2021年6月28日

英語通訳塾&同時通訳グランプリの振り返り。

年明けから3か月、比較的ステルスモードで若手を対象に通訳を教えていました。真面目に課題をこなして勉強すれば授業料は免除というシステムで、なんとか全員(12人)無事に修了しました。受講生が学びをまとめたブログはこちらから。

プログラム自体は3月末に終わったので、もっと前にブログに書けたのですが、実は受講要件の一つが「2021年のJACI同時通訳グランプリにエントリーすること」だったので、途中でごちゃごちゃ言うよりグランプリの最終結果が出るまで沈黙しておこうかなと思っていました。で、先日その結果が出ました。当塾からは西原念さんが社会人部門のファイナリストに選ばれましたが、惜しくも本選での入賞はならず。あー、残念です。甲子園出場校の監督ってこんな気持ちなんだろうなあ。やはり自分が教えた人には成功してほしいものですよ。

西原さんは正直、1月上旬の時点ではそこまで際立った特徴はなかったのですが、2月中旬くらいからめきめきと腕を上げて、最終的には受講生の中で一番の成長度を記録したと思います。そもそも受講生は全員スタート地点が異なるのですが、一番伸びたと思ったのが西原さんというわけです。受講生の中にはもっと安定的に訳出できる高度な技術を持っている人もいましたが、こういうものは結局、結果がすべて。強いやつが勝つのではなく、勝ったやつが強い。その意味では、西原さんがファイナリストに残ったのは間違いなく通訳が上手かったから。来年もぜひ挑戦してリベンジしてほしいです。

他の受講生はというと……提出したファイルが壊れていたり、音が入っていなかったり(または小さすぎて聞こえなかったり)、指定の時間までに送信できていなかったり、通訳以外の部分でつまづいた人も結構いたようです。実にもったいない。来年のエントリーは義務ではないですが、再挑戦してほしいですね。少なくとも私はウォッチしてますよ。目標があれば人は強くなれますから!

同時通訳グランプリについてですが、私は通訳塾をやって受講生を大会に送り込んでいた関係上、今年は運営にほとんど関わっていませんでした。当日のロジのお手伝いは少ししましたが、審査関係の業務は当然なし。つまりほぼオブザーバーだったのですが、社会人部門で神田雅晴さんが優勝したのは感慨深かったですね。彼は第1回から毎回参加していて、過去にはJACIの夏合宿に参加したこともあります。話すたびに、「通訳が上手くなりたい!」という気持ちが伝わってきて、こういう姿勢をもった若手がもっと育ってくれれば業界も安泰だなあと思っていました。優勝者スピーチにも気持ちがこもっていて、うるっときた人もいたはずです。

学生部門準グランプリの渡部美樹さんには2020年2月(コロナ直前)にモントレーで初めて会ったのですが、その時はまだ同通練習を始めたばかりのようで、言葉には自信より戸惑いが感じられました。それが1年半で急成長!本当にWowの一言しかありません。

最後に。本大会は小野陽子理事のリーダーシップがなければ成立しなかった大会です。講演者、審査員、参加者などの関係者と個別に調整し、当日のフローを組んで、大会をほぼ円滑に実施したことはとてもすごいことだと思います。小野理事は謙虚なのであまり表に出ませんし、発言もしませんが、間近で彼女の仕事ぶりを目にしている私は尊敬&感謝しかありません。通訳業界は小野陽子さんがいて本当にラッキーです。

これを読んでいる皆さんは小野理事にあったら「グランプリ、ありがとう!」と言ってやってください。とっても喜ぶはずです!