私の主戦場の一つは法務で、主に特許侵害や反トラスト法関連の仕事が多いのですが、ここ数年は私の趣味・関心も兼ねてスポーツ法の案件に力を入れています。過去と比べてアスリートは納得できない処分に対して異議申し立てをするケースが増えており、スポーツ分野の紛争についてはCAS(スポーツ仲裁裁判所)が事実上の最高裁判所的な位置づけである以上、戦い続ければ最終的にCASの仲裁判断を仰ぐことになるわけです。私はこれまでオリンピックの代表選手選考、契約金未払い、選手登録、ドーピングなど、様々な事案に対応してきましたが、時にはスイスのローザンヌまで飛んでCAS本部で通訳することも。
事案によりますが、私の場合は通常、①弁護士との顔合わせ&準備会議、②資料の読み込み、③国内で証人を交えたリハーサル、④スイス現地でのリハと最終確認、⑤本番、という流れが普通です。CASの判断次第で選手生命が事実上絶たれる可能性がある選手もいるわけで、選手側としてはとにかく必死で、何度もリハをする場合が多いです。年初に対応した案件を例にして、語れる範囲で準備プロセスを具体的に説明します。2025年1月31日
2025年1月24日
2025年シーズン開始 in AUS
明けましておめでとうございます。年末年始にいつものパターンで体調を崩したので、開幕にあわせてしっかり調整?という名のだらだら休養生活を続け、今年は1月7日に無事に法務案件でシーズンINです。今年から若手通訳者向けに、現場ではどんなことを考えているのか、どんな準備をしているのかを中心にもっとブログを頑張って書こうかなと思います。
年明けの1発目の案件、つまり開幕戦はいつも相当緊張します。私の場合、年末年始はだいたい2~3週間は通訳から離れるのですが、開幕戦が迫ると「同時通訳のスピードについていけるかな」と不安になります。不安になるくらいなら1日15分でもいいから同通の練習をすればいいのに、と思う方もいるでしょう。もっともです。でも秋の繁忙期を終えたあとは何も残っていないというか、とにかくゴロゴロして、仕事の連続で4か月我慢していたことを純粋に楽しみたいという気持ちが勝ります。秋は本当に仕事一色ですから。
さて、1月15日からはFIFA(国際サッカー連盟)案件で一週間のオーストラリア出張でした。FIFAは世界各地で各種ワークショップを開催しているのですが、今回はのトピックはtalent development(優秀な選手の発掘と育成)です。FIFAといえばワールドカップ、というのが一般人の感覚だと思いますが、通訳者として関わるFIFAはどちらかかというと10年先のサッカー界を見据えた取り組みの方が多めの印象です。その意味ではタレント発掘はとても重要。できるだけ多くの子供たちにサッカーをする機会をつくり、その中から優秀な選手を発掘し、しっかり育成していく。普通のサッカーファンはあまり意識しないけれど、サッカーが強い国はどこでも組織的に取り組んでいることです。
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