2011年10月4日

Underdog は「勝ち目が薄い」?


ABCニュースの President Obama: America 'Not Better Off' Today than Four Years Ago から。

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ここでオバマ大統領は自分のことをunderdogと表現しています。

Calling himself an "underdog," President Obama today said the faltering economy is a drag on his presidency and seriously impairing his chances of winning again in 2012.

"Absolutely," he said in response to a question from ABC News' George Stephanopoulos about whether the odds were against him come November 2012, given the economy. "I'm used to being the underdog. But at the end of the day people are going to ask -- who's got a vision?"

日本のメディアはこの訳に苦労したようで、ネット上には様々な表現が見受けられます。

朝日新聞産経新聞は「勝ち目薄い」とする中、日本経済新聞はアンダードッグという言葉をそのまま使いつつ「勝ち目の薄い候補」と補足しています。読売新聞は「劣勢には慣れている」としています。

個人的には読売新聞の表現が本来の意味に一番近いと思います。underdogをランダムハウス英語辞典で調べてみると「勝てそうもない人」、「勝ち目の薄い人」、「(争いなどの)敗者」、「負け犬」など言いたい放題ですが(笑)、実際のネイティブの語感としては、特にunderdogとされる本人がその言葉を発した場合はそこまでネガティブな意味が強くないケースがあります。むしろ文脈によっては「逆境の中でこそ私は本来の力を発揮できるんだ!」的な意味合いにもなります。

このインタビューでオバマ大統領は"...but at the end of the day people are going to ask -- who's got a vision..."と発言して自信を覗かせているので、彼自身はそこまで悲観していない。少なくとも「勝ち目が薄い」という表現は日本ではかなり意味が強く(もう心が折れてるような感じもする)、誤訳に近い印象があります。それよりはむしろ読売の「劣勢には慣れている」が日本語的に適切だと思います。

私でしたら「挑戦者の立場には慣れている」として、勝勢や敗勢(劣勢)という表現自体を避けたと思います。動画を観るとわかりますが、オバマ大統領は世論を真摯に受け止めつつも、最終的には国民の理解を得られると発言していますし、言葉の隅々にはっきりと自信が感じられますから。そういう文字に表れない文脈を汲み取ることもプロの翻訳者には求められると思います。

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