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2010年5月28日

日本初の米軍人裁判員裁判を通訳しました。

5月24日~27日の日程で日本初の米軍人裁判員裁判を通訳してきました。パートナーはおそらく沖縄で最も知名度が高い通訳者である金城初美さんです(写真はこちら)。実は私は何ヶ月も前に選任されていたのですが、公判一週間前に咽頭炎で倒れて20年ぶりに入院する事態になり、一時は辞退もしたのですが何とか前日に回復してカムバックしたというドタバタ劇を演じてしまいました(実際、間に合ったとはいえ、全然かっこよくなかった…)。普段は健康体のモデルケースと言っても過言ではない私ですが、そろそろ健康に注意しなければならない年齢になったということでしょうか。いずれにしても、喋れない通訳者は役に立たないので、健康管理はしっかりしたいものです。

ちなみに事件の新聞報道はこちらからどうぞ(沖縄タイムス、琉球新報)。本来はStars and Stripesにも関連記事が掲載されるのですが、少年事件のため今回は皆無でした。

さて、各方面から「で、裁判員裁判、どうでした?」と訊かれています。まだ一回しか経験がないですし、法曹三者が慣れてきたら色々変わってくる面もあるでしょうが、通訳者としてはややマイナスだと思います(私は基本的に裁判員裁判には賛成なのですが)。例えば…

■良くなったこと
・ペア通訳で負担軽減。
・事件についての事前打ち合わせが複数回あり。
・裁判資料を従来よりずっと早く入手。
・裁判資料、特に冒頭陳述や論告、弁論要旨等はパワポを使って「物語」的に語られるので、理解しやすいし、通訳もしやすい。
・連日開廷なので記憶が新鮮で(従来は一ヶ月間隔などが多かった)、深いレベルで文脈が理解できた。

■悪くなったこと
・資料の量が従来と比較して3~4倍程度になり、事前翻訳を求められる部分も大幅増。
・実際、あまりにも翻訳の量が多すぎるため、一部は事前に翻訳せず、サイトラで「同時的通訳」した。
・さらに翻訳料については通訳報酬に含まれるというのが従来の理解だが、それが適正に反映されているとは思えない。
・事前打ち合わせについては報酬なし(交通費もなし)。
・報酬が通常の半分程度に減少(おそらくペア通訳だから折半という論理か)。
・連日開廷なので、平日が4日潰れるとなるとフリーランスとしてはさすがに厳しい。

従来の裁判システムでは裁判が始まって初めて直面する事実などがあったので(もちろん検察官と弁護人は知っており、通訳者だけが知らない)、それが無くなったという意味ではかなり助かる。ただやはり翻訳負担の激増と報酬の事実上の減額は痛い。プロとしての仕事を求めるのであれば、プロとしての評価をして欲しいと切に願う。