この案件ではたびたび通訳の域を超えて、自主的に参加者に直接語り掛けることがあります。相手の理解を確認したり、成果物の提出を再三促したり、「あなたが聞きたいのは〇×ですか?」と質問の意図を具体的に確認したり。時間が限られているので、単に訳すだけではなく、進行アシスタントのような形で前に出て進めていく方がスムーズにいくなと判断してそのようにしています。話されたことだけ訳す、と考える通訳者もいますが、私は常に臨機応変に対応するように心がけています。クライアントの大半は「通訳者」を求めているのではなく、「案件の完遂」を求めているのですから。
2024年10月5日
国連案件で土木を学ぶ。
2024年9月28日
東京ゲームショウ2024

スケジュールが合わず対応できなかった年を除けば、東京ゲームショウにはほぼ毎年なんらかの形で関わっています。といっても私はメイン会場での通訳より、別会場/ホテルでのデモ会やメディアインタビューのパターンが多いのですが。文句ではありません……実際行ったことがある人はわかると思いますが、メイン会場は周りがうるさすぎてとても集中できる環境ではありません。クライアントもわかっているので、ゲームの魅力をしっかり伝えるために静かな環境を自身でセッティングします。今年の対応タイトルは以下の通り。
さすがに1人では無理なので、ゲーマー通訳者を2人追加手配。やはりゲーム案件はゲーム好きが強い。男性3人という珍しい組み合わせですが、頼りになるブラザーたちです。
2024年9月6日
アラビアンナイト 文化の旅~大陸と世紀を超えて~
9月の目玉の一つは、UAE代表団に1週間付いた案件でした。特に後半に開催された「アラビアンナイト 文化の旅~大陸と世紀を超えて~」イベントについてはこちらに共催者の報告記事がアップされています。
実はこの案件を受ける前はアラビアンナイトについてほぼ知らない状態でしたので(せいぜいアラジン)、西尾哲夫先生の入門書などを読んでかなり勉強しました。その西尾先生も講演されたので、学術的にもかなりレベルが高いイベントです。本当は断っても良い案件だったのかもしれませんが、認定会員である小川カミーユさんの紹介であったのと(仲間の紹介は断りにくいというか、なんとか助けてあげたい気持ちが強い)、中東案件が各分野で増加傾向にあるので、ちょっと絡んでおきたいという気持ちもありました。何事も経験してみないとわからないことは多いです。
週前半の表敬訪問はほとんどが文字通り表敬であり、文化的に深い内容ではなかったのですが、慶応大学でのイベントはそうはいきません。今回の同通パートナーは友人のベテラン通訳者、中村いづみさんにお願いしたのですが、最初は資料を読んでその難しさに二人で「うげぇー」となっていたのを覚えています。
それでも最終的には協力してなんとか仕上げるのがベテランの技、といったら聞こえはいいですが、正直、二人とも必死です。中村さんも「難しすぎて、繁忙期なのに久々に一日中勉強した」と漏らしたほど。右の写真では結構余裕に見えますが、どうやらそうでもなかったようです。2024年8月22日
『通訳翻訳ジャーナル』2024 秋号
2024年8月6日
スポットコンサル案件、復活。
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スポットコンサル(通常は1時間単位で、各業界の専門家と話ができる)サービスには20年くらい前から通訳者としてお世話になっていて、それこそZoomがまだなかった時代は文字通り電話、それも固定電話で通訳をしていました。ただ、当時私が契約していたサービスは円払いで、正直レートが通訳者にとってあまり魅力的ではなかったので、おそらく2013年あたりからまったくやらなくなったと記憶しています。なのですが、最近復活しました。
理由は、別の会社に好条件で依頼されたからです。支払いは米ドルで、それも1時間だけで場合によっては国内エージェントの終日料金を超えるので、これはもうやるしかないな、と。昨今の為替トレンドを鑑みて、ドル案件を増やしているのは私だけではないはずです。
スポットコンサル案件では豊富な資料はまず期待できないので(だからレート的には好条件でもやらない人はいます)、対象トピックについて自分で考えて調査する能力が必要です。専門家の名前が事前にわかれば、その人物の講演動画を探すことができるかもしれません。なんにしても、典型的IR案件のような予定調和で終わることはまずなく、かなりディープな話をすることがほとんどなので、高い逐次通訳と現場対応力が求められるのは確かです。
2024年7月19日
Little Nightmaresはじわじわくる作品。

