仲裁案件ではどんな準備をしたらよいのか、と聞かれることがありますが、知っておくべき事実や用語は準備書面にすべてあるので、それを読み込めば大事故にはなりません。シンプルすぎる答えかもしれませんが、これが正解です。ときには書面が山のように届けられて頭が痛くなりますが……
わからないときは「わからない」と正直に言って、わかる努力をしないさい、わからないまま訳出しても誰も得しません、と通訳学校で教わる人もいますが、少なくとも何百億がかかっているhigh stakesの法務案件ではこれは当てはまりません。通訳者はわかっていることを前提として雇われているので、わかっていなければならないのです。通訳者の知識や能力が不足している場合、そこを相手側の弁護士に厳しく追及されることもあります。実際、通訳者の能力を理由に相当な証拠の価値が毀損されたような事件もあります。
法務を専門とする通訳者の数は、仕事柄かなり高度な通訳技術とメンタルタフネスが必要とされるため、なかなか増えませんが、私個人としてもその部分をどうにかしたいと考えています。
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