2015年3月13日

【5/16】 JACIセミナー 「社内通訳からフリーランス通訳へ」

2015年4月1日に日本会議通訳者協会(JACI)が発足します。

公式ウェブサイトの立ち上げは5月中旬になる予定ですが、それに先立ち、いくつかイベントを準備しています。第一弾は金融やコンサル業界で豊富な通訳経験を持つ大竹純子さん。実力だけでなく、他の通訳者やクライアントにも愛される人柄で知られるプロフェッショナルです。

大竹さんがいかに大手コンサル会社のインハウス通訳者からフリーランスに転じたのか、通訳者としての様々な苦しみや問題をどのように解決してきたのか。実務者の観点から時間が許す限り話す予定です。

なお、セミナーの後半は実務ワークショップを予定しています。実際の現場に近い形での通訳を体験し、プロの講評を得るチャンスです!

JACI東京セミナー 「社内通訳からフリーランス通訳へ」

事前アンケートに協力すると500円の割引コードが発行されますので、ぜひ!

2015年3月8日

English Journal で連載開始。

現在発売中のEnglish Journal 4月号から、実務通訳に関する連載を持つことになりました。タイトルは『ブースの中の懲りない面々~通訳の現場から』です。通訳というと世界を飛び回る優雅なイメージを持つ方も少なくないと思いますが、実は裏では結構頑張っているんだよ、頭を悩ませて、厳しい状況に耐えている場面もあるんだよ、という面を発信できたらと思っています。といっても、編集長とは企画の段階から「居酒屋ネタ」的なポジションを狙っていこうと話しているので、あくまでも軽いタッチで。UFOパンの外側のカリカリ的な存在になりたいものです。

それにしても、English Journalの知名度はすごいですね。私の友人の母親やその親戚、英語学習に無縁の60代の方々にも知られている歴史ある媒体です。まあ知名度が高いとは思っていましたが、ここまで高いとは!

とりあえずこれで一発当てて、富裕層1%の仲間入りをしたいものです。ははは。

2015年2月28日

戸田奈津子さんの通訳について

戸田奈津子氏がNHK「あさイチ」に出演 料理通訳に疑問の声相次ぐ

あの戸田奈津子が迷訳 英語の玄米を「茶色い米」

まあ一言でいえば大失敗してネットでプチ炎上、ということです。そもそも通訳技術がかなり怪しい戸田さんになぜ依頼したのか、その理由がネームバリュー以外よくわかりません(テレビで彼女の通訳を見たことがある業界関係者で、彼女がうまいという人はまずいないでしょう)。別に戸田さんが通訳しているからといって視聴率が跳ね上がるわけではないでしょうに。

ただまあ、冷静に考えてみましょう。

…「brown rice(玄米)」を「茶色いお米」、「pine nuts(松の実)」をそのまま「パインナッツ」、「powdered sugar(粉砂糖)」を「こなパウダーシュガー」と訳した

このあたりはまだ私も理解できますし、我慢もできます。人間ですから「玄米」を忘れることもありますし、今では「粉砂糖」ではなく「パウダーシュガー」の方を頻繁に使う人もいますから。クックパッドにもパウダーシュガーのレシピが2万件ありますしね。

しかし、やはり問題はこちらです。

また、視聴者から「パンケーキの生地を冷蔵庫で保存すること」について質問が寄せられると、戸田さんは勘違いしたのか、「なぜバターを冷蔵庫に保存するのか」と誤って伝えた。そのためグレンジャーさんは「溶けないように、保存するならば冷蔵庫に入れて下さい。2週間もちます」と答え、一時、やりとりが噛み 合わなくなってしまった。

テレビ番組はしっかり台本を作成しますから、ゲストの料理人がスタジオで何をつくるのか、どういう手順でつくるのかは事前に明らかになっています。その情報は通訳者である戸田さんに提供されているはずですし、仮に局から提供されなければ通訳者が催促をするべきです。ですから手順関係で「知らない」は理由にならないですし、プロとして失格です。

加えて、プロは常に文脈を考えた上でメッセージを理解・解釈し、訳を出しています。日本では他の地域と異なり、バターを常温保存する家庭はまずありません。ですから、「なぜバターを冷蔵庫に保存するのか」という訳を出すこと自体、文化文脈的にありえないのです。これは通訳学校一年目レベルのミスなのですね。