時間は有限なので、私は担当するゲームをすべてプレイするわけではありません。状況によってはネット上の情報を基本としながら、YouTube動画やTwitchでゲーム実況をひたすら視聴して、「疑似的に」プレイする手法をとっています。そのような意味では結構プラクティカルな私ですが、関わった作品の中でもLittle Nightmaresシリーズはモバイルを含めて全作品プレイしていますし、3も出たら買います。なんかこう、世界観がじわじわ伝わってくるというか、惹かれてしまうんですよね。
メディアが変わると世界観が壊れてしまう事例は過去に結構目にしてきたので、通訳していた会議でポッドキャストの話が初めてでたとき、ファンとして「これは大丈夫なのかな…‥」と心配しましたが、完成したものを聴いて、そのリアルさと完成度に言葉が出ませんでした。クオリティめっちゃ高い。物語系ポッド好きにはお薦めです。
2024年7月1日
JACIに新しいグループが2つ誕生。
6月1日付けで一般社団法人 日本会議通訳者協会(JACI)に新しいグループが2つ誕生しました。法務通訳部とスポーツ/エンタメ通訳部です。
協会の規模が大きくなり、会員が求める活動多様化する中で、分野を絞って活動してみるのが効率性と効果が考えた上でベストなのでは、と検討した上での決定です。
まずは8月の日本通訳フォーラム2024で①法務、②スポーツ、③エンタメの3本柱に特化したセッションを用意するので、楽しみにしていてください!
2024年6月29日
Wild Hearts

Wild Heartsは私が初めて担当したコーエーテクモさんの作品で、リリース直前のPR会議から携わりました。最初から「狩りゲーの新しい王道を作る」を大きなメッセージとして伝えたいということでしたので、各メディアのインタビューでも"We've set out to create a new standard of hunting games" や "This is the game all other hunting games will be measured by" と表現することで、何度も伝えました。モンスターハンターという横綱がいる中で誰もが「大きくでたな」と感じたはずですが、ゲーム自体はとても完成度が高いと私も遊んで感じました。
最終的にゲームの主要タグラインとなった"Tame a World Gone Wild”が会議で初めて出てきたとき、まだ日本語訳が決まっていない状態で、私は「荒ぶる自然を手なずけよ」と訳出したのですが(そしてその後の会議でも数回、それで通していたのですが)、最終的には「生きろ、立ち向かえ」になっていました。確かにこっちの方がいいな。自分の訳が採用されるか、されないかも、通訳の楽しみの一つです。
2024年6月14日
Immortals of Aveum (& Dead Space)
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Immortals of AveumのPRイベントに関わらせてもらったのは23年の初夏でした。マルチプレイはもうスキル的に絶望的な私としては、「これは期待できそうなソロFPSだ!」と思っていたのですが、すぐに9月からの繁忙期に突入し、このゲームどころかどのゲームも遊べない日々が続きました。そして24年、やっと時間ができたので買って遊ぶかと検索したところ、本作を制作したスタジオは作品の売上が期待を大きく裏切ったため23年秋に社員の半数を解雇、24年4月には残りのスタッフも一時帰休に、という衝撃のニュースが。つまり1年ももたずにスタジオ崩壊です。
リリース時から技術的問題があったようですが、近年のトレンドとして、メタクリスコアなどの評価が最初からかなり高くないと手に取ってさえもらえない、つまりEAのようなメジャーレーベルから発売されても、Dead Spaceのような実績があるプロデューサーの作品でも、レーティングが高くないと発売から負け戦が確定です。これに加えて、本作のリリースはタイミング的に最悪といって過言ではないというか、この年のGOTYに選ばれたBaldur's Gate 3をはじめ、Armorned Core IVやStarfieldのような話題作・ヒット作と勝負せねばならず、埋もれてしまった感もあります。実際、ゲーム自体はそんなに悪くないのに、タイミング的に運が悪かったよね、というのがRedditの一般的な評価です。
実は私、過去にはDead Spaceの案件を通訳したこともあったので、個人的にはこれはとても残念なニュースです。今や大規模予算のゲーム開発は博打化しつつある気配なのですが、今後各社がどのように方向転換をしてくるのか注目です。
2024年6月3日
テーマパーク関係の通訳

以前に某大手建設会社で一緒に仕事をした幹部が別会社に転職し、そこにうちの事務所を紹介してくれたという、業界ではあるあるですがとても助かるパターンです。いま取り組んでいるプロジェクトは最初の最初、つまりコンサル選定やコンセプトデザインのフェーズから入って仕事をしているので、「一つのテーマパークがどのように現実となっていくのか」をリアルタイムで確認・学習しながらの仕事になっています。これまでは一人のユーザーとしてしか体験したことがなかったので、「ビジターにこう感じてもらいたい」を定義し、それに沿ったナレティブやグランドデザインを検討し、細かな動線も徹底的に評価する、という当たり前のことを全然考えていませんでした。
国内の某統合型リゾート案件に関わったときも思いましたが、いまやっているこの仕事が現実になるのは8年後?10年後?つまりかなり先の話です。メインで担当している通訳者さんたちとは、「開業したら死ぬほど遊んでパーティーしよう」と話していますが、そのころにはまだ通訳やってるかな。というかパーティーする元気、まだあるのかな。
ちなみにこの仕事でする上で、世界中の最新テーマパークの試みを知ることができたのですが、人気のパークに共通しているのは唯一無二の世界観。やはり、という感じ。有形インフラじゃないんだね。


