2011年6月30日

医療通訳共通基準

昨年の8月に開催された第3回医療通訳を考える全国会議で重点的に議論された医療通訳共通基準ですが、つい先日、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語に翻訳されて公開されました。本来なら私も参加する予定で、実際に関西にいたのですが、夏の甲子園で沖縄の興南高校が決勝に進出してしまったので、ドタキャンして甲子園球場に駆けつけたのでした(笑)。みなさん、お疲れ様です!

医療通訳者には何が必要か?
医療通訳に必要な能力、技術、資質、知識、姿勢などの「基準」について、通訳者を養成し、派遣している実践者の視点から議論します。2010年5月に神奈川県の多言語社会リソースかながわ及び多文化共生センターきょうと協働のプロジェクトチームを結成し、現場の視点から医療通訳基準の「素案」を作成、同年年8月21日 に開催された第3回医療通訳を考える全国会議では素案もとに全国各地の 医療通訳派遣・養成をしている10団体が集い議論、検討を行い、地域で広く活用できる共通基準案の作成をめざしました。

医療通訳共通基準

個人的に興味深いのが、実践的技術として「必要に応じて辞書を引けること」が含まれていることです。というのは、現場で辞書を引くことは、実は非常に勇気がいることなのです。

患者のために正確な通訳をするには、知らない用語があれば辞書を引くのが当たり前であり、私自身もその経験はありますが、そもそも医師や患者からしてみれば通訳者は医療通訳のプロとしてその場にいるのであり、仕事に必要な知識は「あって当然」と考えられているのが常です。その空気の中で辞書を取り出して調べるには非常に勇気がいるし、やり方によっては「この通訳者、ホントに大丈夫なのかな?」と信用を損ねてしまう場合もあります。考えてみてください。もしあなたが腹痛で入院して、担当医師が「あー、この症状か。ちょっとまってくださいね、覚えてないから参考書確認してみます」と言ったらどう思いますか?

ちなみに今年の全国会議(開催されたら)、行きたいですね!

※7/4 リンク追加

西村明夫 「医療通訳共通基準の策定経緯と内容」 『自治体国際化フォーラム』 258(2011年4月)号 pp.16-18 〔自治体国際化協会(CLAIR/クレア)〕

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