2025年2月15日

篠田顕子さんと組んだ日。

会議通訳者の篠田顕子さんが111日にご帰天された。日英通訳業界ではとても有名な勉強家で、技術も高く、歳を重ねた先輩通訳者にありがちなマウンティングもなく、むしろ新参者や後輩にも配慮する優しい方でした。私が一緒に仕事をしたのは一度だけ、15年以上前に韓国で開催された案件だったのですが、とても落ち着いて安定した訳出ぶりで、多くのことを学びました。仕事のあとはホテル近くの焼肉屋でほぼ肉を注文せずに、もう一人の通訳者である白江さんとくだらない話をしながら笑って過ごした記憶があります(もっといろいろ聞いておけばよかった)。

篠田さんは著書『愛の両がわ』で自身の波乱万丈な人生はもちろん、通訳者になったきっかけとその後の展開についても綴っています。特に女性通訳者にお薦めです。時間がなくても第9章~第12章の仕事に関する部分は読んでおいて損はありません。特に仕事の後に自分のパフォーマンスを徹底的に反省して復習する過程は、私も若手時代に同じようなことをしていて、技術の向上につながった感覚があります。もっとも私の場合はすぐに忙しくなって途中で辞めてしまったのですが、ちゃんと続けていたらもっと上手くなったかもしれない。 

実は2015年にJACIを立ち上げたとき、その夏に初開催する日本通訳フォーラムで篠田さんに基調講演を依頼していました。けれど、もうタイミングを逸してしまったというか、篠田さんはもう仕事を減らすフェーズに入っていて、夏は地方でゆっくり畑仕事を楽しみたい、ということで叶いませんでした。実際、その後は表舞台に姿を現すことはあまりなくなっています。いま思うのは、フォーラムでの講演は難しかったかもしれないけど、何か理由をつくってもっと話をしておけばよかった、ということ。通訳業界はただでさえ先輩たちの記録が乏しいので……。 

あの日、初対面なのに未熟な私を優しくサポートして、時には励ましてくれた大先輩・篠田顕子さん。いつか私もあなたのように他の通訳者を引き上げる存在になりたいです。

2025年2月3日

ALGS札幌を大いに楽しむ!

スイスから帰国した翌日、午前の便で札幌へ。本来であれば無理っぽい移動スケジュールなのですが、コロナ渦からApex Legendsの新シーズン発表会や開発者インタビューの大半を担当してきた通訳者として、日本で世界大会が開催されるのであればこれは行かなきゃアカンやろ、という感じです。私の通訳ぶりを「マジシャン(魔法使い)」と呼ぶ開発チームやPRチームのメンバー(たぶん私以外の通訳者を知らない可能性大)とリアルで会うのも実はこれが初めて。現場での仕事はもちろんですが、今後の展開も考えると一度挨拶しておくのが良いかなと思いました。遠隔では何度も会っているのですがね。

さて、2月上旬の札幌は当然ながら雪、雪、アーンド雪。寒い。さっぽろ雪まつりの直前の週末ということもあり近場のホテルがとれず、あまり効率的な移動ルートにならなかったのも残念……けれど会場はアツい!そして若い!明らかに10代~20台前半の若者が多めです。おじさんは彼らからエネルギーを頂こうと思います。

私の今回の仕事は大会期間中の①スタッフ間のコミュニケーション支援(世界大会なので海外から多数のスタッフ&メディアが来日していた)、②メディアインタビュー、③優勝者インタビューでした。①と②は以前にも書いたので、今回は③をメインにどう準備したかを説明していこうと思います。