11月下旬にクライアントから指名で首相案件が入り、ラッキーなことに現場の公式写真が入手できました。政治分野ではもう20年近く活動していますし、小泉首相から始まって、第二次安倍内閣と菅内閣以外ではすべての首相となんらかの形で仕事をしたことがあるのですが、首相の隣で仕事をしている写真がここまで綺麗に撮れているのは実は初めてです。そもそも重要な首相案件は外務省の職員が担当するのが普通ですし、民間の通訳者が担当したとしても、要人と一緒に公式写真に収まることはあまりありません(自分はどちらかというと、自ら横に外すタイプ)。加えて、現場では大抵誰かが写真を撮ってはいるのですが、通訳者の立場で「私にも写真をいただけますか?」と聞くのも失礼と思っているし(もちろん自撮りはできない)、首相や大臣級の仕事をしていることを写真できちんと証明できずにいました。別に誰も求めてないかもだけど。いずれにせよ、官邸HPでも公開されていたので、貴重な宣材写真として使用させて頂きます!
右は筆者、左はJACI認定会員の平井美樹 |
この写真を見ながら改めて思ったのは、特にJACIを立ち上げてからは自分のキャリアというか業界的な立ち位置が大きく変化したいうこと。たとえば2023年は国内のいわゆる大手エージェントから受けた案件の数はわずか3件で、トータルの案件数も過去10年でもっとも少なかったのに、売上は過去最大を記録したこと。10年以上取り組んできたブランディングが近年はとても効いているようで、最近は特に営業せずとも口コミで弁護士や通訳者仲間から直接依頼が来ることが多くなりました。上記の首相案件も実はエージェント経由ではなく、直取引です。これを言うと驚かれることが多いのですが。
日本最大の通訳団体、そして日本語通訳者に限れば世界最大の団体で理事職をしているのも大きいと思います。単純に知名度が上がります。ただクライアントの期待値も上がっているので、自分も常にレベルアップしなくては、という自覚と緊張感が常にあります。秋には顎ヒゲに1円玉サイズの円形ハゲが見つかり、①これ以上ハゲてどないすんねん、と思った一方、②自分に自覚はないけれど、結構なストレスを抱えているんだなと思いました。
あ、ちなみに私はエージェントを全部捨てたわけではなく、今は信頼関係ができている中小エージェントで、基本的に私の条件で取引してくれるところだけとお付き合いしています。面白い案件をもっているエージェントもありますし、エージェント経由の仕事でないと新しい通訳者との出会いがありませんからね……
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あまり写真を撮らない私ですが、手持ちの写真で2023年をざっくり振り返ります。
1月はサッカー日本代表選手、浅野琢磨選手の案件でスイスへ。物価が高すぎて、基本的にはスーパーの炭酸水、チーズ、ブドウで一週間過ごしました。単にケチなのかもしれませんが。スポーツは大好きなので、もっとスポーツ関係の仕事を増やしたいですね。
ガチガチの法務案件にテイラー・スイフトがいきなり出てきた時は不意を突かれました。"Love's a game / wanna play?" を訳さなければならなかったのですが、1秒ちょいで「恋は駆け引き/あなたもどう?」と訳せたのは我ながらよくやったなと思いました。チェッカーからも異議はなかったです。
7月はロンドンで通訳ワークショップ。右から2番目はJACI欧州担当理事の渡辺有紀さんです。今後は欧州でも活動を増やしていきたいですね。ちなみに日本ではChill Outという大麻から抽出されるヘンプシードを配合したドリンクがあるのですが(飲むとリラックスして眠れるっぽい)、欧州にはTRIPという、同じような商品でもかなり攻めたというかヤバいネーミングの商品がありました(笑)。
夏は3週間ほどフランスでのんびりしました。写真はモンパルナスにあるジャン=ポール・サルトルの墓。実は若い頃、サルトルと実存主義にどっぷり浸かっていた時期があったので(その後は現象主義にハマって色々とめんどくさい奴になる)、その意味では感慨深かったです。
8月の終わりには長井鞠子さんの特別トークイベントも。どさくさに紛れて私も本にサインしてもらいました。イベントはやはり遠隔より対面の方がいいなあ。
あ、年末にはJACI代表として内閣官房のチームとフリーランス新法について話したり、スポーツマネジメント通訳協会の幹部と意見交換もしました。JACI会長としての対外活動も増えています。