戸田さんの字幕にはずいぶんとお世話になってきたので、彼女のその分野での功績を批判するつもりはありませんが、やはりプロとして通訳もするのであれば、もう少し勉強してほしいですね。あれがプロのパフォーマンスと解釈されたら迷惑ですので……

ちなみにこういう記事もありました。

料理通訳ができなかった戸田奈津子氏

2014年11月28日

小学生に説明するように。

通訳を学ぶ人に覚えておいてほしいのが、通訳では「聞きやすさ」も正確性と同じくらい重要だということです。いくら情報が正確でも、言葉が聞きにくいと理解しにくいし、理解できないこともあるのです(ホントに!)。

私は昔から、「小学生でもわかるような通訳をしなさい」と教えています。これは機械のようにぎこちなく直訳したり、専門家が話すような退屈な口調でなく、もっと自由に、相手に「伝える」ことを明確に意識した通訳をしなさいという意味です。自分が感じていること、実践していることを言語するのは簡単なことではないので、「小学生とはちょっと言い過ぎかなあ」と思っていた時期もありましたが、これを観てやはり自分は間違っていなかったのだなあと確信しました。



「賢い小学6年生に話しかけるように」はまさに私が感じていることと同じです。業界は異なりますが、聞き手を意識することは同じですね。

ちなみにこの動画に出ているAlex Blumbergはラジオ/ポッドキャスト業界でかなりの実績(This American LifeやPlanet Money)をもつプロデューサーで、今夏には自身のポッドキャストビジネスを起業して話題になっています。起業の「き」も知らないアレックスが試行錯誤しながら、そして時に妻に突っ込まれながらも、たくさんの支援を得ていく姿は現代のアメリカンドリームを見ているようです。

Gimlet Media

2014年10月27日

もっともっとポッドキャスト。

1本目2本目が好評だったので、ここ1年くらいで追加したポッドキャストをまた紹介します。


HBR IdeaCast

HBRはHarvard Business Reviewの略。ビジネスに関する様々なトピックをシンプルに紹介します。


The Tim Ferris Show

最近のイチオシ。ゲストも豪華。Google Ventures責任者であるKevin Roseとの「飲み放談」みたいなコンテンツは他で聴けるところはないと思います。ピーター・ティールとかも普通に呼んでるし!


NPR: Snap Judgment Podcast

NPRの新番組。This American Lifeと似たようなスタイルではありますが、こちらもなかなか。


荻上チキ Session-22

最近の寝る前チョイス。トピックの守備範囲が本当に広くて感心します。


Now Hear This: The Official Podcast of Blue Note Records

ジャズ好きの方にお薦めです!


Bulletproof Radio

既存のテクノロジーをフル活用して「人間はどこまでアップグレードできるか」 を追求する番組。ほぼすべてのエピソードがE指定(卑猥な言葉が一杯!)なのが笑える。


The 10-Minute Marketing Show

文字通り、マーケティングに関するトピックをサクサクと。



Johns Hopkins Medicine Podcasts

豊田さんの紹介で聴きはじめました。子宮移植して妊娠なんて驚きましたわ…


Grantland Sports

"Give the people what they want!" まあスポーツ好きの私ですからね。NFLからWWE(プロレス)までメジャースポーツを幅広くカバーしています。

2014年10月26日

『通訳者の便利ツール』を執筆。


いまさら感が充満している感じですが、翻訳通訳ジャーナルの10月号(8月21日発売)で私が普段使用している便利アプリやツールを紹介しました。詳細は購入していただくとして、実はこの記事発表後にイヤホンを新調したことをお知らせします(卵が飛んできそう)。

私は耳の奥までしっかりフィットするイヤホンが好きなので、Klipsch Image X10をずっと使っていました。 ただ、長時間の同時通訳になるとやはり耳が痛くなります。サウンドクオリティには満足しているのですが。

それで先月、海外出張に行ったら、偶然にも隣の百貨店にBang & OlufsenのA8 イヤホンが販売されていて、「耳掛けタイプも試してみるか…」と買ってみました。そしたら、これが、いい。耳が疲れない。耳の中にすっぽり入らない分、音が少し遠く感じるのですが、それでも長時間の案件にはもう手放せませんね。

今では2時間程度の同通はKipschで、それより長い案件はBang & Olufsenと使い分けています。

2014年10月25日

通訳忘年会 2014


ありそうでなかった、大規模通訳者忘年会。今年から始めちゃいます!

