3/2-3/3】JACI 札幌逐次ワークショップ

 

1月から始まったJACIの国内逐次ワークショップですが、3月は札幌開催です。札幌でやるなら冬の方が雰囲気あるよね、という私のテキトーな考えで3月上旬に決まったこのイベントですが、前日になって「吹雪で飛行機が飛ばないかも?!」という危機的状況に。本来であれば講師2名(私と結城直美さん)は飛行機で現地入りするはずが、リスクヘッジのために結城さんは空のルート、私は新幹線と電車を乗り継ぐ陸路で札幌を目指すことになりました。

深夜に新函館北斗駅に着き、近くの東横インにチェックイン。フロントの人に「最寄りのコンビニは車で15分です」と言われた気が今でもするのですが、聞き間違いかもしれません。陸路で北海道自体が初めてなので、土地勘がなさすぎです。翌朝は早い時間から移動を開始して、なんとか時間までに札幌の会場に到着することができました。

地方でイベントを開催するときは、今回のようなワークショップもそうですが、地元の業界情報を得るように努めています。どのような仕事が多いのか、通訳者に仕事を通した成長の機会はあるのか、業界団体に求めていることは何か……対話をするなかで学ぶことも多いです。外部の人間には見えにくい関係性なども少しずつ見えてくるので、コミュニケーションはとても大事です。

過去の経験も踏まえた個人的な意見ですが、地方には大きく成長できるポテンシャルをもった通訳者が相当数います。しかし、いくらあってもポテンシャルはポテンシャルでしかなく、結局は現場経験を積まないと開花するものも開花しません。札幌も同様で、「この人、構想は良いから、あとはガツガツ仕事すれば化けるだろうなあ……」と思う受講生もいました。

聞けば、そもそも北海道の通訳市場は小さいので、通訳ガイドを兼業としている人が少なくないそうです。けれどガイド案件を多めに入れていると通訳案件が来たときに柔軟に対応できず、自然とフェードアウトしていくのだとか(または現状維持)。市場規模ゆえの課題ですが、遠隔通訳がかなり普及したいま、地方の有能な通訳者の仕事をどう増やしていくかをJACIとしても考えていかなければ、と感じています。

ちなみに右の写真は懇親会後、かなり人が減ったあとに「あれ、写真撮るの忘れてたね」と誰かが言ったあとのワンショット。本当は2月の雪まつりの週にあわせて楽しみたかったのだけど、その週だけ飛行機代とホテル代が倍くらいになってたので秒で諦めたのはここだけの秘密。

2024年2月25日

ロンドン金属取引所

 

ロンドン金属取引所(London Metal Exchange)から直接依頼を受けて、日本でのPRイベントで同時通訳をしてきました。20年前であれば絶対に受けなかったような案件ですが(受けても通訳仲間に外注していた可能性大)、個人であっても長く投資をしているとどうしても鉱物の需給や価格、動向一般に敏感になってくるもので、そこで蓄積した知識がモノをいうというか、「今の自分であればたぶんいける」と考えて臨みました。結果は大成功。美味しいディナーも頂きました。

私はここ数年、毎年春から夏にかけて某エネルギー国際会議を毎年担当しているのですが、その会議の内容とつながる部分が多々あります。金属が専門分野とは口が裂けてもいえませんが、通訳者が対応分野を広げていきたいのであれば、このように隣接領域から攻めていくのが一番ではないかと思います。