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日本通訳フォーラム2018 8月25日(土)

2012年12月8日

ジャーナリストと通訳者(4)

前回の続きです。実際のインタビューのときにどうするか。
During the interview

1. Begin by explaining what the story is about. Omar Fekeiki, a special correspondent and Iraqi translator for The Washington Post from 2003 to 2006, was almost kidnapped when interviewing people who didn’t understand the purpose of the story. He managed to escape, and after that, always explained “why we were writing the story and explained how we were going to voice their issues and problems,” he said in a phone interview. “I always think it is better to be honest with people and they can decide whether to talk to you or not.”
日本で通訳者が誘拐されることはまずありませんが(もっとも、ヤクザ社会に切り込んでいったジェイク・エーデルスタインのような記者に付いたら狙われるかもしれませんが)、取材対象にインタビューの趣旨を説明するのは大事なことですし、事前に通訳者に説明しておくとなお良いです。なぜなら、円滑なコミュニケーションの成立には正確性と同時に適切なスピードとタイミングも重要だからです。

極端な例を挙げると、記者が文脈を誤った発言をして、取材対象が怒って退室する素振りを見せたとしましょう。記者が弁解するのを待っていたら取材対象が帰ってしまうかもしれません。けれど事前に取材目的を通訳者に伝えておけば、「すみません、ちょっと待ってください、今の発言は実はこういうことで・・・」と説明できるわけです。「話者が言わないことを喋ってはいけない」と考える通訳者もいるようですが、私にはそれがコミュニケーションの本質を見失っているようにしか思えません。

通訳者の仕事は円滑なコミュニケーションを成立させることです。記者がわざと取材対象を挑発していない限り、文脈のズレを修復するのは通訳者の役割です。むしろ、それは通訳者にしかできません
2. Describe the interpreting process and find out how much English your source speaks. Introduce both you and your interpreter, and explain that you’ll be asking questions, the interpreter will be relaying them, and that the same will happen for the source’s answers. Also ask the interviewee directly, “Do you speak English?” to see whether he or she can respond and how well. Depending on how good his or her English is, you may be able to conduct some parts of the conversation more directly.
通訳プロセスを説明とありますが、取材対象によっては時間がかなり限られている場合もあるので(私の経験上、最短は7分)、「通訳者を介しているので、所々確認の質問をしたり、普通の取材と比べて時間がかかってしまいますがすみません」くらいで良いと思います。

取材対象の英語力を確認するのは悪いことではないと思いますが、仮に英語が話せたとしてもインタビューは日本語で行うことが多い印象があります。特に政府関係の通訳では。というのは、取材対象が話せても、同席する事務方が話せなければ色々困るという部分がまずあります(記録がとれないし)。それに、やはり公式会見は母国語で話すことが慣習であり、政治家の常識です。オーストラリアのラッド前首相が中国語でインタビューに応じて一部の国民から批判されたことは記憶に新しいですね。
3. Face the interviewee. “Address your questions directly to [the source] even though the interpreter is doing the translating,” Chandrasekaran says. “Put the interpreter to the side. You want to be making eye contact with that person as they’re talking, and nod your head, so they’re looking at you.”
通訳者の方を見ないで取材対象を見るのは正しいです。通訳者を見てもノートを取るのに必死で意味ないですしね(笑)。
4. Speak simply, slowly and clearly. This is so your interpreter can accurately relay your questions. Plus, your source, if he or she understands some English, may comprehend you directly.
簡潔に、ゆっくり、明確に話すのは大事です。いきなり本筋から脱線して、おまけに二重否定表現などが飛んできたりしたら通訳者は困ります。
5. Make sure everyone sticks to the process you outlined at the beginning. Make it clear that it’s important to you that the interpreter can keep up with both you and the source. Set a pace that ensures each person has the floor when he or she speaks and waits for his or her turn. Badkhen says that if the source isn’t giving the interpreter time to translate, she has her translator stop the source and say, “Excuse me, I need time to translate.”
もちろんきちんと通訳しなければコミュニケーションが成立しないのですが、通訳者が取材対象に対して「すみません、通訳するのでちょっと待ってください」的なことを何度も言うのはあまり好ましいことではありません。人にはそれぞれ話しやすいスピードとリズムがありますから、何度も繰り返してお願いすると逆に気分を害してしまう可能性があります。私もどちらかというと早口で、意識的にゆっくり喋るとストレスを感じます。

ちなみに私の場合は、取材時間にもよりますが、ものすごく早口の人には1~2回はお願いしますが、それでも直らない人については諦めて自分の集中力を高めるようにしています。自分の普段のペースを乱してエネルギーを使うので、いつもよりずっと疲れますが、仕方ありません。
6. Have an ear out for incorrect or incomplete translations. Watch out for these red flags:

“When you hear something surprising, repeat it just to be sure accuracy hasn’t meandered,” Bearak said in his 2003 memo.

If your source appears to be speaking longer than your interpreter’s translations, ask the interpreter to give you a full translation. Badkhen says if she still feels that the interpreter is summarizing, she will dissect the answer into parts and repeat them back to the person to make sure she hasn’t missed anything and to give him or her an opportunity to fill in gaps.

In cases where your source understands a bit of English but isn’t comfortable speaking it, he may attempt to correct the translation — a big red flag. If so, ask him directly whether his words are being accurately relayed.
トピックの本質に影響するような驚きの事実が出てきた場合、再度確認するのは良いですね。事実確認の意味もあるし、ニュアンスの確認という意味もあります。

話者の話の長さと訳の長さは必ずしも一致しません。プロは可能な限り違和感が残らないように調整しますが、それでも人によっては、「あれ、なんか訳が短い(長い)ような・・・?」と感じることもあるでしょう。ですから必ずしも誤訳とは言い切れませんが、重要な点であれば記者が一つひとつ再確認するのは悪くないと思います。

取材対象が通訳者の訳を修正するケースですが、これは確かにあります。ただこれは、通訳者が単に下手な場合もあるし、自信過剰な話者が実は間違った修正をしている場合もあるので、一概には言えません。この点は取材対象と通訳者の英語能力を見極める必要があるかもしれません。

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