2024年10月5日

国連案件で土木を学ぶ。

 

21年から国連三角パートナーシップ・プログラムの遠隔部分、作業工程管理過程の通訳をしています(写真は公式から拝借)。初年度は防衛省に近い市ヶ谷の会議室で開催されましたが、翌年からはより充実した国連大学の会場に移りました。アジアやアフリカの軍関係者に対して、建設作業の組みかたや工程管理を教えるプログラムです。基本的には毎年同じ内容なので2年目からは比較的楽になりましたが、初年度はとにかく苦労の連続でした。日常的に通訳しているような内容ではないし、多くの参加者はアクセント持ちです。けれど「あなたの英語はアクが強すぎて全然理解できません」と言うわけにはいかないので、なんとか相手の体裁を保ちながら、前後の文脈で推測して処理していく、という部分も少なからずありました。全員が全員、きれいな英語を喋るわけではないので、これはしかたがないことです。

この案件ではたびたび通訳の域を超えて、自主的に参加者に直接語り掛けることがあります。相手の理解を確認したり、成果物の提出を再三促したり、「あなたが聞きたいのは〇×ですか?」と質問の意図を具体的に確認したり。時間が限られているので、単に訳すだけではなく、進行アシスタントのような形で前に出て進めていく方がスムーズにいくなと判断してそのようにしています。話されたことだけ訳す、と考える通訳者もいますが、私は常に臨機応変に対応するように心がけています。クライアントの大半は「通訳者」を求めているのではなく、「案件の完遂」を求めているのですから。

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