2012年10月19日

TEDxKyotoで通訳。アンド裏話。


9月16日に京都大学で開催されたTEDxKyotoで通訳してきました(動画が公開されるのを待ってたら一ヶ月もかかってしまいました・・・)。

実は年に何度か、社会的意義があると私が認めるイベントなどでボランティア翻訳・通訳をしています。2年前は関西の環境団体で通訳、昨年は震災被害者支援団体で翻訳、今年はTEDxというわけです。NHKで『スーパープレゼンテーション』が始まって以来、日本でもTEDがドーンと盛り上がってきていますね。通訳はもちろんですが、TEDxの裏方に興味があったので行ってきました。

TEDxKyoto動画はこちらから。
 


私が担当したのでは3人で、一発目は京都大学の松本紘総長。通訳担当を決めるときに、「松本さんは宇宙電波工学が専門か。これはパスやな・・・」と、チキン思考になっていたのは私だけではないはずです。誰も希望しなかったし(笑)。その状況を見かねたのか、実行委員が私に直接依頼してきたのでした。プロとして期待されてるのかなあと、勝手にやる気になって承諾。でもやっぱり宇宙電波工学かあと後でちょっぴり後悔。

松本さんは多忙な方で、リハーサルにも代理人が出席。しかたないので手持ちの資料を読み込んで準備したら当日の朝になって資料はほぼ別モノになっていて、原稿は当然無し、おまけに日本語で話すはずだったのが英語で発表することに。私の通訳キャリアの中でも、発表30分前に言語をかえた人は初めてです。ただし、発表は真面目な内容ですが、打ち合わせでは彼のアシスタントも含めてボケとツッコミの応酬で笑いっぱなし。ああ、この人と居酒屋で飲んだら面白いだろうなあと思いました。って、そっちかよ。

改めて動画を観てみると、後半の東洋思想の部分が結構深イイ。感覚で通訳したから訳は覚えてないけど、うまくできたかな。ちなみに私はvelocityをスピードと訳していて、「velocityは方向があるから速度だよね」というもっともなツッコミをツイッターで発見したが、それは私も知ってますよ。一応、元物理学専攻なので。打ち合わせのときに総長とアシスタントがスピードスピード言うから、つられてスピードにしてしまいましたよ。ごめんなさい!



ソーシャルメディアコンサルタントの熊坂仁美さん。ソーシャルメディアは私の得意分野なので彼女を第一希望にしたのですが、蓋を開けてみたらソーシャルメディアとはまったく関係なく、熊坂さんがいかにどん底から這い上がってきたかの話。ラフ原稿を読んですぐに「うわ、これは女性が担当するべきだよな・・・」と思いましたが時すでに遅し。私は発表者が男性なら通訳者は男性、女性なら通訳者も女性であるのが理想的だと思います。年齢もだいたい合わせられたら最高ですね。

実際、私の通訳は内容的にはかなり精度が高かったと思うのですが、私の低い声では感情的等価が得られない。つまり、一言でいえば女性的なけなげな訴えに欠けていて、聴く側の心が揺さぶられない。その意味では、完全な失敗だったかもしれません。ボランティアとはいえ、反省を強いられる一件でした。

あと、例えば3:09あたりの「清水の舞台から飛び降りるように・・・」のくだりでは、緊張のせいか、または当時の記憶と感情がこみ上げてきているのか、熊坂さんの声がかすかに震えています。普通の同時通訳でしたら気にもしませんが、前日リハーサルをやって原稿も頂いていたので、このような細かな表現も捉えてあげたかった気がします。だって動画を観た私の心が揺さぶられるもの。



ミネソタ大学のデイビッド・アーンスト(David Ernst)博士。彼については何も知らず、「へえ、面白そうな発表タイトルだなあ」というノリで希望しました。発表が上手い方で、短時間でまとまった内容に仕上げています。

私はカナダの大学を卒業したのですが、教科書代の工面はいつも大きな問題でした。 学内の書店では新品の教科書と一緒に中古本も売られていたのですが、毎年すぐに売り切れ。でも新品は高すぎて手が出ないものもある。ルームメートと一緒に買ってシェアしたり、図書館を利用したりと、貧乏学生は本当に辛かったです。ビール代は十分に確保してたけど。

さて、TEDxKyotoで採用されたTED動画は以下の通り。一部は時間の関係で流れませんでしたが、まあ参考までに。

















ちなみ最後まで読んでくれたあなたに朗報・・・ではないけど、告知です。10月28日にTEDxKids@Chiyodaでまた通訳します。よろしく!

4 件のコメント:

David さんのコメント...

Way to go, MIke!!

匿名 さんのコメント...

総長補佐のミヤノです。当日の様子、とても生々しくおもしろかったです! ちなみに、最初から英語での予定と伝えてあったのですが、事務局の方がちょっと取り違いされたのでしょうね。僕も日本語ならもっと楽だったのですが:笑 

藤田 功博 さんのコメント...

この度はTEDxKyotoの運営にご協力いただき、本当にありがとうございました!私はケータリングなどの部分にかかわっていてステージが見られなかったため、舞台裏のお話はとても興味深く読みました。

これからのご活躍をお祈りしております!
Mikeさんについてはshowチームの金谷さんよりお伺いしており、とても興味があったのですが今回、ゆっくりとお話をお聞きする時間がなかったことがとても残念でした。いつか京都に来られることがありましたらぜひお声がけくださいませ。

今後ともよろしくお願いいたします。

Hitomi Kumasaka さんのコメント...

熊坂です。当日、通訳をしてくださったのですね。ありがとうございました。何人もの外国人の方から、よかったというお褒めをいただきましたので、十分伝えていただいたと思います。それにしても、ソーシャルとは全く違う話ですよね。すみませんでした(笑)