現役プロ通訳者も、通訳者を目指している方も、一緒にワイワイやりましょう。誰でも参加可能です。

飲んで食べて、通訳ネタを一晩中語る、それだけです! いや、もしかするとスペシャルゲストによるトークもある「かも」しれません!お楽しみに!

通訳忘年会 2014

↑ チケットの事前購入が必要です!

2014年10月23日

フリーランス翻訳者の桃太郎

最近、桃太郎のアレンジがネットで流行っているようなので、フリーランス翻訳者バージョンを作成してみました。まあ、ネタです。

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 昔々あるところにおじいさんとおばあさんが手書きの原文に頭を悩ませていました。

 おじいさんは締め切り前に山へ缶詰に、おばあさんは徹夜明けのストレスから何も考えずに川でボーッとしたいと思いました。

 すると川上から桃がドンブラコドンブラコと流れてきたが、英語でドンブラコの雰囲気を表現するのは難しいんだからこんなの原文に書くなよとおばあさんは思いました。

 桃を持ち帰って割ってみると、中から赤ん坊が現れて大声で泣きました。PDFのOCRがうまくいかないからです。

 すくすくと育った桃太郎はある日、鬼退治へ行ってくると言いました。そうするか一週間スポッティングだけやって過ごすかの二択だったからです。

 おばあさんは桃太郎にきび団子を渡しましたが、そんな余裕があるんだったらレートを上げてほしいと桃太郎は思いました。

 桃太郎は「日本一」と書かれた旗を掲げようと思いましたが、英語の方がかっこいいのでBest in Japanにしました。けれどなんだか広告臭いのでやめて、「加油!桃小龍!」と書きました。

 その途中、イヌ・サル・キジが「きび団子をください」と言ってきました。具体的には以下の通りでした。

イヌ「단고를하십시오」

サル「Пожалуйста Kibidango」

キジ「தயவு செய்து Kibidango」

やっぱりきび団子を外国語にするのは難しいんだなあと桃太郎は思いました。

 イヌ・サル・キジは桃太郎の家来になりましたが、正社員ではなく登録制であり、鬼退治はトライアル扱いになりました。

 桃太郎達は鬼ヶ島に到着しましたが、約束された追加原稿は午前2時を過ぎてもまだ届いていません。

 イヌはそのするどい牙で鬼の足に噛み付きましたが、いくら噛み付いても締め切りは変わりません。

 サルはそのするどい爪で鬼の顔を引っ掻きましたが、締め切りが迫っても思考は鋭くなりません。

 キジは鋭利なクチバシで鬼の目をつつきましたが、多くのフリーランスは営利どころかボランティアすれすれの仕事をしています。

 鬼達が負けを認め、ついに桃太郎達は勝利を収めましたが、翻訳仲間にヘルプでお願いした訳文はまだ納められていません。

 こうして桃太郎は金銀財宝を持ち帰り幸せに暮らしたかったのですが、エージェントにほとんど抜かれて今夜もため息をつくのでした。Sigh. 

めでたし、めでたし。


2014年8月27日

通訳のノートテイキング

特に告知していませんでしたが、2月から通訳翻訳ウェブで「通訳のノートテイキング」について連載していました。ジャン=フランソワ・ロザンの名著『逐次通訳のノートテイキング』の内容をなぞって、一部は現代的な例に差し替えたりして書いたものです。いずれ時間ができたら大幅加筆して電子書籍にでもしようかなと。もっと実例を盛り込みたいですしね。

第1回 言葉ではなく、アイデアを書き留める
第2回 略語のルール 
第3回 リンクの明示 
第4回 否定と強調 
第5回 縦に書く(スタッキング) 
第6回 縦に書く(括弧を使う) 
第7回 シフト 

質問などありましたらいつでもご連絡ください!

2014年7月13日

翻訳者生命の終わりについて

某メーリングリストでの「翻訳者生命の終わり」に関するディスカッションを読んで、私なりに考えたことを色々と書いてみる。元スレを要約することこんな感じ。

いままで頑張って翻訳の仕事をしてきた。複数の翻訳エージェントのトライアルを受けたが、「そのうち連絡をするから待っていて」とだけ言われて、その後は音沙汰なし。仕事も連絡もなくなった私は、翻訳者としての生命が終わったのだろうか?
これに対して「私は生活保護レベルの金額しか稼げてない」 というレスがあって一気に室温が上昇し、多くのレスがついてプチ祭り騒ぎなのですが・・・
 
マジレスすると、登録した翻訳エージェントの数がいくつなのかわからないのでなんとも言えないのですが、仮に20社~30社ほど登録しても十分に食べていけてないのであれば、学校で学びなおすか、辞めた方がいいと思います。冷たい言葉かもしれませんが、それだけ登録して実力を認められないのであれば、実際に実力がないと考えるのが妥当でしょう。誰にでもできる仕事ではないのです。

翻訳力があるという前提にたてば、できることは色々あります。基本的には以下の3点。

1.エージェント(翻訳会社)の登録数を増やす

希望レートがどれくらいかという問題もありますが、確率論的に考えて、とりあえず30社くらい登録すれば、3~5社くらいから定期的に仕事のオファーがあると思います。これで月20日稼働すれば安定した生活ができると。

ただ、これに満足せず、安定したワークロードを確保した後も、今度は希望レートを上げて登録社数を増やすのが得策です。希望レートが通れば万々歳、通らなくてもすでに安定的にオファーが来ているので問題はありません。これを定期的に続けて新陳代謝を図り、少しずつ収入を上げていくのです。同じ労働量だったら、高い収入の方が嬉しいに決まってますよね。

ただ個人的には、エージェントモデルにはそもそも限界があると思っていて(35%~50%くらいはエージェントにとられてしまうので)、より安定的な生活環境・仕事環境を目指すのであれば、次の2点が重要だと考えます。


2.ネットワーキングを強化する

日本翻訳者協会(JAT)や日本翻訳連盟(JTF)等の業界団体が開催するイベントに参加してコンタクトを作ること。ネット全盛の今でも、ビジネスは結局、人と人とのつながりなので、いろんな人と友達になっておけば仕事のオファーが舞い込んでくるものです。そして、これは実際に経験してみないとわからないことなのですが、業界仲間からのオファーは比較的に好条件のものが多いのですね。

業界団体に登録すると専用の会員ページを貰えることがあるので、それも活用しましょう。例えば私は2002年からJATの会員なのですが、会員ページ経由で頂いた仕事の報酬は、2014年までに支払った会費(12万円)の30倍は軽く超えていると思います。計算していないので正確にはわかりませんが。ネットに広告スペースを買っているという感覚ですね。

SNSも侮れません。最近では自分のメディア(ブログ等)で情報を発信したり、LinkedIn等のキャリア系SNSで情報発信して仕事を得るケースが増えています。自分の専門性をどう伝えるか、そしてどれほど広く伝えられるか。このあたりがクリティカルです。


3.直接取引できるクライアントを獲得する

個人翻訳者レベルだと、直接取引のクライアントを数社抱えるだけで生活はかな~り安定します。エージェントレートの2倍は稼げますし、仕事を通してブランド・ロイヤルティを高めることが可能になります(要はお客さんとの信頼関係を高めるってこと)。見積もりや請求作業が面倒!という人がたまにいますが、今ではfreee(フリー)のような全自動ソフトがあるわけで。

「で、どこで見つけるのよ?」とつぶやいてるあなた。もっと外に出ましょうよ!Let the whole world know you've arrived!


上記3点に加えて、自己投資も忘れないように。具体的には、読書やポッドキャスト等を通して得意分野を増やすとか。たとえば私は建築の専門家ではありませんが(ただのファン)、建築関係のイベントに参加していたら建築家と知り合いになり、複数の事務所から依頼がくるようになりました。特別なことは何一つしていません。

翻訳で1億稼ぐのは至難の業だと思いますが、能力があって、ビジネス的にやるべきことをやっていれば、どう考えても年収500万くらいは普通にいくと思いますよ…